- 投稿日:2025/10/26
はじめに
こんにちは。元大手大学受験予備校職員の”たけいし”といいます!
私はこれまで大学受験予備校で多くの受験生、保護者と関わってきました。
受験期になると、多くの保護者と子どもが一度はぶつかるのが「進路の話し合い」です。
保護者としては、
「子どもの本音を聞きたい」
「応援したい」
という気持ちがある一方で、
●進路の話をどう切り出していいかわからない
●話すと険悪なムードになってしまう
●結局まともに話せないまま受験が近づいている
といった悩みを抱える方も少なくありません。
特に受験期の子どもは、将来への不安と目の前の勉強のプレッシャーを同時に抱えています。
そのため、少しの言葉でも敏感に反応してしまう時期です。
この記事では、これまで多くの受験生と保護者の面談を行ってきた立場から、
進路の話を自然に引き出し、子どもの考えを整理するための「具体的な話し方・聞き方」を紹介します。
① 「志望校どうするの?」ではなく、まず“安心”をつくる
進路の話し合いを始める前に、最も大切なのは 「話しても大丈夫」という空気をつくること です。
多くの親御さんがやってしまいがちなのが、
「そろそろ志望校を決めなきゃね」 「このままだと間に合わないよ」
と“受験”そのものを話題の入口にしてしまうこと。
これでは、子どもは防御モードになり、話が深まりません。
まずは、勉強や進路に直接触れない“世間話のような会話”から入るのが効果的です。
〈具体的な切り出し例〉
●「最近、学校の授業どう?」
●「この前の模試、なんか印象に残ってる問題あった?」
●「休み時間って何してるの?」
このときのポイントは、すぐに「成績・進路・目標」に話をつなげないこと。
あくまで“子どもの世界”を聞く姿勢を見せることが、信頼関係の土台になります。
② 「将来何になりたい?」より「どんな環境が合いそう?」
進路相談の会話でよくある親の質問が
「将来何になりたいの?」
ですが、これがプレッシャーになるケースは非常に多いです。
高校生の多くは「明確な将来像」を持っていません。
その状態でこう問われると、
●「わからないとダメな気がする」
●「ちゃんと考えていない自分が責められているように感じる」
と受け止めがちです。
その代わりに効果的なのが、環境やスタイルに目を向けた問いかけです。
〈おすすめの質問例〉
●「どんな授業だったら楽しそうだと思う?」
●「1人で黙々とやるのと、みんなと話しながらやるの、どっちが好き?」
●「都会と地方、どっちのほうが自分に合いそうかな?」
こうした質問なら、子ども自身が“自分の感覚”をベースに話しやすくなります。
将来の方向性が決まっていなくても、
「自分はこういう環境やスタイルが合う」という手がかりが見え始めるのです。
③ 話し合いは「7割聞く・3割伝える」
進路の話し合いで最も重要なこと――
それは 「親が話しすぎない」 ことです。
保護者の方の中には、
●自分の経験を伝えたい
●リスクを考えて現実的なアドバイスをしたい
●何とかして方向性を決めてあげたい
という思いがあると思います。
しかし、子どもからすると、
「結局、親が言いたいことを言ってるだけ」
と感じてしまい、話し合いが一方通行になることも多いです。
まずは、子どもの話を遮らずに最後まで聞く姿勢が基本です。
〈良い聞き方の例〉
●「そう思うんだね」
●「その考えにはこんな理由があるんだね」
●「ちょっと詳しく教えてもらってもいい?」
こうした受け止めの言葉を挟むだけで、子どもは“否定されていない”と感じ、安心して話せます。
④ 親がやってしまいがちな「地雷ワード」と言い換え例
言葉の選び方ひとつで、話の“空気”は大きく変わります。
いくつか例を示します。
「一緒に考える」というスタンスが大切です。
⑤ 一度で決めようとせず「進行形の対話」にする
進路の話し合いで失敗しやすいパターンが、
「今日の話し合いで、どうするかを決めてしまおう」
と“結論を急ぐ”ことです。
受験期の子どもは気持ちの揺れが激しく、
模試の結果・友人の話・担任の意見など、外部の影響を強く受けます。
1回の話し合いで結論を出すよりも、
「何度かに分けて話す」方が、子どもが自分の考えを整理しやすくなります。
〈親のスタンス例〉
●「今日の話は、決めるためじゃなくて考えを整理するための時間にしよう」
●「またちょっと経ったら続きを話そうか」
こう伝えるだけで、子どもにとって話しやすい場になります。
⑥ まとめ
●進路の話は 「情報共有」ではなく「安心を作る対話」 から始まる。
●将来像ではなく「環境やスタイル」から話すと子どもが話しやすい。
●結論を急がず、少しずつ“進行形”で話を重ねていく。
●言葉の選び方で、子どもの受け止め方は大きく変わる。