• 投稿日:2025/09/08
  • 更新日:2025/10/11
基礎力・実践力って何? ―受験生が押さえておくべき学習ポイント―

基礎力・実践力って何? ―受験生が押さえておくべき学習ポイント―

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たけいし@受験の相談室$大学受験$

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要約
基礎力とは何なのか、実戦力とは何なのか… 勉強を頑張っているけど、ここが曖昧なまま、結果が出ないという受験生も多いです。 この記事で伝えたいことは、 「基礎力とは何か」「実践力とは何か」「自分が目指すゴールは何か」を、自分なりにしっかり明確にして取り組んでほしい ということです。

こんにちは。元大手大学受験予備校職員の”たけいし”といいます!
私はこれまで大学受験予備校で多くの受験生、保護者と関わってきました。

受験生を見てきて思ったことは、

基礎が大事って何度も何度も言われているのに、「何が基礎なのか」を自分なりに言語化(理解)している受験生って少ないんだな・・・

ということです。

そこで今回は、私がこれまでに得た知見を元に「学習のポイント」と題して、大まかな「基礎→実践」の順番をお伝えできればと思っています。

勉強を始める時期によって、それぞれのステップのペースや濃淡は変わりますが、概ねこの順番でステップを踏んでいくのが王道だろうなと思うのを書いていきます。

現役生は受験直前の高校3年生の冬まで履修範囲が終わっていなかったり、学校行事があったりして、計画を立てることが難しいですが、それでもこのステップを念頭に置いていただいて、まずは学校の授業進度にしっかり沿うことが結局効率的だと思います。


この記事で伝えたいことは

「基礎力とは何か」「実践力とは何か」「自分が目指すゴールは何か」を、自分なりにしっかり明確にして取り組んでほしい

ということです。

【ステップ①】志望校の過去問を解いてみる ~まずは現在地とゴールを知る~

自分がどこへ向かうのか、いま自分はどこにいるのか、といったことを知ることからスタートです。
これが分からないままでは、勉強というのは途方もないことになってしまいます。
試験の日は予め決まっているので、その日までに自分が辿り着くべきゴールに辿り着けるような計画を考えるためにも、はじめに現在地とゴールを知りましょう。
その方法としては、志望校の過去問を解いてみることです。(志望校が決まっていないという人も、まずは仮でいいのでゴール設定しましょう。学校や予備校の先生に相談してみてください。)

まずは過去問を解いてみる、もしくは解けなくてもいいので、どんな問題なのか解説も見ながら考えてみることをしてください。この段階では、解けなくても落ち込む必要はありません。
ここでは、いまの自分に足りない力や、今後必要になる力を、なんとなくでもいいのでイメージすることが大切です。
合格点に到達するためにはどんな問題が解けるようになっていればいいのか、その問題が解けるようになるなめにはどんな知識や対応力を身につければいいのか。
そういった「進むべき方向と距離」を知るということです。

自力でイメージが難しければ先生に相談してアドバイスをもらってください。

【ステップ②】基礎力を身につける ~基礎力って何だ?~

ステップ①で自覚できた現在地とゴールを前提に、まずは基礎力を身につけましょう。

「基礎が大事」ということは、あなたも今まで耳にタコができるくらい言われ続けてきたと思います。あなた自身も基礎が大事なことは十分に認識していることだと思います。

しかし、自分にとっての基礎とは、具体的に何なのかを理解して勉強に取り組めている人は、あまり多くはありません。
だからとりあえず誰かに言われるがまま単語帳を眺めてみたり、計算問題を解いてみたりするものの、それだと単調すぎてあまりにもつまらない。身になっているとも感じない。
そして何となく難しそうな問題集に手を出して、なんだか頑張っている自分というのを感じたくなる。

