- 投稿日:2025/12/13
こんにちは。元大手大学受験予備校職員の”たけいし”といいます!
私はこれまで大学受験予備校で多くの受験生、保護者と関わってきました。
私は予備校勤務のキャリアすべてを浪人生の担当として勤めてきました。
今回はその中でも、
今でも強く印象に残っている担当生徒4人 の思い出を振り返ります。
ただ「受験に成功した/失敗した」
という話ではありません。
受験勉強を通して、
大人でも身につけるのが難しい「人生を生きていく強さ」 を感じさせてくれた生徒たちの話です。
この記事を読んでほしい方へ
受験生・これから受験を迎える皆さんへ
受験勉強は、
単に知識を覚えたり、点数を取る技術を磨いたりするだけのものではありません。
もっと長い目で、人生を生きていくための「強さ」を身につける経験の一つとして、受験勉強を捉えてほしいと思っています。
先生・保護者の皆さんへ
「合格/不合格」という結果だけでなく、
受験勉強を通して子どもたちが成長した点をぜひ見つけ、認め、
次のステージへ進む背中を押してあげてください。
🌿「リスクを取って挑戦する強さ」を持つ
―某旧帝大学 医学部医学科に合格したAさん―
Aさんは、現役時には別の大学の医学部を受験し、残念ながら不合格となって浪人を決めた生徒です。
とても真面目で努力家。浪人生活の中で着実に実力を伸ばしていきました。
やがてAさんの中に、
「どうせなら、志望校の目標を一つ上げてチャレンジしたい」
という気持ちが芽生えます。
そこで視野に入れたのが、某旧帝大学の医学部医学科。
しかし模試では「絶対的安全圏」と言える判定は出ず、
共通テスト本番での合格可能性判定も C判定。
長く予備校職員を務めてきた私の見立てでは、C判定だったとしても十分合格圏内でしたが、確実なものはありません。
本人にかかるプレッシャーは相当なもので、
国公立大学出願締切の直前まで悩み続けていました。
ちなみにAさんは、
・私立大学には出願せず国公立大学一本
・現役時に受験した大学だったら、模試・共通テストともに安定してA~B判
でした。
あなただったら、どちらの大学に出願しますか?
Aさんにとっても、
現役時に受験した大学へ出願し、堅実に医学部合格を狙う選択も、決して間違いではなかったと思います。
それでも悩むAさんに、私はこう尋ねました。
「本番までの残り期間、自分が精一杯頑張れる選択はどっち?」
Aさんは少し考えて、こう答えました。
「やっぱり、この一年で新しく目標にした大学です」
そしてチャレンジを決意。
そこからは本番までこれまで以上の努力を重ねることはもちろん、
本番の前期試験が終わってからも、すぐ後期試験対策に切り替えていました。
最後まで努力を続けた結果――
見事に 某旧帝大学 医学部医学科に合格 しました。
Aさんから学んだのは、
「リスクを取って挑戦すること」
そして「その分、努力を怠らないこと」。
これからの人生でも、Aさんはきっと
自分の気持ちを見つめ、前向きに挑戦し続けることが出来るのだろうと思います。
※補足
旧帝大=
東京大・京都大・大阪大・北海道大・東北大・名古屋大・九州大
🌿「基礎を軽視しない人」は、強い
―某旧帝大学 医学部医学科に合格したBくん―
Bくんは再受験生です。
一度は別の国立大学医学部に進学したものの、事情があり中退。
そこから再び医学部を目指し、予備校にやってきました。
志望校は、
かつて進学した大学より 数段レベルの高い某旧帝大学医学部。
旧帝大医学部に合格する人は、全国でもトップ層の学力を持つ人。
超難関です。
正直、全国規模の予備校であっても、合格するのは最上位クラスもしくは上位クラスの中でも一部の人でしょう。
しかしBくんは、
予備校の5段階クラスのうち 上から4番目のクラス に所属していました。
使っている教材も、
最上位クラスと比べると、一見すると「基礎的」と感じる内容ばかり。
それでもBくんはその教材を徹底的にやり込み、
見事旧帝大の医学部医学科に合格することができたのです。
ここで私がBくんから学んだのは、
基礎徹底の重要性です。
難関大学を目指すほど、
難しい問題集や参考書に手を出したくなります。
・難問に取り組んで「頑張っている気」になる
・予備校の”分かりやすい”授業を聞いて「自分でもできた気」になる
これらは誰にでも起こりうることです。
しかし大切なのは、
・本当に自分の力で解ける問題がどれだけあるか
・勉強は基礎からの積み上げ式であること
です。
つまり、基礎の土台から確実に自分で解ける・理解できる問題を増やしていくことこそが、合格のために必要なことです。
Bくんはそれをよく理解していました。
予備校でも
「簡単な内容ばかりしても意味が無い」
「上位クラスでもっと難しい問題を教えてほしい」
と言う生徒がたくさんいます。
もしもあなたが「基礎的なことを勉強したって簡単すぎる」と感じていたとしても、
