- 投稿日:2025/09/01
- 更新日:2025/10/08

今回は私が仕事を通して知った、小さな命にまつわる話を共有させてください。
あなたが、「新しい家族を迎えたい」と考えたとき、この話が心の片隅に少しでも残ってくれたら、と願っています。
「胸が張り裂けそうだ」と語った同僚の仕事
私が働くガス会社には、かつて地域の保健所に炭酸ガス(二酸化炭素)を納める仕事がありました。
そう、私たちの呼吸にも含まれる、あの二酸化炭素です。
そのガスが、何に使われるのか。
二酸化炭素を使って、動物たちの命を終わらせるのです。
殺処分のための、ガス室で使われます。
その配送を担当していた同僚は、いつも重い口調で話してくれました。
「今日も、納めてきたよ…」と。
彼の仕事は、ガスのボンベを運び、所定の場所に接続すること。
ただそれだけ、と言えばそうなのかもしれません。
しかし、彼には見えてしまうのです。
ボンベに繋がれたホースの先にある「部屋」の存在が。
そして、その部屋の中にいる動物たちの姿が。
「部屋の中から、動物たちがじっとこっちを見ているんだ。全てを諦めたような目でね…。」
そう語る彼の家には、犬と猫がいます。
彼自身、動物が大好きだからこそ、その仕事の辛さは計り知れないものがあったでしょう。
「これ以上、うちでは飼ってあげられないしな…」
と、悔しそうに呟く姿が忘れられません。
保健所から子犬を譲り受けたお客様の話
そんな少し重い気持ちを抱えていたある日。
一人のお客さまである、おばあちゃんのお宅を訪問したときのことです。
玄関先で、元気いっぱいの黒い子犬が私の足元に駆け寄ってきました。
人懐っこくて、本当にかわいらしい子犬でした。
「ワンちゃん、飼われたんですね!」
そう声をかけると、おばあちゃんは嬉しそうに、こう教えてくれました。
「そうなのよ。孫がね、どうしても犬を飼いたいって言っててね。それで、保健所にお願いしておいたの。『もし子犬が来ることがあったら、電話をください』って」
そのおばあちゃんは、ペットショップを回る前に、まず保健所に相談してみたのだそうです。
そして、しばらく経ったある日、本当に保健所から電話がかかってきました。
「子犬が保護されましたよ」と。
すぐにお孫さんと一緒に会いに行き、その日のうちに家族として迎えることを決めたそうです。
その話を聞いてから、何年経ったでしょうか。
先日、偶然そのおばあちゃんにお会いする機会がありました。
あの黒い子犬は大きくなり、尻尾を振って飛びついてくれました。
あなたの選択が、小さな命を未来へ繋ぐかもしれない
もし、あなたがこれから犬や猫を飼いたいと思ったら。
ペットショップで運命の出会いを待つのも、もちろん素晴らしい選択です。
でも、今日の話を、少しだけ思い出していただけないでしょうか。
「保健所や動物愛護センターに連絡をして、新しい家族を待つ」
そんな選択肢があることを知っているだけで、未来は大きく変わるかもしれません。
もちろん、どこの自治体でも同じように連絡をくれるとは限りません。すぐに出会えるとも限りません。
でも、たった一つの行動が、小さな命を繋ぐきっかけになるかもしれないのです。
あなたのこれからの人生の選択が、より豊かで、優しいものでありますように。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。