- 投稿日:2025/11/04
答えは、ズルをすることだ。
まぁ、そう聞くと不快に思うかもしれない。
だが、現代の「金の流れ」はズルの構造抜きでは語れない。
ここであらためて、この記事のカテゴリを見てほしい。
「守る力」の「詐欺・ぼったくり」である。
「ズル」は構造を知る者が勝つゲームである
こんな笑い話がある。
とある大富豪が使用人たちを全員外出させて、情報が漏れないようにした後、3人の息子に言いました。
「最速で稼げる方法を考えなさい。」
「3人の中で最も早く1億ドル稼いだ人に5億ドルをわたそう。」
「まずはアイデアを1つだけ私に宣言しなさい。」
「でなければ、ここから出て活動することは許さん。」
❶長男は潰れかけの会社を立て直して2年で1億ドルを稼ごうとした。
❷次男は株を買いまくって1年で1億ドル稼ごうとした。
しかし勝ったのは末っ子。何をしたのか?
❸事前に家の中へ協力者を迎え入れ、話し合いの最中にこっそりと家の金庫を開けさせ、数分で1億ドルを稼いだ。
この寓話が示すのは「ズルい者ほど、仕組みを先に見抜く」という真理である。
■ ルール(表の競技)
大富豪が提示したルール:「最速で1億ドルを稼いだ者に5億ドルを与える」
この言葉の表面的な意味に従えば、「正攻法でビジネスや投資などを行い、合法的に利益を得る」ことが前提になる。
長男・次男はその枠の中で「努力」や「才能」「戦略」を駆使して挑んだ。
つまり、ルールとは“社会的に認められた範囲内で勝つ方法”を指している。
■ ズル(裏の競技)
末っ子が行ったズルはルールの“外側”を見抜き、「最速で1億ドルを得る」ことだけを条件として字義通りに実行した。
つまり、「方法は問わない」という抜け穴を利用した。
さらにいうなら、3つの情報を持っていた。
① 「ゲームの定義が曖昧」であること
② 「家の構造を知っていて、金庫の中に1億ドル以上がある」こと
③ 「協力者を利用すれば現場操作が可能」だということ
この“ズル”とは、単なる不正行為というよりも、「前提を疑い、仕組みの穴を突く知恵」でもある。
もちろん倫理的にはアウトだが、発想としては“ゲームを俯瞰する力”を示している。
別に末っ子は、金庫からお金を盗まなくてもいくつか手はある。
❶既に所有している高額資産の売却
❷資産担保や信用に基づく短期融資で一時的に「1億」を確保して稼いだことにする。
❸融資が難しければ、友人・ネットワークからの短期確約
❹みんなで〇〇さんやポンジ・スキーム、クラウドファンディングのようにみんなからお金を集める。
合法から非合法を含めて、末っ子が現状持っているカード(情報や信用、手持ち資金)で手段が変わる。
情報を制する者が、ゲームを制する。
努力する前に、“どんなゲームなのか”を見抜け。
それが、末っ子が知っていた最大の“秘密”である。
現代の経済も同じだ。
法(ルール)を破らずに“ズルい構造”を利用して利益を得る者がいる。
厄介なことに、現代では犯罪までいかない方法をいかに上手に使うかが金稼ぎの本流になりつつある。
たとえば──
❶「相手」が望んで大金を渡した場合はどうか?
❷実体のない通常価格をあたかも大幅値引きしたかのように販売する。
(相場がなければ、だれにもわからない。)
❸希少性の高い商品を買い占めて、品薄になったタイミングで売る。
❹他よりも安く商品が仕入れられる場所や協力者を独占し、販売する。
❺遊技場、景品交換所、景品問屋の三者が関与することで、遊技客が事実上の換金を行えるようにする仕組み。
❻可愛いのだと、親に散髪に行くと行って3000円貰って1500円の床屋に行く(笑)
良い金儲けとは、付加価値が価格に乗っていても、お客が十分喜んでくれる。
悪い金儲けとは、価格に対してお客の喜びがついてきていないことをいう。
彼らに共通するのは「相手の心理と構造を読んでいる」という点だ。
決して、善悪の彼岸で話が終わらないところが面白い。
ズルとは、不正ではなく“先にルールを理解する力”である。
経済学の原点は「誰かを喜ばせた対価としてお金を受け取ること」だ。
しかし、他人に価値を提供せずにお金を得る人もいる。
それは大抵、「詐欺師・悪徳商法」か「投機家・ギャンブラー」だ。
ルールを先に理解して儲けたか、たまたま運が良かったかのどちらかである。
⇒ 世の中は正直者が損をするのではなく、「構造を知らない者」が損をする。
出典:漫画『出禁のモグラ』
国の経済(雇用・収入・物価の安定)が良ければ、政治が多少悪くても国民は何も言わないのと同じである。
「ズルい構造」の本質は“孤立”にある
マルチ商法や宗教ビジネスは、「孤立化」を巧みに利用している。
不思議に思わないだろうか?
