- 投稿日:2025/11/02
- 更新日:2025/11/02
はじめに
昨年から我が家に住宅用太陽光発電システムを導入しました。1年間の実績データが揃ったので、このデータを元に向こう20年間のシミュレーションをしてみようと思います。実績データを元にすることにより、より確度の高いシミュレーションが出来るのでは?という趣旨です。
両学長が「毒キノコ」と表現する太陽光発電システム。 確かに多くのケースで経済合理性がないのは事実です。 しかし、それは「訪問販売で相場の2倍以上の価格で買わされている」ことが原因です。
私は徹底的に相見積もりを取り、適正価格で導入しました。 1年間の実績データを元に、本当に毒キノコなのか検証してみます。
システムの基本スペック
システム全体の容量:8.3kW
パワコン:5.5kWを1台
設置年月:2024年6月15日
設置角度:1.5寸(約8.5度)
方位:南南東
経済性に関する情報
設置費用:113万円(13.6万円/kW)
売電単価:16円/kWh(FIT期間10年間)
買電単価:31円/kWh
初期投資額:0円(フルローン)
2024年7月1日~2025年6月30日の実績値
発電量:10703kWh
売電量:8640kWh
自家消費量:2063kWh
売電収入:138,240円
買電支出削減額:63,953円
年間収入(売電収入+買電支出削減額):202,193円
年間支出(ローン返済):129,480円
利益:72,713円
20年間シミュレーション
前提条件
(1) FIT期間である10年間の売電単価は16円/kWh、11年目以降は8円/kWhとする
(2) 発電量は毎年1%ずつ減少
(3) 買電単価は31円/kWhで固定
(4) 15年目にパワコン交換費用として支出30万円
(5) メンテナンス費用として支出1.5万円/年
(6) ローン返済期間は10年
とします。巷でよく使われる数値ならびに保守的な試算とします。特に買電単価は近年右肩上がりであり、化石燃料のほとんどを輸入している日本においては今後も上昇が予想されるため実際の経済効果はこれ以上になる可能性が高いでしょう。
出典:経済産業省 資源エネルギー庁より
シミュレーション結果
1年目は実績値を使い、2年目以降を上記条件にてシミュレーションした結果が以下となります。
さすがにパワコン交換(15年目)は単年で約20万円の支出超過となります。それまでに累積で91万円の利益があり、その後も利益は継続します。
本ケースは
(1) 初期投資なし
(2) ローン返済中も黒字
(3) 20年で118万円の利益
(4) 電気代上昇なら更にメリット増
となりました。初期投資が無いためIRR(内部収益率)は計算できませんが、実質的に無限大のリターンといえます。自己資金を一切使わずに利益を生み出せることは、フルローンの最大のメリットです。
導入するためにやったこと
(1) 訪問販売は完全無視
(2) 一括見積りサイトで相見積もり
(3) 建築業を営む友人へ相談し相場を教えてもらう
(4) Nedoから居住地域の日照データを取得し自身でシミュレーション
(5) シミュレーションから希望するkW単価を15万円に設定
(6) kW単価15万円以下を目安に交渉
「ここまでやってこれかよ!」という声も聞こえてきそうです。私もそう思います。元々こういった計算や交渉が好きなのもあり楽しく進められた点は良かったです。
【参考】価格の目安
経済産業省の全国平均(2025年):32.6万円/kW
同じ8.3kWなら約270万円(157万円の差)
※経済産業省の調達価格等算定委員会のデータより
※訪問販売では営業コストが上乗せされ、 さらに高額になるケースが多く報告されています
導入するために家を建てるときから考えてたこと
屋根に穴を空けたくなかったのでキャッチ工法ができるガルバリウム鋼板を使いました。もし瓦屋根に搭載を考えている方は止めたほうがよい所存です。雨漏りリスクが跳ね上がります。
我が家は平屋であることもシステム導入の後押しとなりました。平屋ですとシステム導入時に足場が不要となるため設置費用が抑えられるのです。
建設前にシステム設置を前提として空配管を通しました。これも交渉材料に使いシステム導入の工賃を多少下げることに繋がりました。システム導入時に下手に穴を空けられることも無くなるため設置を考えている人は必ず空配管を通したほうがよいです。
まとめ
太陽光発電システムによる利益はスケールしません。日照率が上がることもシステム容量が急激に増えることもなく収入は上限があります。つまり重要なのは「いくらで買うか」です。くわえて借金して買うことです。
相見積もりを取らずに訪問販売や電気店の営業で契約するのは確かに毒キノコです。120%毒キノコになるでしょう。一方で適正価格で導入すれば資産形成の一助にはなると思います。