- 投稿日:2025/09/28
- 更新日:2025/10/02

なぜ泣くの?赤ちゃんの「人見知り」と「後追い」が
実は“大好き”のサインだった話
皆さん、
こんにちは。こんばんは!
ゆうきです。😊
赤ちゃんの成長は
毎日が驚きと喜びに満ちていますよね。
でも、生後半年を過ぎたあたりから
多くのパパ・ママが、こんな“謎の現象”に遭遇します。
「昨日まで、誰に抱っこされてもニコニコだったのに
急におじいちゃんの顔を見て大号泣…」
「トイレに行きたいだけなのに
世界の終わりのように泣き叫びながら追いかけてくる…」
これこそが
育児における二大ミステリー
「人見知り」と「後追い」です。
「もしかして、私の育て方が悪かった…?」
「この子、大丈夫かな…?」
そんな風に不安になってしまう気持ち
すごくよく分かります。
でも、安心してください。
実はこの一見「困った」行動
あなたの赤ちゃんが、心と頭脳を急成長させている
感動的なサインなんです!
今回は、この「人見知り」と「後追い」の謎を
発達心理学と脳科学の知見を交えて解説いたします。
Part 1:謎解きのカギは「特別な絆(愛着)」
このミステリーを解くための最強の鍵は
イギリスの精神科医ジョン・ボウルビィが提唱した
「愛着(アタッチメント)理論」です。
一言でいうと、愛着とは
「赤ちゃんが、特定の人(主にパパやママ)
との間に結ぶ、生きていくために不可欠な
“心のへその緒”」のこと。
ボウルビィは
赤ちゃんが「お腹を満たしてくれるから」
ママを好きになるのではなく
「安心をくれる特定の人がそばにいてほしい」
という、生まれながらの強い欲求を持っている
ことを発見しました。
これは、無力な赤ちゃんが危険から身を守り
生き延びるための、進化の過程でプログラム
された本能なのです。
この「特別な人」は
赤ちゃんにとって2つの重要な役割を果たします。
【安全基地】:
ここにいれば大丈夫、という心のセーブポイント。
この基地があるから、赤ちゃんは安心して
周りの世界を探検しに出かけられます。
【避難所】:
怖い時や不安な時に逃げ込める場所。
ここで抱きしめてもらうことで
赤ちゃんは安心感を取り戻します。
そして、この「特別な絆」は
生後6〜8ヶ月頃から始まる
「明確な愛着段階」に突入します。
この段階の幕開けを告げる
華々しいファンファーレこそが
「人見知り」と「後追い」なのです!
人見知り:
「あなただけが特別!」と世界に宣言した証
生後6〜8ヶ月頃から始まり
1歳前後でピークを迎えることが多い人見知り。
これは、赤ちゃんの頭の中で
とんでもない知的革命が起きている証拠です。
【赤ちゃんの頭の中】
記憶力アップ!:
毎日お世話をしてくれるパパやママの顔、声、匂い
をしっかり記憶し
心の中に「安心できる人の肖像画」が完成します。
識別能力アップ!:
目の前に現れた人の顔を
心の中の「肖像画」と瞬時に照合。
「あれ?この顔、僕/私の知ってる
安心できる顔じゃないぞ!」
と、違いを認識できるようになります。
警報作動!:
「知らない人=安全かどうか分からない!」
と判断した瞬間、脳の“警報装置(扁桃体)”
が作動し、不安や恐怖を感じて大泣きします。
つまり、人見知りは、「あなた(パパ・ママ)は
他の人とは違う
僕/私にとって世界で一番安全で特別な存在です!」
と、赤ちゃんがその小さな体で表現している
感動的な“大好き”のサインなのです。
後追い:
「あなたがいなきゃ、生きていけない!」
という魂の叫び
人見知りとほぼ同時期に始まる後追い。
これは、「心のへその緒」が確かに結ばれたこと
を、最もダイレクトに示す行動です。
【赤ちゃんの頭の中】
「いないいないばあ」が分かるように!:
目の前から物が消えても
それが存在し続けていると理解する能力
「対象の永続性」が芽生えます。
パパやママが部屋を出て行っても
「消滅した」のではなく「どこかにいる」
と分かるようになります。
でも、まだ不安でいっぱい!:
しかし、この時期の赤ちゃんは
感情をコントロールする脳の“司令塔(前頭前野)”
がまだ未発達。
「ママはどこかにいるけど
今ここにはいない…いつ帰ってくるの!?」
という状況が、パニックを引き起こします。
必死の生存戦略!:
赤ちゃんにとって
安全基地である親から離れることは
命の危機に等しい一大事。
泣き叫び、必死で追いかけることで
親との距離を元に戻し、安全を確保しようとする
本能的な行動なのです。
【※重要:ここで一つの誤解を解きます!】
かつて
「対象の永続性が分かるから
いなくなるのが不安になって後追いする」
と考えられていました。
しかし、最近の研究では少し違う見方がされています。
むしろ、「見えなくてもママは存在している」
と分かり始めることで
心の安定が少しずつ育っていくのです。
後追いは、その安定がまだ完成していない
成長の過渡期に見られる、愛おしい姿と言えるでしょう。
Part 2:どうすればいい?パパ・ママのための攻略法
理論は分かっても、毎日の対応は大変ですよね。
大切なのは
赤ちゃんの「不安な気持ち」に寄り添うことです。
【人見知り対策:OK対応】
まずはあなたが安全基地に!:
知らない人に会う時は
まずギュッと抱っこ。
「大丈夫、一緒だよ」と伝えてあげましょう。
あなたが笑顔でお手本を!:
あなたが相手と楽しそうに話す姿を見せると
赤ちゃんは「この人は安全なんだな」と学びます
