- 投稿日:2025/09/24
- 更新日:2025/10/17
起業するなら「好きなこと」と「得意なこと」、どちらを選ぶべきか?
これは、起業を志す多くの人が一度はぶつかる問いでしょう。
僕自身このテーマで数ヶ月間も頭を悩ませ、グルグルと迷走していました。
しかしついに、僕の中で一つの結論が出ました。
この記事は、ビジネス書に書かれているような模範解答ではありません。
僕が実際にもがき、悩み、そして一歩を踏み出した実体験から生まれた、泥臭い「感情論」です。
もしあなたが「頭では分かっているのに、最初の一歩が踏み出せない」と悩んでいるなら…
きっとこの記事が、背中を押すきっかけになるでしょう。
教科書的な回答

起業するなら「好きなこと」と「得意なこと」、どちらを選ぶべきか?
この問いに対する教科書的な回答は、「好きよりも得意を優先させろ」です!
なぜなら、ビジネスの本質は「顧客に価値を提供し、その対価を得ること」だから。
自分が得意なことの方が高品質な価値を提供しやすく、収益化への道筋も立てやすいです。
これは非常に論理的で、誰もが納得する正論でしょう。
それに対して「好き」という感情は多くの場合、スキルや経験が伴っていません。
たとえば、こんなケースを考えてみてください。
映画を見るのが好き → 自分も映画を作ってみたい → 映画監督になりたい
この場合、消費者として映画を評価する目はあっても、実際に映画を作るスキルはゼロです。
この状態でいきなり映画を作り始めても、残念ながら駄作しか生まれません。
ビジネスとして成立させるのは、極めて難しいでしょう。
これが、「好きなことで飯は食えない」と言われる理由です。
「得意」で起業する落とし穴

しかし、完璧に見えるこの正論には大きな落とし穴があります。
それは「知識や経験があるからこそ動けなくなる」という問題です!
僕はまさに、この罠にどっぷりとハマっていました。
僕が最も得意とする分野は「金融」です。
下の記事を見ていただければ分かる通り、前職はいずれも金融関係でした。
参考:銀行で鬱になり訓告処分に…人生に絶望した自分が民泊にたどり着いた軌跡
ですから当然のように、金融業界での起業を検討していたのです。
しかし、これが全くうまくいきませんでした。
知識があるからこそ、以下のように考えては最初の一歩が踏み出せなかったのです!
「〇〇というサービスはニーズがあるのでは?」
→いやでも金融庁の許認可を取るのが絶望的に大変そうだ…
→お客さんの大切なお金を扱うのはとてもプレッシャーだぞ…
→そういやすでに△△という会社が似たサービスをやってたな…
このように、行動する前に頭の中で詳細なシミュレーションができてしまいます。
その結果として、リスクの大きさに怖気づいてしまうのです。
これを「分析麻痺症候群(Analysis Paralysis)」と呼びます!
ここで「こんなハードル、俺の経験と知識なら乗り越えられる!」と突き進める一部の強者もいるでしょう。
しかし、僕を含め多くの人はここで挫折してしまいます。
そして「起業アイデアを検討中」という名の、無限ループに陥ってしまうのです。
「好き」はスタートを切りやすい

このグルグル思考が数ヶ月続き、すっかり疲弊してしまった僕。
ある日、こう考えました。
「あー、もう得意なことで考えるのはやめた!」
「理屈はもういい、自分の好きなこと100%で振り切ってやる!」
そして以下のような、超単純・単細胞路線へ舵を切ったのです。笑
旅が好き → 旅に携わる仕事がしたい → 宿を作りたい
いま振り返れば、この決断こそが僕のターニングポイントでした。
知識がないので何がハードルになるか分からず、見切り発車でスタートできたのです!
もちろん後になって、問題がドンドンと発生してきます。
たとえば「民泊新法」が、これほどまでに厳しい法律だとは全く理解していませんでした。
参考:【半年で完成】民泊の知識ゼロから田舎の空き家で月20万円!不動産の素人が成功した全記録
以前から民泊をやってきた人なら、これは当たり前の内容なのでしょう。
だからこそ、この法律ができた時に民泊を撤退した人も多かったと聞きます。
しかし一旦スタートを切ってしまった手前、簡単には引き返せません。
何より自分が「好き」で始めたことだから、「あきらめたくない」という強い情熱がありました!
そこから必死に法律を学び、役所に何度も通い、専門家を探し出し…
色々と知恵をしぼって、なんとか解決策を見つけ出しました。
こうやって行動し続けていけば、いつかは最適解にたどり着けるでしょう。
もしかしたら経験者では思いつかなかったような、斬新な解決法が見つかるかもしれません。
世間では、これを「イノベーション」と呼ぶのだと思います。
「好き」と「得意」はつながる

