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  • 投稿日:2026/03/20
【後編】インフィルパターン本気比較!ジャイロイド vs グリッド vs ハニカム ─ 破壊実験結果

【後編】インフィルパターン本気比較!ジャイロイド vs グリッド vs ハニカム ─ 破壊実験結果

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まー@3Dプリンタ×AI

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要約
27個のテストピースを荷重・落下・曲げの3試験で破壊した結果を全公開。ピーク荷重はハニカムが1位でも「壊れ方」で結論が変わります。密度を上げすぎると逆に弱くなるパラドックスや、用途別のおすすめ設定値、「密度より壁を厚くする」テクニックまで解説します。

001.pngこんにちは、まーです!

「インフィルパターン本気比較」の後編です。

前編では、グリッド、ハニカム、ジャイロイドの3つのパターンの「正体」と、実験の条件を説明しました。

今日はいよいよ、27個のテストピースを実際に壊した結果を全部お見せします。押しつぶす、落とす、曲げる。3種類の試験で、どのパターンがどう壊れたか。

そして最後に、「結局どれをどう使い分ければいいのか」を具体的な設定値まで含めてお伝えします。

前編の振り返り

002.png軽く前編を振り返りますね。

グリッドは、直線だけで構成された最速のパターン。ただし斜めからの力に弱い。

ハニカムは、六角形の構造。真上からの圧縮には強いけど、印刷が遅くて重い。

ジャイロイドは、波打つ立体曲面。どの方向からの力にもバランスよく強い。しかも軽さと強さの両立がしやすい。

テストピースは50mm×50mm×10mmの直方体、PLA素材。3パターン×3密度(15%、30%、50%)で合計27個以上。

では、結果を見ていきましょう。

荷重試験 ─ 上から押しつぶす

003.png最初の試験は「荷重試験」。上から機械でゆーっくり押して、何ニュートンの力で壊れるかを測りました。

密度30%のデータで比較すると…

今回の試験条件では、上からの圧縮ではハニカムが最も高い値になりました。次にグリッド、そしてジャイロイドの順。

「じゃあハニカムが一番強いじゃん!」って思いますよね。

でもちょっと待ってください。実はピーク値だけ見ても本当の強さはわからないんです。大事なのは「どう壊れるか」なんですよ。

グリッドの壊れ方

004.pngまずグリッドの壊れ方から。

押していくと、最初はびくともしない。カチカチに硬い。「おっ、強いな」って思う。

ところが、限界に達した瞬間…「バキッ!」って一気に割れるんです。内部の直線の壁が斜めに座屈して、一瞬で全体が崩壊する。

例えるなら、ガラスのコップ。普通に使ってる分には頑丈だけど、割れるときは一瞬でバラバラになる。「粘り」がないんですよね。

ハニカムの壊れ方

005.pngハニカムはどうか。ピーク荷重は一番高い420ニュートンだったんですが、壊れ始めると「ミシミシ…バキッ…ミシミシ…バキッ」と、階段みたいに段階的に潰れていく。六角形の柱が順番に倒れていくイメージです。