その「基礎」を徹底すれば、旧帝大医学部にも通用する。
Bくんはそれを体現してくれた生徒でした。
🌿実直に積み重ねる強さ
―地元国立大学・総合型選抜で合格したCさん―
Cさんは現役時から志望していた地元国立大学に、総合型選抜で挑戦することを決めました。
その試験には面接が課せられていましたが、
面接の練習では、最初のうちは、まったくと言っていいほど「話せない」状態でした。
「志望理由書」や「入学後のビジョン」を自分の言葉で語るどころか、
「自己紹介」や「アイスブレイク的な質問」にも全く言葉が出てきません。
総合型選抜では特に過去・現在・将来の筋が通ったストーリーと、入学を希望するにあたっての明確かつ強い目的意識が求められます。
これはまずい・・・ということになり、
そこで私とCさんで話し合い、取り組んだのは次の2つです。
1️⃣ 想定質問への回答を暗記するのではなく、自分の軸だけを言語化する
2️⃣ その軸を、家族・友達・私に、雑談でもいいので、『合計100回』喋る
例えば、
推しの歌手や好きなスポーツのことを友達と話す時、人は自然と
「好きになったきっかけ」
「なぜ好きなのか、魅力は何か」
「これからしてみたいこと」
などを夢中に語れるはずです。
それと同じように、
面接という形式を一旦無視して、とことん語ることに意識を向けました。
それを合計100回です。
実際にそれだけの回数実行したのか確かめようはありませんが、
結果、入試直前の模擬面接では、
Cさんは見違えるほど自分の言葉で想いを語れるようになっていました。
おそらく本当に100回近く実践を繰り返したのかもしれません。
Cさんから学んだのは、
「実直さ」。
たった一回の行動では大きく成果が出るわけではないことでも、
自分のためにひたすらそれを続けることができる強さがCさんにはありました。
🌿次のステージを見る力
―東京大学に「不合格」となったDくん―
Dくんは現役時から東京大学志望。
成績も良く、合格してもおかしくない実力を持っていました。
しかし東京大をはじめとする最難関大では、
わずかなミスでさえ合否を分けます。
それが受験の怖さでもあります。
残念ながら東京大の受験結果は不合格。
合格していた私立大の慶應義塾大学理工学部へ進学することになります。
志望校に合格できなかった生徒でも最後に挨拶に来てくれることはあります。
しかしDくんはもともと寡黙で、
自分から挨拶に来てくれるようなタイプではないだろうなと勝手に想像していました。
しかし、Dくんは自ら最後の挨拶のために予備校に顔を出してくれました。
それも意外なことに、いつも見せないような晴れやかな表情で。
そこでDくんは
「じつは、自分にはずっと目標にしている夢がある」
と語ってくれました。
「工学分野に進んで、〇〇の研究をしていつか△△の力になりたい」
と。
Dくんは確かに優秀で、能力の高い生徒でしたが、
そこまで明確な夢を持っていることは正直意外でした。
Dくんは最後に
「だから、慶應でまた頑張ります」
と言って予備校を後にしました。
Dくんからは
「次のステージに目を向けることの大切さ」
を学びました。
現役時から数えると約二年間、中高一貫校から東京大を受験するくらいだったので、もしかすると小学生の時から「受験」を意識して頑張ってきたのだと思います。
そうなれば当然、不合格だったときは相当の悔しさがあったはず。
受験は
「合格か不合格か」
ハッキリとした結果がある分、残酷です。
しかしDくんは、
合格か不合格かという結果から気持ちを切り替えて、次のステージに目を向けていました。
きっとDくんの中では、受験勉強の「過程」で学んだこと自体はずっと残り続けて夢を支えていくのだろうと感じました。
おわりに:教育とは未来への投資です
教育とは未来への投資です。
コスト(お金・時間・労力)をかけたその瞬間に、臨む結果が得られるわけではありません。
受験においては、合格か、不合格かに目を向けたとき、コストをかけたからと言って必ずしも合格するという保証はありません。
しかし、そこに投下した自分自身の努力は、長い時間をかけてじっくりと育ち、いつか受験を離れた別のフィールドで芽を出すこともあります。
私が好きな言葉の一つにアインシュタインの次の言葉があります。
『学校で学んだことを一切忘れてしまった時に、なお残っているもの、それこそが教育だ』
受験生の皆さんが、この受験勉強で学んだことを一切忘れてしまったとして、それでも残るものは何でしょうか?
きっとそれは「なにか一つのことに向けてがんばった」という経験ではないかと思います。
次のステージに進んだ後も、その経験は自分の力になるはずです。
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これからも受験生と保護者の役に立つ情報をお届けしていきます。