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  • 投稿日:2026/03/19
【前編】インフィルパターン本気比較!ジャイロイド vs グリッド vs ハニカム

【前編】インフィルパターン本気比較!ジャイロイド vs グリッド vs ハニカム

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まー@3Dプリンタ×AI

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要約
ジャイロイド・グリッド・ハニカムの3パターンを徹底解説。それぞれの構造的な特徴、強み・弱みを理解した上で、27個のテストピースを使った破壊実験の条件を紹介します。前編では「正体」と「実験準備」を、後編で実験結果と使い分けガイドをお届けします。

001.pngこんにちは、まーです!

今回から2回にわたって、3Dプリンターの「インフィルパターン」を本気で比較していきます。ジャイロイド、グリッド、ハニカム。スライサーの設定画面でこの3つを見たことがある人は多いと思うんですけど、「結局どれを使えばいいの?」ってちゃんと答えられる人って実は少ないんですよね。

今回は同じ形のテストピースを27個印刷して、実際に壊す実験をしました。落とす、押しつぶす、曲げる。3種類の試験で徹底的に比較します。

前編の今日は、まず3つのパターンの「正体」をしっかり理解するところからいきましょう。

そもそもインフィルって何?

002.pngそもそも「インフィル」って何?っていう話から始めますね。

3Dプリンターで作ったパーツって、中身がぎっしり詰まってるわけじゃないんです。食パンを想像してください。外側はパンの耳でしっかりしてるけど、中は柔らかい部分がたくさんあるじゃないですか。

3Dプリントでもこれと同じで、外側の壁はしっかり作って、中身は「パターン」を使ってスカスカにする。これが「インフィル」です。

なんでこうするかっていうと、理由は3つ。

①材料が節約できる。中身を全部埋めるのに比べて、フィラメントが半分以下で済むこともある。

②印刷時間が短くなる。中身が少ない分、早く終わる。

③意外と強い。実はスカスカの方が衝撃に強い場面もある。これは後編で詳しく説明しますね。

で、このインフィルの「模様」、つまりパターンにいろんな種類があるんです。今日はその中でも代表的な3つを深掘りします。

今日比較する3パターン

003.png今日比較するのは、この3つ。

①グリッド。縦と横の直線が交差する、一番シンプルなパターン。

②ハニカム。ミツバチの巣みたいな六角形の模様。

③ジャイロイド。波打つような立体的な曲面のパターン。

この3つ、見た目も全然違うし、性格も全然違います。人間に例えるなら、グリッドは「仕事が早いけど打たれ弱い人」、ハニカムは「真上からの圧力には強いけど融通が利かない人」、ジャイロイドは「器用にどこからの攻撃もさばけるオールラウンダー」。

…まあ、これはあくまでイメージですけどね。ここからひとつずつ、もっと具体的に見ていきましょう。

グリッドとは ─ 最速の直線パターン

004.pngまずはグリッドから。

グリッドは、ノズルが縦にまっすぐ、横にまっすぐ、直線だけで動くパターンです。方眼紙の線を想像してもらうとわかりやすい。

このパターンの最大の強みは、とにかく印刷が速いこと。ノズルが直線を走るだけなので、加速も減速もほとんどいらない。カーブがないからスピード全開で走れるんですよね。

例えるなら、高速道路をずっとまっすぐ走るようなもの。信号もカーブもないから、アクセルべた踏みで行ける。

グリッドの弱点 ─ 交差点問題と方向依存性

005.pngでも、グリッドには結構やっかいな弱点があるんです。

ひとつ目は「交差点問題」。縦の線と横の線が交わるところで、樹脂が重なってちょっと盛り上がるんです。次の層を印刷するとき、ノズルがこの盛り上がりにぶつかる。「カチカチ」って音がしたり、最悪の場合はプリントが失敗することもある。

ふたつ目は「方向依存性」。これが致命的なんですよね。縦と横には強いけど、斜めからの力にはめちゃくちゃ弱い。

わかりやすく言うと、割り箸を束にして縦に置いたら上から押しても折れない。でも、斜めから押したらどうですか?簡単にバラバラになりますよね。グリッドも同じで、力の来る方向によって強さがガラッと変わるんです。

