- 投稿日:2026/01/10
- 更新日:2026/01/10
はじめに
考えたくもないですが、もしあなたが亡くなったら、今運用しているNISAはどう扱われるかご存知でしょうか?
正直、私は知りませんでした。と言いますか、考えていませんでした。
家族の形も多様化し、いろいろな立場の方がおられると思います。
そして『私は知ってるよー』と投資をしている本人は分かっていても、あなたがもしもの時、残された家族は
「どこに口座があるか」「何から連絡すればいいか」「そもそも投資なんかしてたんだ」
と、訳が分からず困り果ててしまうことは目に見えています。
しかも相続の話は重いので、準備を先延ばしにしやすいのが正直なところだと思います。
ここで伝えたいのは大がかりな対策ではありません。
家族が新たにスタート地点に立てる状態を最低限だけ整える。この記事はそのためのものです。
結論から
1 本人が亡くなるとそのNISA口座の非課税の扱いは止まり、相続人がNISAのまま運用を続けることはできません。
2 相続人は「非課税口座開設者死亡届出書」を遅滞なく提出する。
3 手続きをしていないだけで自動的に国庫に入るわけではありません。国庫に帰属するのは、相続人がいないなど特別な手続きに進んだ場合です。
4 家族困らないようにする鍵は「金融機関名」と「相続窓口に連絡できる手がかり」を残すことです。
このあと、家族が今から使用できる最低限チェックリストと家族へのメモのテンプレを載せます。
新NISAで死亡時に起きること
1 NISA口座の上場株式等は、死亡時にNISA口座から払い出されます。
2 死亡時点までの含み益は非課税扱いになります(逆に、譲渡損失はなかったものと扱われます)。
3 相続人が受け取るときの取得日は死亡日、取得価額は死亡日の終値相当として、相続人の特定口座や一般口座へ移される扱いです。
遺族の手続きの流れ
家族がやることはだいたいこの順です。
1 金融機関の相続窓口に連絡する
2 必要書類の案内を受ける(金融機関の指示に従う)
3 非課税口座開設者死亡届出書などを提出する
4 相続人名義の口座で受け取る(移管、売却、現金受け取りなどは案内に従う)
なお、過去に金融機関を変更していたり、何らかの事情でNISA口座が複数の金融商品取引業者等に関係している場合は、NISA口座が開設されている全ての金融商品取引業者等に対して死亡届出書を出す扱いになっています。
国庫に入るのはどんなときか
結論から言うと、相続人がいるのに「知らなかった」「連絡しなかった」だけで没収される、という話ではありません。
国庫に帰属するのは相続人の存在が明らかでない、または相続人全員が相続放棄して結果として相続する人がいない、などのケースで家庭裁判所が相続財産清算人を選任し、清算後に残った財産が国庫に帰属する流れに進んだ場合です。
なので現実的な優先順位はこうです。
・国庫を心配する前に、家族が「連絡できる」状態を作る
・次に、必要書類が見つかる状態を作る
実用パート
ここから先は家族が困らない為の最低限チェックリストと、家族メモのテンプレです。
全部やらなくて大丈夫です。まずは1つでも埋めれば前進します。
最低限チェックリスト
1 金融機関名(証券会社名、銀行名)を1行で書く
2 新NISAがあることだけ書く(詳細は不要)
3 相続窓口の探し方を書く(公式サイトで「相続 手続き」と検索、でOK)
4 取引店や支店が分かれば追記する(不明なら空欄でOK)
5 口座番号など本人特定に必要な書類の保管場所を書く(どこにあるかだけ)
6 ログイン情報の保管場所を書く(パスワード自体は書かない)
7 登録メールアドレスを書く
8 登録電話番号を書く
9 郵送物の送付先住所が現住所か確認し、違うなら「要変更」と書く
10 配当金や分配金があり得ることを一言書く(ないなら「基本なし」でもOK)
11 出金先口座がある場合、その金融機関名だけ書く
12 本人確認で聞かれそうな情報のヒントを書く(書ける範囲で)
13 家族が見つけられる場所に「家族メモ」の存在を伝える(中身は全部言わなくてOK)
14 年1回の見直し日を決める(誕生日月などで固定)
当てはまる人だけ 追加チェックリスト
パターン1 家族に投資を詳しく共有していない人
・メモは「証券口座がある事実」と「連絡すれば進む」だけに絞る
・資産額は書かない、と決める
・保管場所だけ家族に伝える
・家族が勝手にログインしない方針を書く(トラブル回避)
・郵送物が来る設定なら、郵送物の置き場を固定する
・共有しづらい理由を一言だけ添える(責めないためのクッション)
パターン2 個別株や複数銘柄がある人
・「個別株あり」とだけ書く(銘柄名は不要)
・配当がある可能性、と一言書く
・単元未満など細かい形があり得る、と一言書く
・取引報告書などの書類の置き場を固定する
・相続中は基本動かせない、と家族に先に伝える
・相続後は課税口座での扱いになる可能性がある、と一言書く
パターン3 どこの証券会社か分からなくなる不安が強い人
・郵送物が来る設定にできるなら、紙が残る設定を検討する
・メール検索ワードを家族メモに書く(例:証券、取引報告書 など)
・スマホのアプリ一覧で判断できる可能性がある、と書く(ログインは不要)
・上場株式等の口座開設先は、証券保管振替機構の開示請求で確認できる場合がある、と書く
・開示請求は郵送手続きで、結果送付まで時間がかかり得る、と添える
・だからこそ「金融機関名だけでも残す」を最優先に戻す
家族に渡す 最小メモのテンプレ(紙1枚かメモ1枚)
家族メモ
・金融機関名:
・支店名(分かれば):
・口座の種類:新NISAあり
・本人特定の情報がある場所:例 書類フォルダ、引き出しなど
・ログイン情報のある場所:例 パスワード管理アプリ名、紙の保管場所
・パスワードの扱い:ここには書かない(別管理)
・登録メールアドレス:
・登録電話番号:
・最初にやること:金融機関の相続窓口に連絡して手順と必要書類を確認する
・本人確認のヒント(書ける範囲で):
まとめ
新NISAは本人が亡くなると非課税の扱いが止まり、相続人がNISAのまま引き継いで運用を続けることはできません。一方で放置しただけで国庫に入るわけではなく家族が手順を踏めば手続きは進められます。
とはいえ家族が困る原因は制度よりも、事前に話し合っていない、連絡先や手がかり等、情報共有をしていないことです。だからこそ、完璧を目指すより、家族が動き出せる最低限の状態を作るのがいいと思います。
明日からできる行動はこの3つです。
1 家族メモをテンプレどおりに埋める(まずは金融機関名だけでOK)
2 家族に「メモの保管場所だけ」伝える(中身を全部言わなくても前進します)
3 年1回の見直し日を決めて、住所と連絡先だけ更新する
そして最後にこれだけは強くおすすめします。
家族でもしもの時のために、一度でいいので話し合ってみてください。メモの保管場所と、何かあったら相続窓口に連絡する、ここだけ共有できれば十分です。