基礎が大事と分かっていながらも、基礎を疎かにしてしまう受験生は、だいたいこんなパターンだろうと思います。

したがって、基礎とは何なのかを、自分自身で明確になるように、具体的に考えてみましょう。

基礎とは「簡単なこと」や「初歩的なこと」ではありません。単調な反復が必要なこともありますが、それが全てではありません。

基礎を身につけるということの一歩めは、「考え方を自分の言葉で理解すること」です。

私なりに「基礎とは何なのか」を一般化すると、以下のような例えで表現できます。

基礎力を身につけるとは、 ⑴問題(課題)を解決するためにどんな"道具"があるのかを知ること ⑵なぜその"道具"が有効なのかを知ること ⑶その"道具"の使い方を知ること である。

基礎を軽視した受験生が言いがちなこと…
『解答を見れば分かった(から、次は大丈夫)』
『前にやったことのある問題と似ていたが、今回は忘れていただけだ(から、次は大丈夫)』
→大丈夫じゃない。

基礎がないと実践の幅が広がらず、限定的になります。

どういうことかと言うと、
基礎が身についていなくても、解いたことのある同じ問題が出題されたときに、解答を暗記していたらテスト上の正解は出せるかもしれません。しかし、大学受験レベルでは大抵の場合、そんな単純な問題の作りにはなっていないことがほとんどです。

いきなり難しい問題集に手を出して「自分はこんなに難しい問題に頑張って取り組んでいるんだから報われるはず」、と変なところに期待せずに、地道でつまらなく思ったとしても基礎の反復をした方が結果的に早いのは、後で応用が効くからです。

だから斜に構えずに、教科書と学校や予備校の授業を軸に勉強計画を立てることをオススメします。

【ステップ③】実践力を鍛える ~実践力って何だ?~

身につけた基礎力を入試レベルの問題で「必要な場面に応じて用いる(=応用)」ことができるように、実践力を鍛えていきましょう。

基礎力と同じように、「実践力とは何か」についても明確になるように、具体的に考えてみましょう。

これも私なりに言語化するとしたら

実践力を鍛えるとは 身に付けた基礎力(知識や考え方)を使う練習をすること

知識や考え方は知っていても使えなければ意味がありません。

例えるなら、「トンカチやノコギリといった道具の存在や用途は知っているが、使ったことはないので家を建てることはできない」といった感じです。
家を建てられるようになるには、トンカチやノコギリを実際に使えるように練習する必要があります。

数学の公式や考え方も、知っているだけでは意味がありません。実際に問題を解きながら、正しく知識や考え方をアウトプットできているか、自分の頭で考え、手を動かして計算する。
このような反復が必要です。

基礎力・実践力それぞれの時期は?

一般的には、やはり夏が終わるまでには基礎力を徹底的に身につけて、秋以降から実践的な問題演習も織り交ぜて徐々に入試本番レベルへ移って行くのが理想的なパターンでしょう。

ただし、基礎から実践への移行は、スイッチのオン・オフのようなものではなく、グラデーションのあるものだと思うようにしましょう。
つまり、科目や単元によって基礎をしているものもあれば、実践に進めているものもある、という形が本来の姿だということです。
そして、一度実践に移った単元でも、理解不足だと感じたら、勇気を持ってもう一度基礎に戻ってもいいんだと割り切っておきましょう。

【ステップ④】最後はやっぱり過去問?

基礎力を身につけて、それを使いこなせるように実践力を鍛えたら、最後は再び志望校の過去問に戻ってきます。

過去問に取り組む目的は、大きくは以下の二つです。

⑴試験時間に対する問題量を把握したり、頻出分野を確認したりすることで、合格に必要な点数を取るための作戦を立てるため ※合格に必要なのは「満点」ではありません。「合格点」のためにどの問題を正解すればいいかを考えましょう。 ⑵理解不足の分野や単元を発見するため ※理解不足の分野や単元は、たとえ本番直前でも、勇気を持って基礎に戻りましょう

過去問だけに取り組んでしまうことの弊害として、基礎への意識が薄くなってしまうことが挙げられます。過去問だけに取り組んでしまうと、解けた・解けなかったに一喜一憂して、その問題の解答を覚えるのみに留まってしまいがちです。

過去問は⑴の目的のように、試験本番に向けた作戦立てのために不可欠ですが、しかし一方で「まったく同じ問題が出題される可能性」は低いですよね。
したがって、⑵のような目的も頭に置いていてほしいです。

