- 投稿日:2025/11/30
- 更新日:2025/11/30
はじめに
健康保険証の仕組みがここ数年で大きく変わろうとしています。
「2025/12/1から健康保険証が使えなくなるらしい🤯」
そんな話題を見かけて不安になった人もいると思います。
ただ制度の話はどうしても言葉が固くなりがちでうっかり誤情報も広まりやすい分野です。
この記事では厚生労働省やデジタル庁などの公的機関が出している一次情報をもとに
・いつ、何が、どう変わるのか
・マイナ保険証と資格確認書とは何か
・「2026/3末まで使える」という話の本当の意味
・わたしはどう行動したのか
を生活者目線で整理していきます。
情報は2025/11/30時点で確認した内容にもとづいています。制度や運用が変わる可能性もあるため、最後に載せている公式サイトもあわせて確認してみてください。
1 まず結論だけ先に知りたい人へ
最初にいちばん大事なポイントだけ先にまとめます。
・従来の健康保険証(紙やカードのタイプ)は有効期限の上限が2025/12/1までと決められています。
・2025/12/2以降は「マイナ保険証」か「資格確認書」を出すのが基本になります。
・ただし厚生労働省の事務連絡により2026/3末までは、期限切れの保険証などを持ってきた人でも、オンライン資格確認で資格が確認できれば保険診療として扱う暫定措置が設けられています。
つまり制度上の主役はマイナ保険証と資格確認書に完全にバトンタッチしますが2026/3末までは「うっかり古い保険証を持ってきた人」を救済する特例が用意されている、という構図です。
ここから先ではその中身を順番に見ていきます。
2 何がいつ変わるのか 時系列で整理
まずはスケジュールをざっくりと整理します。
2-1 2024/12/2 従来の保険証の新規発行が終了
厚生労働省や健康保険組合の案内では、従来の健康保険証は2024/12/2以降、新しくは発行されずマイナ保険証を基本とする仕組みに移行すると説明されています。
2-2 2025/12/1 すべての健康保険証の有効期限が切れる日
デジタル庁の「マイナンバーカードの健康保険証利用」のページでは
2025/12/1に全ての健康保険証の有効期限が切れることに伴い、同12/2以降は従来の健康保険証が利用できなくなる
と明記されています。
従来の保険証は2024/12/1時点で有効なものについて最長で2025/12/1まで使用できる、という扱いです。
2-3 2025/12/2以降 マイナ保険証か資格確認書が基本
2025/12/2からは、医療機関や薬局の窓口で提示する証明として
・マイナ保険証(マイナンバーカードを健康保険証として利用登録したもの)
・資格確認書(マイナ保険証を使わない人のための保険資格を示す書類)
のどちらかを出す、という形が基本ルールになります。
2-4 2026/3末まで 暫定措置の期間
厚生労働省保険局が2025/11/12付で出した「マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行について(周知)」という事務連絡では、2026/3/31までの間、
・有効期限が切れた保険証
・資格情報のお知らせ など
を持ってきた患者であっても、オンライン資格確認で保険資格が確認できれば、従来どおりの自己負担割合(多くの人は3割負担)で受診できる暫定運用を認める、とされています。
ここが「2026/3末まで使える」という表現の元になっている部分です。後で改めて整理します。
3 マイナ保険証と資格確認書とは何か
3-1 マイナ保険証
マイナ保険証とは、マイナンバーカードに健康保険証としての機能を持たせたものです。
・事前にマイナポータルなどで「健康保険証として利用する」申し込みをしておく
・医療機関や薬局の顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードをかざし、顔認証や暗証番号で本人確認を行う
・オンライン資格確認システムを通じて、保険資格や薬剤情報などを確認できる
という仕組みになっています。
利用申し込みは、マイナポータル、セブン銀行ATM、一部の医療機関や薬局のカードリーダーなどから行うことができます。
3-2 資格確認書
資格確認書はマイナ保険証を使わない人向けの「保険資格を証明する書類」です。
・加入している医療保険者(協会けんぽ、健康保険組合、市町村国保など)が無償で交付する
・医療機関や薬局の窓口で提示すると、従来の健康保険証と同じように自己負担3割などで受診できる
という位置づけです。
全国健康保険協会(協会けんぽ)の案内では、2025/7下旬〜10下旬にかけて、マイナ保険証を持っていない人などに対し、順次資格確認書を送付する予定とされています。
まとめるとマイナ保険証を使うか、資格確認書を使うかは選べますが、どちらにしても従来の健康保険証の役割をこの2つが引き継ぐイメージです。
