• 投稿日:2023/12/23
  • 更新日:2025/11/05
【地方公務員向け】あなたは預金で備えられますか?公務員が備えるべき損害賠償事例と備え方

【地方公務員向け】あなたは預金で備えられますか?公務員が備えるべき損害賠償事例と備え方

すがちゃん@FP2級/自治体税務

すがちゃん@FP2級/自治体税務

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要約
公務員賠償責任保険って必要なのかな?と感じている人もいると思います。 まずは、何に対して備えようとしているか、損害賠償の実例を押さえましょう。 備えようとしているところが、確率小・損失大なら保険で備える必要がありますよ。

公務員賠償責任保険って本当に必要なのかな?と疑問に思っていませんか?

まずは、何に対して備えようとしているのか、損害賠償の実例を押さえましょう。

その上で、自分にとって生活が破綻するような『確率小・損失大』の内容なら保険で備え、生活が破綻しないなら、預貯金での備えが必要になります。

損害賠償の実例

それでは、公務員が損害賠償をされているケースについて実例を見ていきましょう。

あくまで一例ですが、業務の中で誰でもやってしまいそうなミスから、損害賠償を請求されるケースが出てきています。

プール6杯分の水が無駄になり95万円請求😟

2023年に川崎市の教員が、プールに水を貯めようとして給水装置とろ過装置を作動させたところ、警報がなり、警報を止めようとブレーカーを落としました。

給水を止めようとスイッチを押しましたが、ブレーカーが落ちていたため反応せず、6時間給水が続き約190万円の損害が発生。

半分の95万円が、その教員へ請求されました。

火災保険の切り替えを怠り4人で総額700万円請求😩

2004年に高知市で、火災保険の契約切り替えができていなかったため、市営住宅で火災が起きた際に保険金を受け取れませんでした。

火災発生から4年後に住民監査請求を受けたことを期に、市は関係職員4人に対し総額700万円の損害賠償を請求しました。

その時は大丈夫と思っていても、数年経過してから損害賠償を請求されるケースがあるようです。

1人あたり175万円なので、比較的大きな出費になりますね。

排水弁閉め忘れで300万円請求😰

2020年に兵庫県職員が、貯水槽の排水弁を1か月閉め忘れていたことで発生した水道料金約600万円の内、半分の『300万円』の弁済を請求されました。

その後、全額を個人へ負担させろという内容の住民訴訟が起こりましたが、棄却されています。

源泉徴収漏れで管理職2人に総額3,700万円😭

2021年から2023年の夏のボーナスの源泉所得税の納付ミスで、2023年に東京都練馬区の40代課長と退職済みの60代元管理職2人に対して、総額3,700万円が請求されました。

仮に半分ずつの負担の場合、1人あたり1,850万円ほどの負担になりますね。

自分の階級のリスクを考えよう

何かミスや不手際で損害が発生した場合に、損害賠償が発生しやすいのは管理職です。

若手だから損害賠償請求がされないとは言えませんが、管理職のほうがリスクは高くなるでしょう。

責任が発生しやすい立場にいるのであれば、業務上のリスクがどれくらいかは把握しておきたいですね。

異動によるリスクは常に付きまとう

公務員は数年に一度、違う部署や職場へ異動している人がほとんどだと思います。

十分な引き継ぎや周りのフォローがあれば、ミスや不手際を未然に防ぐことができるかもしれません。

ですが、行財政改革により職員数は減ってしまったところが多く、周りのフォローも難しい場合があると思います。

ミスをするつもりがなくても、多忙な業務の中で、うっかりミスが発生することは少なくないかもしれません。

公務員賠償責任保険とは

公務員賠償責任保険は、公務に起因する訴訟や損害賠償等に備える保険です。

どんなことに備えられるの?

