- 投稿日:2026/02/19
- 更新日:2026/04/04
第9話 「20年前の気づき」との関係
読者の皆さんと歩む、じわじわとした変化
新しく読み始めてくださった方から、心強いメッセージをいただきました。
「60歳以降のFIRE問題、私も考えることが多々あります。第1話から拝読いたします。投稿ありがとうございます。」
しんしのれいんさん、ありがとうございます。 60歳を過ぎてからでも、人生のハンドルは何度でも握り直せます。その「じわじわ」とした歩みを、ぜひ一緒に辿っていただければ嬉しいです。
■ 喉元まで出かかっていた、言葉にできない違和感
FIREという言葉を知るずっと前から、私の心の奥底には、消えない残り火のような自由への渇望がありました。
税務調査という、常に人を疑い、数字の裏側を暴く仕事を定年まで続けることへの疑問。往復4時間の、体力を削り取るような通勤地獄。そして、積み上げてきた誇りを一瞬で無効化するような、想定外の転勤。
これらは決して贅沢な悩みではありません。家族と食卓を囲み、心穏やかに明日を迎えたいという、人としてあまりにも自然な願いでした。 あの頃、胸の奥で静かに広がっていたのは、焦りでも怒りでもなく、「このままでいいのか?」という、冷たく、けれど確かな違和感だったのです。
■ 南国のカクテルよりも、手触りのある自由を
当時の私が抱いていたFIREのイメージといえば、白い砂浜でヤシの木を眺めながらカクテルを傾ける、そんな別世界の物語でした。宝くじに当たった大富豪だけの特権。自分には一生縁のないものだと思い込んでいたのです。
けれど、今の私なら分かります。私が本当に欲しかったのは、豪華な暮らしではありませんでした。
重い足取りで向かう通勤からの解放自分の時間を自分の意志で使う自由家族と笑い合える精神的な余白数字に追われない経済的な安心感
これこそが、生活に根ざしたFIREの核心そのものでした。当時はその正体に名前を付けられませんでしたが、私の心はすでに、じわじわと自由の方向を向いて動き出していたのです。
■ 税務のプロが、震えながらページをめくった日
振り返れば、FIREの芽は日常の風景の中に、そっと紛れ込んでいました。通勤の苦痛を和らげるために通い詰めた図書館。そこで出会ったのが、あの『金持ち父さん 貧乏父さん』です。
本の中で語られる「4つのクワドラント」。勤労所得と不労所得の分類は、奇しくも私が税務調査で日常的に分析している項目そのものでした。 本の中の「貧乏父さん」は、安定した公務員。まさに、私自身の投影でした。 「会計知識を武器に、金持ち父さんを目指せ」という言葉に、自分の持っている知識を自分自身の自由のために使うという、新しい視点をもらった気がしたのです。
もちろん、葛藤もありました。調査官の目で見れば、投資の世界で語られる「レバレッジ(借金)」はリスクの塊です。「本当に大丈夫か?」とブレーキをかけながらも、現状を変えたい一心で、本がボロボロになるまで読み耽りました。 七輪で火を起こすとき、最初は小さな火種を大切に育てるように、私もまた、未知の知識という火種を必死に守り、育てようとしていたのです。
■ 本棚の最上部、20年越しの伏線回収
今回の連載を書くにあたって、ふと思い立ち、机の上によじ登って本棚の最上部を覗き込みました。最近はスマホで情報を追うばかりでしたが、そこには一番奥に押し込まれた一冊の古い本が眠っていました。
『金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法』
手に取ったそのタイトルが、FIREを達成した今の私には、20年前とは全く違う重みを持って迫ってきました。
「若くして、豊かに、引退する」
これこそ、今でいうFIREの核心そのものではありませんか。20年前、何もわからずにもがいていた自分。あの日々が、実は今の自由へと繋がる重要な伏線だったのだと気づいた瞬間でした。 まるで、何十年も前に必死にもがいていた自分が置いていった贈り物を、今になって静かに受け取ったような感覚です。
■ ザトの「じわじわ」追伸
「自分にできるだろうか」「もう遅いのではないか」……。そんな不安を感じている皆さん。20年前、本を片手に何かの気づきがあった同じ場所に、今、皆さんは立っています。
でも、安心してください。今「リベシティというお金の勉強をするステージ」でお金を理解しようとする姿こそが、数年後、数十年後のあなたを救う最大の伏線になります。 一気に跳ぶ必要はありません。
DIYで少しずつ木を削り出し、理想の形に近づけていくように。 七輪の火が、じわじわと炭に燃え移っていくように。 あなたの日常の中にも、未来の自由へと繋がる「将来のFIREのかけら」が必ず隠れています。
今日は、少しだけ自分の心の声に耳を傾けてみませんか?
※私が図書館で「金持ち父さん」シリーズに出会ったのは、
日本でFIREが広がる10年以上前 のことでした(;^_^A
最後まで読んでいただきありがとうございました。
第10話は、私の不動産投資を始めたころのお話です。それは妻の一言でした。続きはこちらから読めます。
https://library.libecity.com/articles/01KHDZ06Q20SZ47R4N7NCXKHTA
