- 投稿日:2026/02/24
はじめに🍶
日本酒を語るうえで欠かせない専門用語のひとつが「醪(もろみ)」です。
普段グラスに注がれる透明な液体からは想像しづらいですが、その一杯が生まれる直前の“発酵の現場”こそが醪。
蔵の中で静かに、しかし力強く生命活動を続けているこの存在を知ると、日本酒の味わいはぐっと立体的になります。今回は、醪の役割や仕組み、味わいへの影響までじっくり掘り下げます。
醪とは?
醪とは、蒸した米・米こうじ・水・酵母を仕込み、発酵が進んでいる最中の状態を指します。
見た目は白く濁った、とろみのある液体。まだ「日本酒」ではありません。
言うなれば、日本酒になる直前の“進化途中の姿”です。
この中で酵母が活発に働き、糖をアルコールへ変えながら、香り成分や酸、旨味を生み出していきます。
つまり、味の方向性はほぼこの醪の段階で決まると言っても過言ではありません。
日本酒特有の発酵メカニズム🧪
日本酒の大きな特徴は「並行複発酵」という仕組みです。
⭐︎米こうじがデンプンを糖へ変える(糖化)
⭐︎酵母がその糖をアルコールへ変える(発酵)
それが同時に進む
ワインはブドウの糖を発酵させるだけ、ビールは糖化後に発酵と工程が分かれます。
しかし日本酒は“同時進行”。
このダイナミックな化学反応の舞台が醪なのです。
だからこそ、日本酒は高いアルコール度数を自然発酵で実現できます。
醪の期間と温度管理🌡
醪の発酵期間は一般的に約20〜30日。
吟醸タイプでは低温でじっくり1か月近くかけることもあります。
温度はわずか数度違うだけで香りが大きく変化します。
低温長期発酵 → 華やかでフルーティーな香り🌸
やや高め → 米の旨味がしっかり
発酵が進みすぎる → キレが強く辛口寄り
杜氏や蔵人は、毎日タンクの音や泡の状態、香りを確認しながら微調整。
まさに“発酵との対話”です。
醪と搾りの関係
発酵を終えた醪は「上槽(じょうそう)」と呼ばれる工程で搾られます。
ここで
●透明な清酒
●酒粕
に分かれます。
搾る方法によっても味わいが変わり、
袋吊り・槽搾り・機械圧搾など様々な手法があります。
また、あえて粗くこすことで
・にごり酒
・おりがらみ
・うすにごり
といった白く濁ったタイプになります。
これらは“醪のニュアンスを残した酒”ともいえる存在です。
醪が味わいに与える影響
醪の設計次第で、日本酒の個性は大きく変わります。
酵母の種類 → バナナ様、リンゴ様などの香り
麹歩合 → 甘みやコク
水の性質 → 口当たりの柔らかさ
発酵日数 → キレや余韻
つまり、醪は「味の設計図」。
蔵ごとの哲学が最も表れる工程でもあります。
まとめ🍶
醪は、日本酒の味と香りを生み出す“発酵の現場”。
糖化と発酵が同時に進む独特の仕組みの中で、香り・旨味・酸が形づくられていきます。
搾る前のこの段階に思いを馳せると、にごり酒の意味も、透明な一杯の奥行きも見えてきます。
日本酒は完成品だけでなく、その「途中」を知ることで、もっと面白くなる世界です。