まとめ

【 】内に比喩も入れながら、ここまでの話をまとめたいと思います。

ステップ① まず何の問題(課題)に取り組もうとしているのかハッキリさせる=過去問に取り組んでみる 【どんな家を建てるか・建てるためには何が必要か、という課題】 ステップ② 次に基礎を身につける=その問題(課題)に取り組むための道具を理解する 【ノコギリ、トンカチ、釘、鉋などの道具があることや、その道具がどんな場面で必要なのか、なぜ有効なのか、その道具をどうやって使うのかを知ること】 ステップ③ 実践力を身につける=実際に道具を使って練習してみる 【ノコギリならノコギリ、トンカチならトンカチを使う場面を想定して、実際に使ってみる】 ステップ④ 最後に、その道具を本番でそつなく使いこなせるように訓練してみる=過去問や予想問題などで、本番のつもりで反復練習 【どの場面でどの道具を使うのかを自力で考えながら、完成させてみる】

【おまけ】本番に強いのはどんな人か

しっかり努力したとしても、どうしても今の入試は一発勝負の要素が強いです。そんな中でしっかり結果を出すために、本番に強い人にならなければいけません。

では、本番に強いのはどんな人なのでしょうか。
本番に強くなるためにはどうすればいいでしょうか。

私の持論ですが、本番に強いか・弱いかは、メンタルが強い・弱いでは測れないと思います。
メンタルというのは、良い悪いではなく、人それぞれの特性なのだから、そんな「変えづらいもの」に焦点を当てて「メンタルを強くしよう」と精神論に持ち込むのは、努力ではないと思います。

焦点を当てるなら「自分の力でどうにかできるもの」に対してであるべきです。

その一つが「生活習慣」です。

考えてみれば、受験でもスポーツでも何でも、
勝負事というのは「自分ではない誰かが決めたルールに則って行われるもの」がほとんどではないでしょうか。
受験で言えば、試験日も試験科目も試験時間も、試験を受ける場所までもが「自分ではない誰か」が決めています。私たちはそれに従って勝負の土俵に上がり、結果を出すしかないのです。

自分は夜型だから夜に試験を受けたいと言ってもダメなのです。
今日はぼーっとして集中できないから明日試験を受けます、なんていうのも、もちろんダメだです。

本番の日やその他条件はすでに決まっていて、
「自分がそこに合わせていかなければいけない」
これが現実です。

したがって本番に強い人になろうと思ったら、普段から「自分ではない誰かが決めたルールに則って行われるもの」に対してパフォーマンスを発揮できるような生活習慣を作らなければいけないのです。

(※何でもルールで縛って個性を潰してしまおうと言っているのではありません。むしろ個性とはルールの中で輝く一人ひとりの違いのことです)

習慣になってしまえば、そのルールはあなたにとって敵ではなく味方になってくれるはず。
その訓練の最たるものが「学校や予備校の時間割」だと私は思っています。

いくら問題集が解けても…、いくら頭の回転が速くても…、何年かかっても志望校に合格できず悔しい思いをしてきた受験生を、私は何人も見てきました。
その受験生にとっては、授業の内容は退屈に聞こえるのだと思います。そして授業に出ず(受験生の界隈ではこれを「授業を切る」という)、もっと難しい問題に取り組みたくなる。場合によってはそんな難しい問題に取り組んでいる(だけの)自分に酔ってしまっている。
今日の記事で述べてきた「基礎を疎かにしている」パターンですね。

でもその受験生が合格するために必要なのは、これ以上難しい問題を解けるようになることではなく、生活習慣だったのではないでしょうか。
毎日欠かさず決められたことに取り組む。決められた時間で集中力を発揮する。そういった積み重ねこそが必要だったのではないか。

これって受験においてだけでしょうか?
ほとんどの場合でビジネスやスポーツにも当てはまるものだと思います。



今日の内容が、受験生が自分自身の学習スタイルを振り返るきっかけになれば嬉しいです。

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