ハニカムとは ─ 自然が生んだ六角形

006.png次はハニカム。

ミツバチの巣を見たことありますか?あの六角形がずらーっと並んだ構造、あれがハニカムです。

自然界ではものすごく効率的な形で、少ない材料で最大の強度を出せる。航空機の翼やロケットの壁にも使われてるんですけど、これは金属やカーボンの「ハニカムコア」っていう別物なので、3Dプリンターのインフィルとはちょっと違います。ただ「六角形が構造的に強い」っていう原理は同じなんですよね。

3Dプリントのハニカムインフィルは、六角形の柱が上に向かってまっすぐ伸びる構造です。上から押す力、つまり垂直方向の圧縮にはとても強い。

ハニカムの弱点 ─ 遅い、重い、融通が利かない

007.pngところが、3Dプリンターでハニカムを作るとなると、話が変わってくるんです。

まず、印刷がめちゃくちゃ遅い。六角形を描くために、ノズルが60度とか120度の角度でひたすら方向転換を繰り返す。車で言うと、ジグザグの山道をずっと走ってるようなもの。アクセル踏んだと思ったらすぐブレーキ、また踏んだらまたブレーキ。全然スピードが出ないんです。

条件によってはグリッドの倍以上の時間がかかることもあります。しかも時間だけじゃなくて、フィラメントの消費量も増えやすい。つまり、遅いし重い。

さらに、上からの力には強いけど、方向によって得意不得意が出やすい。六角形の柱が縦に伸びてる構造なので、横や斜めの力に対しては性能が変わるんです。「上から押すだけ」っていう条件では本領を発揮するけど、いろんな方向から力がかかる場面だと、ちょっと融通が利かないパターンなんですよね。

ジャイロイドとは ─ 波打つ立体迷路

008.pngそして3つ目、ジャイロイド。

これは1970年に数学者のアラン・シェーンさんが発見した、ちょっと変わった形です。直線が一切ない、波打つような立体的な曲面がずっとつながっている構造。

言葉だけだとイメージしにくいと思うので、たとえで説明しますね。ポテトチップスって、平らじゃなくてうねうねしてるじゃないですか。あれが立体的に、しかもすべてつながった状態で空間を埋めてるようなイメージ。

ポテチ1枚だと割れやすいけど、あのうねうねが全方向につながっていたら、どこから押しても力が分散される。これがジャイロイドの基本的な考え方です。

ジャイロイドの強み ─ どの方向からでも強い

009.pngジャイロイドの最大の強みは「どの方向から力が来ても、だいたい同じくらい強い」ということ。

グリッドは縦横に強くて斜めに弱い。ハニカムは上から強くて横に弱い。でもジャイロイドは、上から押しても、横から押しても、斜めから押しても、力を均等に分散してくれる。

サッカーでいうと、グリッドは「正面のシュートしか止められないキーパー」で、ジャイロイドは「どのコースに来ても反応できるキーパー」みたいなものです。

ジャイロイドの造形上のメリット

010.pngしかもジャイロイドは、印刷する上でもうれしい特徴がある。

さっきグリッドの「交差点問題」を話しましたよね。ジャイロイドは、同じ層の中で印刷の線が一切交差しないんです。だからノズルがぶつかることがなくて、プリントの成功率が高い。

それから、ノズルがゆるやかなカーブを描いて動くので、プリンター本体への振動も少ない。機械に優しいんですよね。

じゃあ弱点は?印刷時間です。曲線を計算するのにプリンターの頭脳(マイコン)が頑張らないといけないので、グリッドより遅くなる。ただし、ハニカムほどは遅くない。

フィラメントの消費量は、条件によってはグリッドと同等か、むしろ少なく済むこともある。つまり、軽さと強さの両立がしやすいパターンなんです。これは意外でしょう?

3パターンの性格まとめ

011.pngここで3つのパターンの性格をまとめておきましょう。

グリッド。長所は印刷が一番速いこと。短所は斜めに弱くて、交差点でトラブルが起きやすいこと。

ハニカム。長所は真上からの圧縮に強いこと。短所は印刷が遅くなりがちで、フィラメントも多く使う傾向があること。

ジャイロイド。長所はどの方向からの力にもバランスよく強くて、軽さと強さを両立しやすいこと。短所はグリッドよりは印刷が遅いこと。

ここまで聞くと「じゃあジャイロイド一択じゃん」って思うかもしれないですけど、話はそう単純じゃない。用途によっては、グリッドの方が正解な場面もあるんです。それは後編の実験結果で明らかになります。

