- 投稿日:2025/10/04
- 更新日:2025/10/06

「カウンセリングって病気の人が行くところでしょ?」
「ただ、話を聞いてもらうだけじゃないの?」
そんなイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
最近では「カウンセリング」という言葉を耳にする機会は増えてきましたが、実際にどんなことをするのか、どんなときに役に立つのかは、まだあまり知られていません。
それもそのはずで、日本ではカウンセリングは医療機関で提供されることが多く、病院にかかっていない方にとっては受ける機会が限られているからです。
この記事では、カウンセリングが実際にどんなことをするのか、そしてどのように生活や心に役立つのかを、わかりやすくお伝えしていきます。
カウンセリングの定義
カウンセリング辞典では、カウンセリングは「言語的および非言語的コミュニケーションを通して、行動変容を試みる人間関係」と定義されています。
少し難しく聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば 「カウンセラーとクライエントが言葉や態度を通してやりとりをし、その人の考えや行動がより良い方向に進むように支えていく関係」 のことです。
日本では「カウンセリング=心の病の治療」というイメージが依然として強く、精神科や心療内科と混同されることも少なくありません。
一方、欧米ではカウンセリングは 自己理解や自己成長、人生の課題に取り組むための方法 としても広く利用されています。たとえばイギリスの調査では、成人の約35%が一度はカウンセリングや心理療法を受けた経験があると報告されています(BACP調査より)。
さらに別のレポートでは、カウンセリングは「特別な人が受けるもの」という誤解が残っているものの、実際には 誰にとっても役立つ“心の健康のツール” であり、病気の有無にかかわらず「予防」や「自己成長」のために利用できる価値があると強調されています。
このように見ていくと、日本では医療のイメージが強かったカウンセリングも、海外では 一般の人にも開かれた自己成長のための手段 として捉えられていることがわかります。つまり、カウンセリングは「今の自分をもっと自分らしくイキイキと生きるためのきっかけ」として活用できるのです。
カウンセリングの実際
カウンセリングと聞くと「ただ話を聴いてもらうだけ」というイメージを持たれる方も多いかもしれません。もちろん安心して話せること自体に意味はありますが、それだけがカウンセリングの役割ではありません。
では実際のカウンセリングではどのようなことをしているのでしょうか。
1. 気持ちの整理
日々の中で抱えているモヤモヤや不安を言葉にしてみると、頭の中が整理され、感情も落ち着いていきます。すると、「何に悩んでいたのか」「本当は何を大事にしたいのか」が少しずつ見えてきます。
2. 自己理解の促進
自分の考え方や行動パターンを振り返り、「なぜこうしてしまうのか」「自分はどういう価値観を持っているのか」を理解することができます。自己理解が深まることで、周りに振り回されにくくなり、自分らしい選択や判断がしやすくなります。
3. 行動の方向づけ
整理した気持ちや価値観をもとに、「これからどうしたいのか」「次にできる小さな一歩は何か」を一緒に考えます。理想論ではなく、現実的に取り組める行動につなげていくことを重視しています。
4. 安心できる相手と行動を振り返る
実際に行動に移した後は「やってみてどう感じたか」「無理はなかったか」を一緒に振り返ります。カウンセラーは、否定や評価をせず、安心して話せる存在です。実際に行動した際は自己成長につなげられるように、その過程を振り返っていきます。逆に、行動に移せなかった時も、できなかった背景・理由を一緒に考えていくことで次につなげていきます。
このようにカウンセリングは「話を聴いてもらう」ことを出発点にしつつ、気持ちの整理から自己理解、そして行動のサポートまでを含む「心の伴走」として機能します。私自身もこの流れを大切にしながら取り組んでいますが、その具体的なスタイルについては後の章で詳しくご紹介します。
誤解されやすいポイント
カウンセリングというと、まだまだ誤解されやすい部分があります。ここでは代表的な3つを紹介します。
1. 「弱い人が行く場所」ではない
カウンセリングは、心が弱いから受けるものではありません。むしろ「より良く生きたい」「もっと自分らしくありたい」と考える人が、自分の人生を前に進めるために利用するものです。体の健康を維持するためにジムに通うように、心の健康を整える手段のひとつと考えてよいでしょう。
2. 「アドバイスをもらう場」ではなく「一緒に考える場」
カウンセラーは答えを一方的に与える存在ではありません。むしろ、クライエントと一緒に考え、気持ちや価値観を整理しながら、自分自身で答えを見つけられるようにサポートします。そのため「正解を教えてもらう」というよりも、「自分らしい選択肢を見つけるための対話の場」と言えます。
3. 「1回で劇的に変わるものではない」
映画のように一度で劇的に変化するものではありません。ただし、数回のセッションを重ねることで少しずつ変化が積み重なり、気づけば以前より楽に考えられるようになったり、行動しやすくなったりします。変化はゆっくりでも、確実に心の土台を育てていくものなのです。
カウンセリングを受けるとどう変わる?