(これを社会的参照と言います)。
赤ちゃんのペースを尊重!:
無理やり抱っこさせず
赤ちゃんが自分から興味を持つまで待ってあげましょう。
【後追い対策:OK対応】
「こっそり消える」は絶対NG!:
不信感を煽り、不安を悪化させます。
「トイレに行ってくるね、すぐ戻るよ」
と必ず笑顔で声をかけましょう。
「いないいないばあ」で練習!:
「見えなくても必ず戻ってくる」
という安心感を育む、最高の遊びです。
短時間の分離からスタート!:
隣の部屋に30秒だけ行く、などから始め
戻ってきたら「待っててくれてありがとう!」
とたくさん褒めてあげましょう。
そして何より、他の子と比べないこと。
人見知りや後追いの強さ・時期には
生まれ持った気質など、大きな個人差があります。
その子の個性として、温かく見守ってあげてください。
Part 3:本当に世界共通なの?
知っておきたいもう一つの視点
これまで解説してきた愛着理論は非常に強力ですが
これが世界唯一の「正解」ではありません。
例えば、欧米のような個人主義的な文化では
「親を安全基地にして、子どもが一人で探検すること」
が良いとされる傾向があります。
一方で、日本のように集団の和を重んじる文化では
「親と一体感を持ち、周りと協調することを学ぶこと」
がより価値を持つ場合もあります。
また、愛着はママと一対一で結ばれるだけでなく
パパや祖父母、保育士さんなど
複数の人との間にネットワークとして築かれます。
大切なのは、理論を絶対的な「ものさし」にしないこと。
文化や家庭の多様性を尊重し
目の前の子どもを固定観念で見ないことが
何よりも重要です。
まとめ:嵐の中で、その手を握りしめて
赤ちゃんの「人見知り」と「後追い」は
決して問題行動ではありません。
それは、赤ちゃんの心と知性が爆発的に成長し
あなたとの間に「特別な絆」が確かに
結ばれたことを示す、感動的なサインです。
それはやがて
子どもが自分の足で世界へと歩み出していく過程で
通り過ぎる、一過性の嵐のようなもの。
その嵐の中で
わが子が発する「不安だよ」「そばにいて!」
というシグナルに耳を澄まし
その小さな手をギュッと握り返してあげること。
それこそが、揺るぎない絆を育み
子どもの未来を支える、何より確かな愛情表現なのです。
出典リスト(一部)
Bowlby, J. (1969). Attachment and Loss, Vol. 1: Attachment. New York: Basic Books.
Schaffer, H. R., & Emerson, P. E. (1964). The development of social attachments in infancy. Monographs of the Society for Research in Child Development, 29(3), 1-77.
Sorce, J. F., et al. (1985). Maternal emotional signaling: Its effect on the visual cliff behavior of 1-year-olds. Developmental Psychology, 21(1), 195–200.
Rothbaum, F., et al. (2000). Attachment and culture: Security in the United States and Japan. American Psychologist, 55(10), 1093–1104.
U.S. Department of Health & Human Services, Centers for Disease Control and Prevention. (2021). Milestone Moments.
OpenStax College. (2014). Psychology.
Cassidy, J. (2013). The contributions of attachment theory and research to the study of child development. Development and psychopathology, 25(4 Pt 2), 1415–1425.
Thomas, K. M., et al. (2018). Newborn amygdala connectivity and early temperamental fear. Developmental cognitive neuroscience, 31, 24–30.
Scatliffe, N., et al. (2019). The effects of oxytocin on the parent-infant relationship: A systematic review. Nursing open, 6(4), 1184–1195.
AIツールや運動、心理学
の記事を書くことが多い私ですが
皆様へツールを使った
時短、運動・心理学観点から
身体・心の健康を願って書かせていただいてます。
今まで書いて記事も
皆さんへ参考になる記事が盛りだくさんだと自負してます。
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