駅前や街中でいかにもな勧誘をしているけど…。
「あの人たちの話を聞く人や近づく人なんているの?」
「なんでわざわざ家の前までやってきて勧誘するの?」と。
もちろん、勧誘する本人たちも、最初は「仲間を増やそう」と信じている。
だが、実際はその活動自体が”彼ら自身を孤立させる仕組み”になっている。
なにせ、勧誘すればするほど周囲は離れていく。
「なんか最近あいつ怪しいよね」と距離を置かれ、気づけば同じ“信者”しか周りにいない。
「本当は辞めたいけど、他の人もいるから”まだ”大丈夫。」
「ぜんぜん、私たちの話を聞いてくれないけど…頑張ろうね!」
「私たちだけが本当に良いものだって知っているのにね…。」
「でも”一人じゃないから”頑張れるね!」
「毎日理解してくれる仲間がいる!」
「わたしは、騙されていない!自分で選んでいる!」
出典:漫画『チェーンソーマン』
この段階で、人は”まとも”だからこそ判断力を失う。
外部の意見がなくなり、“内側の論理”が唯一の真実になる。
まともであるが故に、組織を破壊したり、逃げ出せない。
なぜ人は宗教にハマり、マルチに溺れるか?
それは用意周到、緻密に計算された手口で【孤立させるスキーム(枠組みを持った計画)】に陥っているからに他ならない。
蟻地獄にハマる蟻が、他の蟻となにも違いがないように、カルトやマルチの被害者は頭が悪いわけではない。
彼らは、孤立という構造に取り込まれた人間なのだ。
ただ、狙われる隙を見せてしまった人というだけである。
おそらく、私も何かしらに騙されている。
あくまで自分の中で、付加価値が価格に乗っていても満足しているからだ。
決して、現実の街中だけではない。
LINE、特定のプラットフォーム、メンバーシップ、オンラインサロン、場合によっては家族…。
外から見れば「異常なこと」でも、内側ではそれが「常識」になる。
そして、リーダーに依存する形で金も時間も吸い取られていく。
⇒ 人は孤立した瞬間に、どんなに賢くても“洗脳されやすい構造”に入ってしまう。
「守る力」とは、“ズルの構造”を見抜く知性である
私たちは”どう儲けるか”よりも、”自分はカモられていないか?”を考えなければならない。
詐欺・宗教・マルチ・情報商材etc...。
これらに共通するのは、「ズル」と「孤立」をセットで使うことだ。
相手の“欲望”を利用し、安心や希望を売る。
そして、疑う声を遮断する。
この構造を知らない限り、誰でもカモにされる。
あなたの払うお金は、誰の懐に入り、どんなルートで利益化されるのか。
引用画像:会社四季報業界地図 2025年版
例えば、仲介ビジネスとして「オンラインセミナー」を開催した場合、彼らの「キャッシュポイント(稼ぎどころ)」は最低でも2つ存在する。
ひとつは参加者から徴収する「セミナー参加費」であり、もうひとつは商品提供者(講師役)からの「リベート(紹介料)」である。
さらにキャッシュポイントを増やすことも可能であるが、最初から欲張りすぎるのも良くない。
まず彼らは「セミナー参加費」と「リベート」でしっかり稼ぐことを考えている。
開催頻度にもよるが、「セミナー参加費」だけでも月5万円は十分に狙える水準であり、「リベート」まで含めて考えれば、数十万円程度なら普通に稼ぐことができるだろう。
ちなみに、この予想は完全に当たっていなくても良い。
自分なりに、”どうすれば相手は儲けの取り分があるのか”を考えられれば良い。
とにかく…。
大事なのは、あなたは本当にその「商品」に対して、「付加価値」が価格に乗っていても、十分満足できるのか?という点だ。
では、改めて答えよう。
最も広く使われている「金儲けの方法」とは何か?
この2つである。
そして、引っ掛かりやすい原因は何か?
①自分が騙されないと思っていて、危機感が足りない。
途中で違和感を感じても「騙された自分」を認められずに損切りできない。
②相手のメリット、「そいつ」は何を得るのかを考えない。
万が一、確実に儲かる方法があるなら自分でやればいい。
みんなにも教えたいというお人好しであれば高い金を取らないし、ましてやローンなんて組ませない。
提供されるノウハウは単一の小さな改良であれば、効果があるだろうが、個人個人の変数(タイミング、資金、場所、性格、もともと持っているもの)が違いすぎて丸パクリしたからといって効果が出るわけじゃない。
ノウハウで出すのはお小遣いを稼ぎたいか、大きく儲けるための布石。
つまり、無料で運用できるのは理由がある。
③抽象化して物事を考えるのが苦手。
初期投資が60万円かかり、紹介料が一人当たり6万円なら、10人勧誘しないと黒字にならない。ましてや、様々な諸費用を見逃している。
目の前に成功したと言い張る奴がいても、本当に計算して成立するのかを考えなければならない。
特に確率、時間、費用、場所の4項目を自分ごとにすると、考えるヒントになる。
出典:漫画『呪術廻戦』
⇒ 「ズルい人」から身を守るには、ズルの仕組みを理解し、自分が“孤立しない環境”を作ることだ。
この記事が言いたいことは何か?
もちろん、犯罪教唆をしたいわけではない。
(犯罪教唆:他人をそそのかして犯罪を実行させる行為のこと。)
私が言いたいのは、ズルを排除するのではなく、ズルを分析する側に回れ。
社会の裏には必ず“構造”があり、それを知る人だけが損をしない。
いざという時に君自身を守ってくれるのは、
「人を騙すのはいけない」という”正論”なんかじゃない。
「ズルを分析する・考えてみる」普段の行いである。
それぐらいの方が、よっぽど健全だ。
正直さは美徳だが、構造を知らない正直者はカモになる。
あなたの「守る力」は、倫理ではなく“理解”から始まる。
「怖いね」ではなく、「面白い、よくできている」というのだ。
ん…?何…?
「騙されるぐらいなら、どうやって人を騙せるかを考えなさい。」というのは横暴だって?
おっしゃる通りだ。
ならば、こう言い換えよう。