4 「2026/3末まで使える」の本当の意味
ここが誤解が生まれやすいポイントです。
インターネット上では「結局、健康保険証は2026/3末まで使えるらしい」という表現を見かけることがありますが、元になっているのは前述の厚生労働省の事務連絡です。
事務連絡とそれを解説している医療団体の資料を読むと、内容は次のように整理できます。
・2025/12/2以降、制度上の原則は「マイナ保険証」か「資格確認書」
・しかし現実には、「期限が切れた従来の保険証しか持っていない人」や、「資格情報のお知らせだけを持ってきた人」も一定数いる
・そうした人について、オンライン資格確認システムで保険資格を確認できれば、
・有効な証明書として保険証自体を認めるのではなく
・暫定的な運用として、従来どおりの自己負担割合で受診できるようにしてよい
・この暫定運用の期限が2026/3/31まで
このため、「保険証そのものの有効期限が2026/3末まで延長された」という理解は誤りで
・有効期限そのものは2025/12/1まで
・2025/12/2以降は、マイナ保険証か資格確認書が正式な提示物
・ただし2026/3末までは、期限切れ保険証しか持っていない人についても、医療機関側がオンライン資格確認で救済できる
という三段構えで理解しておくのが現実的だと思います。
患者側としては、「期限切れでもどうせ何とかなるだろう」と楽観するのではなく、きちんとマイナ保険証か資格確認書を用意した上で、暫定措置はあくまで予備の安全網だと考えておくほうが安全です。
5 わたしはこうしました 事前準備の例
ここからは、制度の説明ではなく、わたし個人としてどう動いたかの例です。
私はマイナンバーカードと健康保険証の紐付けが始まったタイミングですぐに手続きをしました。
厚生労働省が2020/8/7に公表した「オンライン資格確認で利用する顔認証付きカードリーダーの導入・申し込み方法について」という資料の中で、マイナンバーカードを健康保険証として利用するための受付を、同日からマイナポータルで開始することが示されています。
私はこの日に即日、マイナポータルからマイナンバーカードの健康保険証利用の申し込みを行ったと記憶しています。
それ以降は、
・マイナ保険証に対応している病院や薬局では、基本的にマイナ保険証を使う
・念のため、従来の保険証も一定期間は財布に入れておき、トラブル時の保険として持ち歩く
という二重の備えを続けています。
今後についても、
・制度上の正式な提示物であるマイナ保険証を軸にしながら
・2026/3末までは、暫定措置を踏まえて期限切れ保険証もすぐには処分しない
という方針で考えています。
「マイナ保険証を絶賛おすすめします」というよりは、
・制度上はこう変わる
・自分はリスクを下げたいので、こういう二重・三重の備えをしている
という実務寄りの話として受け取ってもらえればと思います。
6 これから準備しておきたいチェックリスト
最後に、「ここだけ押さえておくと安心」というポイントをチェックリストにまとめます。
・マイナンバーカードを持っているかどうか確認する
・すでに持っている人は、健康保険証としての利用登録が済んでいるか確認する
・マイナポータル、セブン銀行ATM、一部の医療機関などから申し込みができます。
・マイナ保険証を使うつもりがない人は、資格確認書の送付時期や手続き方法を、自分の加入している保険者のホームページで確認する
・協会けんぽでは、2025/7下旬〜10下旬にかけて順次送付すると案内されています。
・かかりつけの病院やよく利用する薬局がマイナ保険証と資格確認書に対応しているかどうか、ホームページや窓口の掲示で確認しておく
・家族や、自分以外の人の保険証についても、「マイナ保険証」「資格確認書」「従来の保険証」の状況を一度確認しておく
このあたりを一度整理しておくと、2025/12以降の移行期も、余計な不安やトラブルを減らしながら乗り越えやすくなるはずです。
7 参考にした主な一次情報
この記事は、次のような公的機関の情報にもとづいて作成しています。(2025/11/30時点で内容を確認)
・厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」
・厚生労働省「オンライン資格確認で利用する顔認証付きカードリーダーの導入・申し込み方法について」(2020/8/7公表)
・デジタル庁「マイナンバーカードの健康保険証利用」
・各健康保険組合や国保組合の「マイナンバー制度」ページ(オンライン資格確認と保険証の有効期限に関する説明)
・全国健康保険協会(協会けんぽ)「マイナ保険証をお持ちでない方へ資格確認書を送付します」
・全国保険医団体連合会ほか「2025年12月以降も健康保険証が使える 2026年3月末まで暫定措置」など、2025/11/12付厚労省事務連絡の解説資料
この記事が読んでくださった方の「自分と家族の備えを見直すきっかけ」になれば幸いです。