- 投稿日:2025/10/17
「ジビエ」とは、自然の中で育った野生の鳥獣の肉のこと。
人工的に飼育された肉と違い、
その季節の気候・食べた草木によって風味が変わるのが魅力です。
ヨーロッパでは赤ワインと合わせるのが定番ですが、
実は日本酒の“旨味”と“酸味”も、
この“自然由来の味わい”に見事に寄り添うんです。
鹿や猪、鴨などの濃厚な味わいを、
日本酒の穏やかな甘みと発酵の深みがまろやかに包み込む。
それはまるで「森と田んぼの出会い」。
このマリアージュには、静かな野性のロマンがあります🍁
1. 鹿のロースト × 熟成純米酒🦌🔥
赤身が多く、脂が少ない鹿肉は“上品な野性味”が魅力。
その肉質を活かすには、焼きすぎず、
ミディアムで仕上げたローストがベストです。
噛むたびにじわっと広がる鉄分と旨味。
これを引き立てるのが熟成感のある純米酒。
常温〜ぬる燗で飲むと、
酒の旨味と酸が肉のコクを包み込み、まるでソースのような役割を果たします。
ポイントは、“焦げの香り”と“米の香ばしさ”の重なり。
軽く黒胡椒をふり、付け合わせに焼き栗や根菜を添えれば、
まるで秋の森を丸ごと味わうような一皿に。
🟩おすすめペアリングの温度:40〜45℃のぬる燗
🟩合わせたい日本酒タイプ:熟成純米、山廃純米
2. 猪鍋(ぼたん鍋) × 山廃仕込みの燗酒🐗🍲
冬のジビエといえば猪。
しっかりした脂と力強い旨味が特徴で、
特に味噌ベースの「ぼたん鍋」は日本酒との相性が抜群です。
鍋のスープには猪の脂のコクが溶け込み、
口に広がる甘みを、山廃の酸がきれいに切ってくれる。
温度が上がるにつれて酒の旨味が丸くなり、
味噌・野菜・肉の三重奏が完成します。
山廃の力強い旨味が、猪肉の香りに負けない。
そして乳酸系のまろやかな酸が、脂のしつこさをスッと流す。
この“攻めと守り”のバランスこそ、日本酒ならではの魅力です。
猪肉を煮込みながら盃を傾ける時間は、
まさに“冬のごちそうを迎える儀式”。
体も心も芯から温まります。
🟥おすすめペアリングの温度:45〜50℃の熱燗
🟥合わせたい日本酒タイプ:山廃純米、生酛純米、熟成系
3. 鴨の燻製 × 吟醸冷酒🦆❄️
ジビエの中でも一番ワイン寄りな鴨。
脂の甘みと燻製香が特徴で、
そこに合わせたいのが香り高い吟醸系の冷酒です。
冷やすことで香りが引き締まり、
燻製のスモーキーな香りと吟醸香が見事にハーモニーを奏でます。
口に含むと、脂の甘さの中に酒の果実香がふわり。
一瞬、和食なのにフレンチのようなエレガンスを感じるはず。
また、塩だけで仕上げた鴨ロースに、
黒胡椒やバルサミコを少し加えると、
酒の香りの奥行きがさらに広がります。
鴨と吟醸は、“和の香りの競演”。
冷酒グラスでゆっくり香りを楽しみながら、
ゆるやかに酔っていく時間が似合う組み合わせです。
🟦おすすめペアリングの温度:10〜12℃
🟦合わせたい日本酒タイプ:純米大吟醸・純米吟醸、爽やか系の生酒
まとめ🍶✨
ジビエは「自然の旨味」、日本酒は「発酵の旨味」。
この二つが出会うと、味わいは倍にも三倍にも膨らみます。
鹿には熟成純米でコクと鉄分を調和🦌
猪には山廃燗で脂を優しく包む🐗
鴨には吟醸冷酒で香りを重ねる🦆
野性と和の融合。
それがジビエ×日本酒の最大の魅力です。
焚き火のそばでも、こたつの中でも。
ゆっくりと盃を傾けながら、
自然の力と発酵の知恵が生み出す“静かな贅沢”を味わってみてください🍂🔥🍶