• 投稿日:2025/11/11
“遺産は渡したくない”を実現できる? 相続人廃除という最後の手段

“遺産は渡したくない”を実現できる? 相続人廃除という最後の手段

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くろこぶたん@高配当株&メルカリ好き

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要約
祖母が歳を重ね相続を考えるようになった時、法定相続人である父にすべてを渡したいと言いました。ですが、父の兄姉にも遺留分があります。その中で「相続人廃除」という制度を知り、相談を重ねて学んだことを共有します。

◆ はじめに:なぜ「相続人廃除」を考えるのか

「遺産は特定の子には渡したくない」「家族に対してひどい仕打ちをした相続人の権利を剥奪したい」—このような悩みを抱える人は少なくありません。

日本の民法では、配偶者や子などの一定の相続人には遺留分という、最低限保証された相続の取り分があります。この権利があるため、たとえ遺言書で「全財産をAに相続させる」と書いても、他の相続人から遺留分侵害額請求をされてしまう可能性があります。

この強力な「遺留分」の請求権さえも失わせる唯一の法的な手続きが、今回解説する「推定相続人の廃除(すいていそうぞくにんのはいじょ)」です。


◆ 「推定相続人の廃除」とは?

「推定相続人の廃除」とは、被相続人(財産を残す人)に対して著しい非行や虐待を行った推定相続人(将来相続人になる人)の相続権を家庭裁判所の手続きを経て強制的に剥奪する制度です。(民法第892条)

【 廃除の対象となる人 】
廃除ができるのは、遺留分を持つ推定相続人に限られます。
・ 配偶者
・ 直系卑属(子、孫など)
・ 直系尊属(親、祖父母など)


◆ 廃除が認められる「厳格な要件」

相続人としての地位を奪うという非常に重い手続きであるため、家庭裁判所での審査は厳格です。単なる不仲や意見の対立では認められません。
つまり、「嫌いだから外したい」では通らない、というわけですね。

廃除が認められるのは、以下のいずれかの事由に該当する場合です。
1.被相続人に対する虐待:暴力、身体的な苦痛を与える行為
2.被相続人に対する重大な侮辱:名誉を著しく傷つける行為、人前で激しく罵倒する行為
3.その他の著しい非行:財産の浪費、多額の借金を作り被相続人に返済させた、犯罪行為、長期間の音信不通で被相続人を精神的に追い詰めたなど

裁判所は、これらの行為が客観的に見て著しいかどうかを判断します。

遺留分対策としては、廃除の要件に当たらない場合は、別の方法を検討する必要があります。


◆ 廃除以外で「遺留分請求」を避ける方法

廃除が難しい場合など、請求のリスクを減らしたり、請求額を抑えるための主な手段は以下の通りです。

・ 生前贈与
相続財産を減らす遺留分の算定には、過去10年以内の特別受益(結婚資金や住宅購入資金など過去に渡した現金の援助等、相続人が生前に受けた特別な利益)の価額も考慮されるため、請求額を減らせる可能性があります。

・ 生命保険の活用
財産を受取人固有のものにする原則として遺留分算定外ですが、著しく高額な場合は「特別受益に準ずる」として持ち戻されるリスクがあります。

・ 遺留分の生前放棄
権利を消滅させる家庭裁判所の許可が必要であり、放棄の見返り(対価)があるかなど厳しく審査されます。


◆ 相続人廃除の手続き方法

廃除の要件に該当して制度を活用したい場合、家庭裁判所での手続きが必要です。自動的には成立しません。

・ 生前廃除
被相続人本人が生存中に家庭裁判所に廃除の審判、または調停を申し立てます。

遺言廃除
被相続人が遺言書を作成し、廃除の意思と理由を指定。被相続人の死後、遺言執行者が家庭裁判所に廃除を請求します。


◆ 誰に相談する?相続人廃除と遺留分対策の専門家

相続人廃除や遺留分対策の手続きは専門知識を要します。ご自身の状況に合わせた最適な対策を選ぶためにも、法律の専門家への相談が不可欠です。

◇ 弁護士
弁護士は、法律事務全般を取り扱うことができ、唯一相続人廃除の手続き全体を代理できる専門家です。

代理権: 被相続人(または遺言執行者)に代わって、家庭裁判所への審判申立て調停手続きに立ち会うことができます。これは紛争性の高い案件(相続人廃除は権利剥奪を伴うため紛争性が高い)を扱うことができる弁護士特有の権限です。

助言・証拠収集: 廃除の要件を満たすかどうかの法的な判断、必要な証拠の収集に関する助言、陳述書などの作成を行います。

◇ 司法書士
司法書士は、裁判所に提出する書類の作成や、相続登記などを行います。

書類作成: 家庭裁判所に提出する相続人廃除の申立書や添付書類の作成を依頼できます。

訴訟代理権(限定的): 司法書士の場合、訴訟の目的の価額が140万円以下の民事事件について、簡易裁判所での代理権がありますが、相続人廃除の手続き自体は、通常、価額の問題ではなく家庭裁判所の審判であるため、手続きの代理人になることはできません申立書類の作成を担うことが主な役割です

【専門家を選ぶポイント】

手続き全体を任せて紛争に備えたい場合: 弁護士
申立書類の作成サポートを希望する場合: 司法書士


私は住んでいる地域の弁護士会の無料相談会を利用し、そこでの相談だけでも状況が整理して考えられるようになりました。


◆ まとめ:まず専門家へ相談を

ご自身の悩みが「廃除の要件」に該当しない場合でも、「法的に請求額を抑える方法は何か」など具体的な遺留分対策についても、専門家は適切なアドバイスを提供してくれます。
リベシティの中にも専門家はいますし、私の様にまずは無料相談などを利用して、具体的な対策の道筋をつけてみてはいかがでしょうか。

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