グリッドよりはマシだけど、やっぱり一方向にしか強くない。横からの力には弱いままです。

ジャイロイドの壊れ方 ─ 穏やかに潰れる

006.pngそしてジャイロイド。ピーク荷重は380ニュートンで数値だけ見ると3番目なんですが…壊れ方が全く違うんです。

限界を超えても、一気に壊れない。波打つ構造が少しずつ「ぐにゅっ」と潰れながら、力を吸収し続ける。

グリッドは「予告なしにバキッ」。ジャイロイドは「じわじわ変形して教えてくれる」。どっちが実用パーツに向いてるか、もう答えは見えてきますよね。

密度を上げたときの伸び方

007.png面白いデータがもうひとつ。密度を15%から30%、50%と上げていったときの強度の伸び方にも違いがありました。

グリッドとハニカムは、15%から30%にすると順調に強度が上がる。でも50%まで上げると伸びが鈍くなる。

一方ジャイロイドは、密度を上げるほど立体的な構造がより強く噛み合っていく印象で、今回の条件では高密度になるほどかなり良い伸びを見せました。

落下試験 ─ 落として壊す

008.png次は落下試験。1mと2mの高さからコンクリートの床に落として、壊れるまでの回数を数えました。

今回の落下試験では、ジャイロイドが最も粘り強い結果になりました。

グリッドとハニカムは比較的早い段階で深刻なヒビが入ったのに対して、ジャイロイドは同じ回数を落としても致命的な割れが起きにくかった。

なぜジャイロイドは衝撃に強いのか

009.pngなんでこんなに差がつくのか。これ、「衝撃がパーツの中をどう伝わるか」に理由があるんです。

グリッドの場合、衝撃が直線を「高速道路」みたいにまっすぐ突っ走って、反対側の壁まで一気に届いちゃう。

一方、ジャイロイドの中身は波打つ曲面。衝撃が入ってきても、曲がりくねった道を迂回しながら進むしかない。

イメージとしては、グリッドはボウリングのレーンみたいに一直線。ジャイロイドはパチンコ台みたいに、釘にあたりながらどんどんエネルギーが吸収されていく感じです。

密度100%のパラドックス ─ 詰めすぎると弱くなる

010.png「強くしたいなら密度を上げればいい」って普通は思いますよね。でも、衝撃に対しては必ずしもそうとは限らないんです。

中身がぎっしりのプラスチックの塊だと、ヒビの進行を止めるものが何もない。でも、ジャイロイドみたいなスカスカの構造だと、ヒビが進んでも途中で「空洞」にぶつかる。

お菓子の「エアインチョコ」を想像してみてください。ぎっしり詰まった板チョコはパキッと真っ二つに割れるけど、中に気泡が入ったエアインチョコは、割ろうとしても途中で止まったりしません?

曲げ試験 ─ 橋のように曲げる

011.png3つ目の試験は「3点曲げ試験」。テストピースを橋のように2点で支えて、真ん中を上から押す。

曲げられるとき、上側には「潰される力」、下側には「引っ張られる力」、真ん中あたりには「層をズラそうとする力」がかかります。この「ズラす力」が一番危ないんですよね。

ハニカムは、「パタン」と倒れるように潰れてあまり耐えられなかった。グリッドは交差部分で「バキッ」と割れた。ジャイロイドは大きくたわみながら耐える傾向がありました。

印刷時間とフィラメント消費量

012.pngグリッドが一番速い。ジャイロイドは一般にグリッドより遅め。ハニカムはさらに遅い傾向があります。

フィラメント消費量は、ジャイロイドは条件によってはグリッドと同等か少なめ。ハニカムが一番多く使う傾向がある。

つまりハニカムは「遅くて重くなりがち」。これ、けっこう衝撃的なデータですよね。

総合評価 ─ 重さあたりの強度ランキング

013.png全部のデータを統合して、「重さあたりの強度」で総合評価を出します。

ジャイロイド。圧縮はとても高い。衝撃にも粘り強い。フィラメント効率はかなり良い。僕なら、実用パーツの「迷ったときの第一候補」はジャイロイドです。

グリッド。印刷速度は最速。試作や形状確認にはベストな選択肢。

ハニカム。上方向の圧縮は高い。でも印刷が遅くてフィラメントも多い。特殊用途寄りになりやすいパターンですね。

ハニカムはもう使わなくていい?

014.pngハニカムの評価がかなり厳しくなりましたけど、これが今回のデータから出た正直な結論です。

出番は完全にゼロではないけれど限定的。「迷ったらとりあえずハニカム」っていう選び方はおすすめしないですね。

使い分けガイド① ─ 実用パーツならジャイロイド

015.png「強度が必要な実用パーツ」→ ジャイロイド、密度15%〜20%。

衝撃にも強い、落としても耐える、しかも軽く仕上がりやすい。

「もっと強くしたい」場合は、密度を上げるより外壁の枚数を3枚から5枚に増やす方が効果的です。

使い分けガイド② ─ プロトタイプならグリッド

016.png「とにかく早く形を確認したい」→ グリッド、密度10%。

ジャイロイドの半分の時間で印刷が終わるので、プリンターの稼働効率が最大化できます。

壁を厚くするテクニック

017.pngどのパターンでも覚えておいてほしいのは、「密度を上げる前に、壁を厚くする」こと。

Bambu Studioだと、「強度」→「壁面」→「壁面層数」で簡単に変えられます。デフォルトが3なら、5に変えてみてください。

まとめ ─ 結局どれを使えばいい?

018.png実用パーツで迷ったら → ジャイロイド 15〜20%が第一候補。

とにかく早く試作したい → グリッド 10%。

ハニカムは → 用途がはっきりしている場合に検討。

Bambu Studioなら「強度」→「スパースインフィル」→「充填パターン」でジャイロイドに変更して、充填密度を20%に、壁面層数を4〜5にする。これが今回おすすめするバランスの良い設定です。

019.png実際に自分で試してみるのが一番です。コメント欄で皆さんの設定、ぜひ教えてください。

020.png「結局ジャイロイドが強い」っていうシンプルな結論なんですけど、なぜ強いのか、どう壊れるのかまでわかると、設定の意味が変わってきますよね。

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