• 投稿日:2025/08/31
  • 更新日:2025/10/11
【保護者対象】”見守る”が最強の戦略?大学受験生との正しい接し方を元予備校職員が提案

【保護者対象】”見守る”が最強の戦略?大学受験生との正しい接し方を元予備校職員が提案

たけいし@受験の相談室$大学受験$

たけいし@受験の相談室$大学受験$

この記事は約8分で読めます
要約
普段は問題なくお子様とスムーズな接し方ができていても、受験期では親も焦りやストレスから、普段はしない範囲にまで干渉したり、考えを押し付けてしまってりすることがあります。 この記事を読むことで、保護者として受験生の子どもをサポートするときの心構えを理解していただけます。

こんにちは。元大手大学受験予備校職員の”たけいし”といいます!

私はこれまで大学受験予備校で多くの受験生、保護者と関わってきました。
多くの保護者と関わったことで実感したことは、受験というのは本人だけじゃなくて保護者にとっても大変な一大イベントなんだということです。

今回は保護者に向けて、大学受験期における受験生との接し方・向き合い方について書いていきます。


この記事を読むことで、保護者として受験生の子どもをサポートするときの心構えを理解していただけます。


はじめに

親の「子を待つ姿勢」というのは、受験期に限らず大切なスタンスだと思います。ただ、普段は問題なくスムーズな接し方ができていても、受験期となるとそうもいかず、悩む保護者の方も多いようです。
受験期では親も焦りやストレスから、普段はしない範囲にまで干渉したり、考えを押し付けてしまってりすることがあります。
特に、中学受験を乗り越えて、中高一貫校に6年間通った家庭に見られる傾向は、中学受験の成功体験を引きずって、親が何にでも介入(干渉)しすぎることです。

中学受験の時は親が主導してもよかったかもしれません。しかし、大学受験の年齢ともなると、子どももかなり自立して、自分のことは自分で考えている、もしくは考えているつもりではあります。
そこへ親が意見を押し付けてしまうと、本人は反抗心と受験のプレッシャーも合わさって、本来集中すべき勉強自体に集中ができない。親子関係も悪くなってしまうということが少なくありません。

親は子どもに、親の考え(親にとってはアドバイスのつもりのことも)を伝えようとばかり思うのではなく、逆です。子どもの考えをいかに聞き出せるかが重要です。

もちろん親も、ただのエゴで考えを伝えようとばかり思っているのではなく、そこにあるのは子を想う愛情であることがほとんどであるはずですが。
(ただし一部例外もある。親が自分の過去に叶えられなかった夢を子どもに強要してしまうケースだ。私の経験では特に母親が娘に対して強要してしまうことが、このケースの中では目立つ。理由はいろいろと想像できるが。)

少し話が逸れましたが、受験期に大切な親のスタンスとしては、

子どもが自分の考えを話し始めるのを待つ子どもが自分の意思で受験に向き合えるのを待つ

という、徹底的に「待つ」姿勢です。

そこから、何か困難があれば、解決策を「一緒」に考えるのです。
子どもが自分の足で歩けるように、親は後ろから背中を押し続けるのではなく、少し先の場所で一生懸命に待つ。子育てとは結局その繰り返しなのではないかと感じます。
そして、そのような関係性が作れて、子どもがしっかり受験に向き合うことができれば、誤解を恐れず言うと受験自体は上手くいかなくてもいいとすら、私は思います。
これが過去多くの受験生・保護者と関わってきた私の本音です。
結果も大事だが、18歳や19歳の頃には結果以上に大事なものもあるということです。


受験生が親に求めること・感謝していること

私が実際に受験生たちから聞いたことを列挙していきます。

結論から言うと、総じて「普通」だと感じます。
受験だから何か特別なアクションを求めているというわけではないんだなと。
自分が18歳19歳のときも同じことを考えるだろうなーと思います。

求めることとしてよく聞いたことがあるのは、以下の通りです。

●「今日はどうだった?」とか根掘り葉掘り聞いてこないでほしい
●口出ししてこないでほしい
●「そんなんじゃ落ちるよ」などネガティブなことを言わないでほしい
●模試やテストの成績については、良くても悪くてもプレッシャーになるから、触れないでほしい
●たまには褒めてほしい
●普段通りにしていてほしい
●今の受験のことについて知ってほしい(昔とは違う)→最低限の情報収集は必要。必要科目数や制度なども変わっている。


感謝していることは、以下のようなものが多かったです。
普段はなかなか口にしないでしょうが、子どもたちもちゃんと親のサポートのありがたみは感じているようです。

●毎日のお弁当
●送り迎え
●夜食を作ってくれる
●学費や参考書など金銭面のサポート
●勉強とは関係のない話もしてくれる
●出願などのサポート
●行きたい大学を理解して考えを尊重してくれる


