- 投稿日:2025/11/03
はじめに
「障害年金って、働いていたらもらえないんでしょ?」
「昔の病気が原因だけど、今から請求できるの?」
そう聞かれることがよくあります。
実は――
障害年金の世界では、たった1日 がすべてを決めるのです。
それが 初診日(しょしんび)。
この日がいつで、どんな年金制度に加入していたか。
そして、初診日の前日時点で保険料をきちんと納めていたか。
この2つで、
「障害年金をもらえるのか」
「どんな種類をもらえるのか」
が、まるで運命のように決まってしまいます。
「初診日」とは?
障害の原因となった病気やケガで
初めて医師の診療を受けた日。
それが「初診日」です。
たとえ転院しても、1日しか受診していなくても、一番最初の病院を受診した日が基準になります。
初診日時点で“運命”が決まる3つの要素
① 初診日の前日時点での「納付要件」
どんなに症状が重くても、保険料を納めていなければ、
障害年金は請求そのものができません。
要件は次の2つのいずれかを満たしていること。
1️⃣ 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
2️⃣ 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
1️⃣と2️⃣のいずれかを満たさない場合、障害年金は「門前払い=請求できない」ことになります。
つまり、初診日の時点で
「障害年金を請求できるかどうかの運命はもう決まっている」
のです。
② 受け取れる年金の種類
次に、初診日に加入している年金の制度によって、受け取れる障害年金の種類が決まります。
受け取れる年金の種類が違うと何が違うか。
まず、受け取れる等級が違います。
では、障害年金の等級の基準は 次のとおりです。
代表例として、
人工関節・心臓ペースメーカー置換・人工肛門造設・尿路変更術=3級
人工透析・喉頭全摘出=2級
遷延性意識障害=1級
などがあります。
③受け取れる年金額の違い
国民年金と厚生年金では、同じ等級・同じ症状でも受け取れる金額が全く違います。
厚生年金の方が範囲が広く、金額も高くなる傾向があります。
(日本年金機構HPより)

⚠️配偶者は年収850万円(所得655.5万円)未満が対象
⚠️子は18歳最初の年度末まで
(子が障害等級1・2級に該当する場合は20歳まで)
実際にどれくらい差がある?(モデル例)
障害厚生年金の報酬比例部分=70万円と仮定して試算。
単身の場合

夫婦こども2人の場合
受給者50歳、配偶者50歳、子2人(15歳・10歳)
報酬比例部分70万円の場合
<障害基礎年金>

<障害厚生年金>
👦 同じ病気・同じ症状でも「初診日」が厚生年金中か国民年金中かで、
1年で 100万円以上の差 が出ることもあります。
20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限
障害基礎年金の中でも、20歳前に傷病を負った人の障害基礎年金については、年金の加入を要件としていないことから、年金の支給に関して制限や調整があります。
20歳前の障害基礎年金とは?
対象者・条件・手続きの全体像を解説しています↓↓
https://library.libecity.com/articles/01JZEED0T3TFK22PH94WV146PG
👦 ✔️20歳以降に初診日がある場合(通常の障害年金)
✔️20歳前の初診日でも厚生年金加入中の初診日の場合
は、所得制限などはありません。
働いて給与をもらっていて、全額 障害年金を受け取れます。
障害年金のポイント
もし体調に違和感を感じたら、
「もう少し様子を見よう」ではなく、
まずは一度、病院を受診してください。
それが会社勤め中なら尚更です。
初診日は厚生年金加入中が良い!!
それが 健康を守るだけでなく、将来の権利を守る行動 になります。

障害年金のチェックリスト
✅ 初診日を確認🩺
初診日は確認できるか?
医療機関から初診日の証明書(=受診状況等証明書)を発行してもらえるか?
初診日が不明では年金請求しても不支給となる可能性大です💦
✅ 初診日の前日において納付要件を満たしているか確認💰
初診日が確定したら、納付要件を確認
納付要件がなければ、どんなに症状が重くても障害年金は受け取れません💦
✅ 障害年金がいくらぐらい受け取れるか確認📊
初診日の時点で加入している年金制度で大きく変わります。
万が一に備え、自分が働けない状況になったらいくら障害年金がもらえるのか把握しておくと安心です。
✅ 働いても年金はもらえるか確認💼
20歳前の年金未加入期間に初診日がある場合のみ所得制限があります。
おわりに
障害年金は、「どれだけ重い障害か」だけでなく、
「いつ・どの制度に加入していたか」
「年金を支払っているか」
も重要です。
初診日の時点で、
もらえるかどうか、そして何をもらえるのかがすでに決まっている――
だからこそ、
✅ 不調を感じたら早めに医療機関を受診する
✅ 加入制度と納付状況を定期的に確認する
✅ 障害年金の受け取り方法について事前に年金事務所や社会保険労務士に相談する
この3つが、未来のあなたを守る「年金の備え」になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