カウンセリングを受けることで、次のような変化が期待できます。
・気持ちを整理することで、日常のモヤモヤや不安が軽くなる
・自分の価値観や方向性が明確になり、進む道が見えてくる
・不安や落ち込みに対処しやすくなる
・行動の優先順位がはっきりし、次の一歩が踏み出しやすくなる
こうした変化は一度で劇的に起こるものではありませんが、続けて取り組むことで少しずつ積み重なり、自分らしい生き方に近づいていきます。
私自身、これまで1万回以上のカウンセリング経験を積んできましたが、最初は不安でいっぱいだった方が「気持ちを言葉にする」ことから少しずつ整理され、やがて自分らしい選択をできるようになる姿を何度も目にしてきました。
カウンセリングは「弱いから行く場所」ではなく、「より自分らしく生きるための伴走者を得る場所」だと感じています。
私のカウンセリングのスタイル
私はこれまで、総合病院や精神科クリニックで 10,000回以上 のカウンセリングを行ってきました。対象は、思春期の子どもから働き盛りの世代、人生の転機に立つ中高年や高齢の方まで、幅広いライフステージに及びます。
また、個人のカウンセリングにとどまらず、夫婦カウンセリングや家族カウンセリングも行ってきました。家族関係やパートナーシップの問題を「関係の中」から解きほぐすことにも力を入れてきました。
そのすべてで大切にしているのは、
「気持ちを丁寧に聴き、理解を共有しながら整理し、その人の価値観に根ざした方向性を一緒に見定め、現実的な行動につなげていくこと」 です。
これは単なる共感や傾聴にとどまらず、自己理解から行動の変化までを伴走するプロセスだと考えています。
さらに、専門家になる過程で、自分自身もクライエントとしてセラピーを受ける「教育分析」を経験してきました。この体験によって、「カウンセリングを受ける側」の気持ちを実感をもって理解できることは、私ならではの強みだと思っています。
カウンセリングは「弱い人が受けるもの」ではありません。誰にでもある悩みや迷いに対して、安全な場で一緒に考え、自己理解と成長につなげていく――それが私のスタイルです。
スキルマーケットでオンラインカウンセリングを提供していますので、そのようなカウンセリングにご関心のある方はご検討ください。
【臨床経験14年 公立病院心理師の深掘りカウンセリング】
https://skill.libecity.com/services/21647
【臨床14年公立病院心理師のもやもや整理セッション】
https://skill.libecity.com/services/29966
カウンセリングについてDMなどでご質問いただければ、より詳しいご説明もさせていただきます。
おわりに
カウンセリングは特別な人のためだけのものではなく、誰にとっても役立つ“心のサポートツール”です。
不安や迷いを抱えた時に、自分ひとりで背負い込む必要はありません。
カウンセリングは、あなたの歩幅に合わせて共に立ち止まり、共に考え、一歩を踏み出していける場所です。
もし「今の自分をもっと理解したい」「これからの方向性を見つけて、よりよく生きていきたい」と感じているなら、ぜひ一度体験してみてください。
その小さな一歩が、これからのあなたの人生をより自分らしく、心地よいものにしていくきっかけになるかもしれません。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。