- 投稿日:2025/09/09
- 更新日:2025/10/11
こんにちは。元大手大学受験予備校職員の”たけいし”といいます!
私はこれまで大学受験予備校で多くの受験生、保護者と関わってきました。
はじめに:なぜ予習・復習が重要なのか?
予備校で勤務する中で、授業の予習・復習についてのアドバイスを求められる機会がとても多くありました。
予習は、授業で扱う単元や問題をただ見ておけばいいというものではありません。復習も、授業で扱った単元や問題をただ見返せばいいというではありません。
授業での学び・気づきを何倍もの価値にするために、予習・復習にはしっかり時間をかけて取り組んでほしいです。
そもそも学力は授業中に伸びるのではなく、授業前後での学習によって伸びるものです。
つまり予習・復習の取り組み方次第で、学力は何倍にも伸びていきます。
この記事では、予習・復習のときに何を意識して取り組めばいいのかを提案します。
予習・復習の目的がわかりますし、そのことによって授業中の学びの姿勢も変わるでしょう。
「必要」と先生に言われるから、とりあえずなんとなく取り組んでいた・・・という人は必見の内容です。
前提、科目によって具体的に何をすればいいのかは異なるので、この記事では土台となる考え方について述べます。
予習の目的と基本姿勢
予習の目的は、授業での学びを実りあるものにするために、自分自身の状態をチェックしておくことです。
主に次の2点に取り組みましょう。
①授業で扱うテーマの周辺知識をまとめる
これによって、先生の話が聞きやすくなります。説明が理解しやすくなります。授業中に調べる時間は無いので、事前に予習段階で調べておきましょう。
②演習問題に試験と同じ気持ちでに取り組む
授業でその問題の答を耳で聞いたりノートにまとめたりしているだけでは成長しません。必ず事前に「自分自身の頭と手を使って」演習問題に取り組んでおきましょう。
よくある予習についての疑問
Q|予習で解けない問題はどこで見切るべきですか?
A|試験本番の制限時間を基準に判断しましょう。
(例)
志望校の数学の試験が80分で大問4つであれば、1問にかけられる時間は訳20分。
予習でもその時間配分を意識して、
●最初の20分は自力で考える
●それでも解けなければ、解説や類題を参考にして解き続ける
●最大30分までで見切りをつける
これが現実的な目安でしょう。
重要なのは、「どこまで自力でわかったか」、「どこからがわからなかったか」、「この問題を自力で解ききるためには何を身につければよいのか」を自分なりに整理して授業に臨むことです。
「予習の時にすべてを自力で解ける必要は無い」ということがポイントです。
予習のゴールは「何が分からないかが”具体的に”わかっている」ことです。
これによって、自分に足りないところが明確になって、授業で学ぶべきポイントがハッキリします。
授業で詳しく解説を聞いて、
「そうか!ここが分かっていたらこの問題は解けるんだ!」
という学びをどれだけ得られるかがカギです。
このように予習をすることで、主体的に授業に参加できるようになりましょう。
”わかる×できる”分析で自分の状態をチェック
また、問題を解いた後は、次のフレームに当てはめて自分の状態をチェックしておくことをオススメします。
”わかる×できる”分析
(1)わかる かつ できる =理解・習得できている状態 授業で新たな気づきを探そう (2)わかる しかし できない =習得まであと一歩 授業で教わる内容を参考に、自分の手を動かして実践的に問題演習を重ねよう (3)わからない しかし できる =わかったつもり(答を覚えているだけかも?) 考え方を言語化できることを目標に授業内容を吸収しよう (4)わからない かつ できない =まずは正しい考え方を真似よう 予習ではできなくてOK!授業を集中して聞いて、それでもわからなければ個別に質問に行こう
履修前の単元の予習はどうする?
学校の授業で初めて学ぶ範囲では、予習をするときに演習問題に取り組むのが難しいこともあるでしょう。
その場合でも、以下のようなことを意識して予習に宇取り組めば、授業の理解度は大きく変わります。
●学習する範囲を一通りチェックして、用語やテーマをチェック。周辺知識は調べておこう。
●調べながらでもいいので、自分なりに理解できるかを試す。
●「これはわからなかった」とメモをとっておく
これだけでも、予習をしない場合と比べて、圧倒的に授業の吸収率が上がります。
復習の目的と基本姿勢
復習の目的は、授業で学んだことの定着です。
やはり繰り返すことで記憶は定着するし、スキルも上達します。
主に次の2点を意識して取り組みましょう。
①授業内容の再現をめざす
●授業で先生が強調していたポイント
●なぜそれがポイントなのかの理由
●自分がどう感じ、何を学んだのか
・・・あらゆることを再現しましょう。
そのためにも、復習はなるべくその日のうちに(記憶の新しいうちに)取り組んでください。
じっくりと時間をかけるのは週末まとまった時間が取れるときなどでも構いませんが、それでも当日中にポイントの整理だけはしておくべきです。
その場合は「週末にじっくりと復習をする自分を助けるために、今のうちにわかりやすくポイントをまとめておいてあげよう」という気持ちで取り組めばいいかもしれません。
②頭の中だけでなく、手を動かす
授業が「インプット」だとすると、復習で意識すべきは「アウトプット」です。
アウトプットの手段として有効なのは「人に説明をすること」ですが、なかなかそんな機会を確保するのは難しいでしょう。
したがって、脳内で人に説明をするつもりで、実際には自分の手を動かして、授業の再現をめざします。
アウトプットによって、頭の中だけでなく外に出すことで、思考も整理されて、記憶は定着しやすくなります。
また、あいまいな部分は上手くアウトプットできないはずなので、自分の理解不足があった場合も気づくことができます。
よくある復習についての疑問
Q|復習はどれくらいのペースで何回繰り返せばいいですか?
A|個人差がありますが、以下の点を参考に取り組んでください。
●当日(短期記憶):なるべく当日中に固める。先ほど述べたとおり、ポイントの整理だけはしておきましょう。
●週末(中期記憶):週末にまとまった時間を取りましょう。
●1~1.5ヶ月後(長期記憶):もう一度演習問題の解き直し(=アウトプット)をしながら、ポイントを定着させていきましょう。
このように最低でも3度は繰り返しておきたいです。
復習のタイミングはあらかじめ決めておくことをオススメします。
「忘れた頃にやり直そう」では、忘れたこと自体に無自覚になってしまいますから。解いた問題などの横に、取り組んだ日付と自分の理解度を★などで記しておくとよいです。
★★★よく理解できている ★★ 理解していると思うがまだ不安 ←最優先 ★ 理解できていない ←まずは個別に先生のところへ質問しに行く
おわりに:日々の積み重ねが未来を変える
今回は以上です。
予習復習を「なんとなく」で済ませず、目的を持ってしっかり取り組むことで、授業に主体的に取り組むことができて、定着度が段違いになります。
元プロ野球選手・メジャーリーガーのイチロー選手が、シーズン最多安打記録を残したときに
「小さなことを重ねることが、とんでもないところに行くただ一つの道なんだなというふうに感じています」
という台詞を残しています。
日々の予習復習は、まさにその「小さなこと」です。
しかしその積み重ねが、やがて大きな成果に繋がります。
努力は裏切りませんので、一日一日大切にがんばりましょう。