また「好き」を前面に出した仕事をする中で、気づいたことがあります。
それは「好きと得意はつながる」ということ!
たとえば僕が宿を始めるにあたって、銀行からの融資を利用しました。
ここでは、僕の「得意」である金融の知識が最大限に活きました。
実際に銀行で融資業務をしてきた立場から、当時の融資条件がどれだけ恵まれているか分かったのです。
また担当者にウケる事業計画書の書き方も知っていたので、審査もすぐにパスしました。
参考:【半年で完成】民泊の知識ゼロから田舎の空き家で月20万円!不動産の素人が成功した全記録
また宿のコンセプトを決める際には、Webマーケティングの知識が役立ちました。
LP(集客ページ)を作る際に使うフォーマットを、そのまま適用したのです。



このように「好き」100%で起業したとしても、これまでのキャリアで培ってきた「得意」は思わぬ形で強力な武器となります。
「好き」が事業を前に進めるエンジンだとすれば、「得意」は道をスムーズに進むためのタイヤとなるのです!
好きなことをやって利益も得る

「好きなことをやって利益も得る」
そんな都合のいい話があるはずないと、疑問に思う方もいるでしょう。
しかしヒンドゥー教の聖典「バガヴァット・ギーター」には、その両立が可能と書いてあります!
1. 自分が本当にやりたいことを見つける(スヴァ・ダルマ)
2. 結果ではなくやること自体に集中する(カルマ・ヨーガ)
3. すると自然に良い結果もついてくる(好きなことをやって利益も得る)
多くの人が「好きなこと」と「稼ぐこと」を、二者択一で考えがちです。
しかし自己実現と経済的基盤は対立せず、工夫次第で共存できるのです。
むしろ「バガヴァット・ギーター」には、それが望ましい生き方であるとさえ書いてあります。
「好き×得意」を見つける思考法

「そうは言っても、自分には何ができるんだろう…」と思うかもしれません。
ぜひ一度紙とペンを用意して、以下の2つのリストを作ってみてください。
「好きなこと・時間を忘れて没頭できること」リスト
(例:旅行、キャンプ、読書、カフェ巡り、人と話すこと、整理整頓)
「得意なこと・人から頼られること」リスト
(例:データ分析、資料作成、SNS運用、英語、計画を立てること)
そして、この2つのリストの要素をランダムに掛け合わせてみるのです。 「〇〇(好き)× △△(得意)= 新しいビジネスアイデア」
僕の場合は「旅(好き)× 金融(得意)」から、「宿泊業の経営」という形に落ち着きました。
この掛け算思考がなければ、融資の場面で自分の強みを活かす発想は生まれなかったかもしれません。
進めないなら「好き」を原動力に

もちろん自分の「得意」で明確な勝算があり、すぐに行動を起こせるのであれば、それに越したことはありません。
そちらの方が、成功確率は高いでしょう。
しかし「得意」に固執するあまり分析麻痺に陥り、何ヶ月も動けずにいるのなら本末転倒です。
80点でスタートを切るためにモゴモゴしているより、20点でもいいから見切り発車した方が道は開けます!
スキルや知識なんてものは後から学べるので、60点の点差は走りながら埋めれば良いのです。
僕もスタートを切ってからというもの、多くの方からたくさんのことを学ばせてもらっています。
もしあなたが「得意」を活かそうとしてつまづいているなら、思い切ってコンパスを「好き」な方角に向けてみませんか?
その一歩が、あなただけのユニークな航海のはじまりになるはずです。