すれ違いを防ぐには「待つ」がカギ:親が焦らないための心構え

当然、受験期には家庭内で受験のことから将来のことについてまで話をする機会が多くなると思います。どこの大学・学部を受験するか・・・、家から通える範囲か一人暮らしか・・・、国公立か私立か・・・。
すでにお伝えしたように、こういった話の場で、親の意見の押し付けになってしまっていないかご注意ください。
受験生は、自分自身で、または友達とのコミュニケーションの中で、意外と自分の進路について考えています。なので、まずは受験生自身が自分の考えを話し始めるのを「待つ」ことが求められます。

最近は受験生の意識や考え方が変わってきていると感じます。
今の受験生たちは、何でも自分の意思や希望を押し通したいというよりは、最後には親と話し合って、しっかり納得の上で妥協点を見つけたいと考えている割合が高いです。
しかし、そう考えてはいるものの、自分の意見を親へ伝えるため上手く言語化するのには時間がかかるようです。
それが親からすると、一見何も考えていないように映り、すれ違いが生まれるのだと思います。


そうした前提を踏まえて、受験生自身が自分の考えを話し始めるのを「待つ」ことを、まずは親が頑張ってみてほしいです。

進路の話の場以外にも、やはり基本的には「待つ」姿勢が大切だと思います。
「放置」との境界線が難しいと感じるかもしれませんが、「待ちながら、よ~く子どもの様子を観察する」「手はかけないが、目はかける」といった意識を持つと良いかもしれません。そうすることで小さな変化に気づいてあげることができ、必要になったときにすぐサポートができるかもしれません。

また、手はかけなくても、子どもを信頼してよく見守ってくれているというのは、意外としっかり子どもは感じ取ってくれます。(逆も然りです)


お互いの考えを理解することで環境を整える:押しつけではなく「対話」

子どもがようやく自分の考えを伝え始めてくれたら、次は徹底的にその考え・話を聞いてあげてください。途中で遮ったり、否定したりしないようにご注意ください。
親の視点から見たら、子どもの考えは甘かったり、学費や条件面でサポートが難しかったりするかもしれません。
そんな時は、一旦すべて子どもの考えを聞いた上で落とし所を一緒に考えるような対話が必要です。
子どもの考えを理解・尊重・承認しつつ、親の考えも子どもが受け止めやすいように工夫しながら伝えていく意識が大切です。

相互に考えが理解できれば、同じ目標に向かって一緒に協力し合える環境で受験に向かえると思います。


親の状態は子どもに伝わる:親自身が無理しない

最後に、親自身が無理しないようにしていただきたいです。
受験だからといって特別な演出や態度をする必要はありません。

「ある程度のことは子ども自身で乗り越えられる」と信頼して、余裕を持って日常を過ごしてほしいです。

親の状態や様子は、想像以上に子どもに伝わってしまうものです。

親が普段通りなら、その空気も子どもに伝わって、子どもも普段通りの過ごし方ができます。

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私自身が受験のときに、親から言われた事ではないですが、先生から言われて印象深かったお話をさせてください。


受験前日のことでした。
自分では自覚できていませんでしたが、すごく緊張した様子だったのだと思います。
そんな状態で帰宅しようとする私を呼び止めて、先生は
「お前は明日が特別な日だと思ってるかもしれないが、そんなことはない普通の日だ。だからお前も普通に過ごして普通に解いてこい」
と言葉をかけてくれました。
私は、確かにそうだ。自分にとっては一大事だと思っていたが、なんのことはない日常なんだ。と考え直すことで、ふっとリラックスできたのを覚えています。

勝負所というのは日常の一部にあるのです。
日々子どもは頑張っているので、家庭内は普通の日常のままでいてくれたら、日常の延長に受験の日というものがきます。その環境が子どものリラックスを生み出して、力を発揮できる要因になると思います。
力を発揮できたらきっと上手くいきますし、万が一それでも第一志望に合格できなくても、しっかり向き合えた経験は次のステージで必ず生きます。


まとめ

子どもの受験は子どものものです。
もちろん学費や環境面でサポートするのは親ですし、100%子どもの要望を叶えてあげるのは難しいこともあるかもしれません。
しかし、受験を通して成長する機会は、完全に子どものものです。
受験を終えた時にどんな結末になっているかは分かりませんが、どんな結末であっても親子お互いに「よかったね」と思い合える受験期を過ごしてほしいです。
そのためには、親はまず「待つ」こと。
それが大事だというお話をさせていただきました。


以上です。

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この記事のレビュー(1
  • 会員ID:yVPzGqyn
    会員ID:yVPzGqyn
    2025/09/07

    子育てを振り返るよいきっかけになりました! 子供との基本的な信頼関係は築けている方だと思いますが、クチの出し過ぎ、手のかけすぎは自覚あり…。本人も面倒なことは親任せにしたい性格なのでどうしても過保護になりがちです💦 参考になる考え方が随所に書かれているので、また読み返したいです。

    たけいし@受験の相談室$大学受験$

    投稿者

    2025/09/07

    ありがとうございます!そう言っていただけてとても嬉しいです。 焦らずにゆっくりじっくり時間をかけて、お子様のペースや様子も見ながら、お子様と受験に対する考えを共有する機会を作っていただけたらと思います!

    たけいし@受験の相談室$大学受験$

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