実験の条件 ─ テストピースの仕様

012.pngさて、ここからは実験の話。机上の空論じゃなくて、実際に壊して確かめる、っていうのが今回のテーマです。

まずテストピースの仕様を説明します。

形は50mm×50mm×10mmの直方体。だいたい名刺くらいのサイズです。素材はPLA。一番メジャーな材料ですね。

インフィルパターンは今日紹介した3種類、ジャイロイド、グリッド、ハニカム。それぞれの密度を15%、30%、50%の3段階に変えます。

つまり、3パターン×3密度で9種類。各条件3個ずつ印刷して、合計27個以上のテストピースを用意しました。

外壁は全部1.2mm、ノズル0.4mmで3周に統一。これは「インフィルの違いだけ」を純粋に比べるためです。

3つの試験方法

013.png27個のテストピースに対して、3種類の試験をやります。

①落下試験。1mと2mの高さからコンクリートの床に落として、壊れるまで何回耐えられるか数える。これは「うっかり落としたとき」を再現する試験ですね。

②荷重試験。上から機械でゆっくり押しつぶして、何ニュートンの力で壊れるかを測る。棚に重いものを載せるような場面を想定しています。

③曲げ試験。テストピースを橋のように2点で支えて、真ん中を上から押す。これは「3点曲げ試験」っていって、梁として使ったときの強さを見る試験です。

重さは0.01g単位で量っていて、最終的には「重さあたりの強度」、つまりコスパを計算します。軽くて強いのが一番えらい、という評価基準ですね。

なぜ「重さあたりの強度」が大事なのか

014.pngちょっとだけ補足させてください。なぜ「重さあたりの強度」にこだわるかという話。

単純に「強いパーツ」を作りたいなら、インフィル100%にすればいいんです。中身をぎっしり詰めれば、そりゃ強い。

でもそれだと、フィラメントをたくさん使うし、印刷時間も長い。重くなるからドローンの部品には使えない。

3Dプリンターの良さって「必要な強度を、最小限の材料で実現できる」ところなんですよね。だから「この重さでこれだけ強い」っていうコスパが、実用パーツでは一番大事な指標になるんです。

密度の設定 ─ 15%、30%、50%の意味

015.pngもうひとつ、密度の設定について。

インフィル15%っていうのは、中身の85%が空気で、15%だけ樹脂がある状態。かなりスカスカです。軽いけど、強度はそこまで出ない。

30%は、中級くらい。実用パーツでよく使われる設定です。強度と軽さのバランスがちょうどいい。

50%は、かなりしっかり。ここまで上げると重くなるけど、相当な力にも耐えられる。

今回の実験では、密度を変えたときに3つのパターンの「伸び方」がどう違うかも見ます。密度を上げれば上げるほど比例して強くなるのか、それとも途中で頭打ちになるのか。このあたりが面白いんですよね。

後編予告 ─ いよいよ壊します

016.pngさて、前編はここまで。3つのパターンの正体と、実験条件を解説しました。

後編ではいよいよ、27個のテストピースを「壊す」実験の結果を発表します。

ちょっとだけ予告すると…

荷重試験では、一番数値が高かったのは意外なパターンでした。でも「数値が高い=一番いい」とは限らない。壊れ方に決定的な違いがあるんです。

落下試験では、あるパターンが圧倒的に粘り強い結果を出しました。しかも「密度を上げれば強くなる」とは限らない、直感に反するデータも出ています。

そして最後に「結局どのパターンをどう使い分ければいいのか」を、用途別の具体的な設定値までお伝えします。

まとめ

017.png今日のまとめです。

①グリッドは直線だけの最速パターン。ただし斜めに弱く、交差点問題がある。

②ハニカムは六角形の自然の知恵。でも3Dプリンターでは遅くなりがちで、フィラメントも増えやすい。

③ジャイロイドは立体的な波状構造。どの方向にも強くて、軽さと強さの両立がしやすい。

④実験は3パターン×3密度×3試験で、重さあたりの強度を比較する。

後編の実験結果、楽しみにしていてください。

018.png後編では実際の破壊実験のデータを全部お見せします。「結局どれがいいの?」の答え、次回で出しますので、ぜひ聴いてくださいね。

このチャンネルでは、Bambu LabのA1 miniなどの3Dプリンターを中心とした技術などを毎日更新でお伝えしてます、ではまた次回、お会いしましょう、まーでした。

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