✅公務に起因する損害賠償金

✅訴訟に対する応訴費用・弁護士費用等

契約する保険によって若干変わる可能性がありますが、公務に起因する住民監査請求や住民訴訟、民事訴訟、地方自治法の規定による損害賠償金や訴訟費用、弁護士費用の補償を受けることができます。

セクハラ・パワハラの訴訟費用も対応しているようですが、確率小・損失大に備えるという保険の基本を踏まえると、特に必要のないオマケの補償ですね。

最小限のプランなら年額3千円弱〜4千円程度

公務員賠償責任保険は、いくつかプランがありますが、補償額が最低限のプランであれば、年額で3千円弱から4千円程度で加入することができます。

月額にすると、おおよそ250円から350円くらいですね。

実例を見る限り、職員個人へ請求される損害賠償の金額は、数十万円から数百万円単位というものが多く、数千万円や1億円以上の金額になるのは非常に稀なケースになるでしょう。

仮に公務員賠償責任保険をかけるとしても、多くの人は最低限のプランで十分かもしれませんね。

公務員を見る目は厳しくなっている

地方自治法では、損害が起こった際に『重過失』に認定されると、職員に対して損害賠償ができるようになっています。

重過失に認定されるかどうかは、自治体の判断に委ねられているため、職場の風土や考え方によって変わるかもしれませんが、行政を見る目はどんどん厳しくなっています。

結局どうする?

損害が発生した場合、過去の事例を見ると数十万円から数百万円が請求されるケースが多いようです。

ただ、気づかずにミスが数年間続く場合などには、1千万円を超える損害賠償が発生することがあります。

その損害賠償で生活が破綻してしまうなら、保険をかけておく必要がありますし、損害賠償が発生しても預貯金で十分耐えられるかどうかが、保険をかけるか預貯金で対応するかの判断材料になるでしょう。

ですが、個人的な意見としては、いざ訴訟や損害賠償が発生した場合の金銭的・精神的ダメージは小さくないと感じます。

私としては、十分に確率小・損失大に当てはまると思っているので、安心して公務に臨むために、最低限の保険で備えておいてもいいと思っています。

しっかりリスクを把握して、いざというときに致命傷にならない選択をしていきたいですね😌

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すがちゃん@FP2級/自治体税務

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この記事のレビュー(6
  • 会員ID:2WUtRmvL
    会員ID:2WUtRmvL
    2025/04/06

    参考になりました。ありがとうございます。 ちなみにですが、自治体の組合等に属していないと加入できない保険が多いのですが、属さなくても個人で加入できる保険はありますか?

    2025/04/06

    レビューありがとうございます。 私が調べた範囲では、組合などを通した団体保険でしか加入できず、個人で加入できるものはありませんでした。

    すがちゃん@FP2級/自治体税務

    投稿者

  • 会員ID:nIJbKxlV
    会員ID:nIJbKxlV
    2025/02/06

    故意ではなくても訴訟リスクはあると思い、この保険は長いこと入っています。保険の見直しをしていて疑問に思ったところが解消されました。

  • 会員ID:q2CnLLSZ
    会員ID:q2CnLLSZ
    2024/08/12

    参考になりました。ありがとうございます。

  • 会員ID:QPhXpCtS
    会員ID:QPhXpCtS
    2024/06/16

    埼玉県在住の公務員です(^^) 医療保険と個人年金保険は解約したのですが、公務員向けの訴訟保険だけは何となく解約せずにおりました。 記事を拝読して、やはり公務員にとって訴訟は「確率小・損失大」だと感じ、加入を続けた方が良いと納得できました。 ありがとうございました(^^)

  • 会員ID:i3XHQpOC
    会員ID:i3XHQpOC
    2024/03/09

    大変参考になりました。 確かに管理職でない限り、そんなに大きな損失になるのだろうかとも思います。 保険の見直しに役立てたいと思います。

  • 会員ID:N2bD26Mo
    会員ID:N2bD26Mo
    2023/12/23

    保険に入る入らないは別として、管理職の賠償リスクについては学びになりました。実際の事例もあり、より現実味を感じます...!! ありがとうございました!😆