- 投稿日:2024/03/05
- 更新日:2025/09/29

最初に
価値が分かれば、買い物するとき、就職するとき、転職するとき、独立するとき、あらゆる場面で役に立つでしょう。
大きく2つに分かれる
価値は「価値」と「使用価値」に分類することが出来ます。それぞれ見ていきましょう。
価値
価値は作るのにかかった労力のことです。いわゆる原価で決定します。
例えば屋台で醤油ラーメンを提供するとしましょう。
原価と言っても材料費(麺やスープ)だけでなく販管費(人件費や光熱費、広告等)も含めます。
このラーメンの価値はこんな感じです。
この520円の原価のものを750円で販売すると1杯あたり230円の利益が出るわけですね。
※当期純利益出すなら他にも収支あるでしょ?とか細かいことを言いたい人もいるかもしれませんが、ざっくりで考えてください。
使用価値
もう一方の使用価値、こちらは購入することによるメリットです。需要と供給によって決定します。
買いたい人と売りたい人がいて、双方納得すれば売買が決定するという考え方です。
さきほどの価値が520円のラーメンですが、750円で販売して超行列ができたとしましょう。仕込みで用意したラーメンはすぐに売り切れるほどの人気店。
店長はウハウハで販売額を900円にあげたとしましょう(それでも毎日売り切れると仮定します)。
その場合はこのラーメンの使用価値は900円となります。
逆に750円で販売しても全然お客さんが来なくて、仕込みで作った材料を捨てている状況もあり得ます。店長は仕方ないので600円にして、安さを売りに集客しようとします。
その場合はこのラーメンの使用価値は600円となるわけです。
※それでお客さんが来るかどうか、店が継続できるかは別問題ですよ。
中身は何一つ変わっていませんが、お客さんが買いたいと思うかどうかが使用価値のポイントです。
2つとも重要
使用価値の重要さについては言わずもがなかと思います。誰も欲しがらないものなんて売れませんからね。
ところが、意外なことに価値も重要です。
A.3日間手間暇かけて鳥ガラを煮込んで作ったスープの醤油ラーメン
B.旨味調味料を使って15分で作った醤油ラーメン
どちらも出来上がりの使用価値が同じでもAのほうが高く売れそうですよね?
更に極端な話で言うと
A.自動販売機に入っているペットボトル入りの水
B.公園で汲んだ水道水
運動後で喉が渇いてる人に対して、購入者が中身を知っていれば、Aは売れてもBは売れません。Aは100円でぼったくりという人はいないと思いますが、Bは80円でもぼったくりと言われるでしょう。
(余談ですが、日本の水道設備のレベルは高く、すぐに飲むのであればBのほうが品質は高いことがしばしばあります。)
このように購入者はメリットと関係のない「価値」を無意識に購入の判断材料とします。
価値と使用価値についての章
参考文献|人生格差はこれで決まる働き方の損益分岐点
著:小暮太一
使用価値は、さらに4つに分かれる
さて、使用価値(購入者のメリット)もさらに細分化することができます。1つずつ見ていきましょう。
実利価値
実利価値と保証価値の共通点は機能的であるということです。
機能的であるとは、使用して効果があるという意味です。
その中でも実利価値は最もわかりやすい価値です。
ズバリ、"今"役に立つこと。
洗剤なら汚れが落ちる、靴なら歩きやすい、車ならよく走る、といった本来の目的の価値です。
ラーメンで言うと「美味しさ、量の多さ、提供までの速さ」などが該当するでしょう。
この戦略性の高い企業
ファーストリテイリング(UNIQLO)、サイゼリア 等
保証価値
こちらは実用的なのですが、普段は目に見えないというのがポイントです。
いざというときに保証してくれる、カスタマーサービスが良いなどという価値です。
ラーメンで言えば「この店は老舗で100年前から操業している(だから安心して食べられる)」といったところです。
この戦略性の高い企業
トヨタ、Apple
評判価値
評判価値と共感価値の価値は情緒的であるということです。
情緒的というのはその人にとって意味があるということで、使用するといい気持ちになるという点がポイントですね。
共感価値との大きな違いは"周囲からどう見られるか?"
「あの人はセンスがいいね」とか「あの人はお金持ちだね」と他人から認められることが価値なのです。
逆に他人からわからない場合はこの価値は発生しません。
リベ内ではこの価値に重きを置いて買い物すると後悔すると言われていますね。
ラーメンで言えば「え?あの店行ってきたの?すごーい」と周囲の人との話題になることです。
この戦略性の高い企業
エルメス、ヴィトン
共感価値
評判価値と同じく、情緒的なものですが、共感価値は本人の中で完結します。周囲がどう言おうと、本人が満足していれば価値が発生しているのです。
販売者側に立った場合は、この価値を提供する際には最もストーリー性が重視されると言います。昨今は製造のレベルが上がっているため、販売されているものは大体品質(実利価値)は高いです。
そのため個人で販売を行う場合などはストーリー性を強化して、この価値を高める戦略が有効とされています。
ラーメンで言えば「俺はずっとあの店に行きたかった。行けてよかった!」と本人が心の底から満足することです。
この戦略性の高い企業
NIKE(まぁ他の価値も高い企業ですが)
まとめると
図表にするとこんな感じです。
4つの価値についての章
参考文献|マーケターのように生きろ
著:井上大輔
価値を定義すると・・・
価値がわかるメリット
さて、価値とは何か?を深堀しましたが、これがわかると実生活でどのようなメリットがあるのでしょうか?
それは使う力と稼ぐ力が強化できるという点です。
買い物でブレない(使う力)
リベ動画内でも価格ではなく、価値で買うという言葉が使われます。買い物をする際に、価値による判断基準は必要です。では、買い物の時にあなたは商品にどのような価値を感じていますか?
本記事により価値を明確・細分化したことで、買い物の判断を言語化しやすくなったと思います。
自分自身の価値観を明確にしたうえで、真に必要なものを相場通りの値段で購入してください。
自分の商品に値段をつけられる(稼ぐ力)
自分の商品を販売する際には当然ながら価値(原価)を下回るような商品は販売できません。利益率を上げるためには単価は出来るだけ高いほうがいいのですが、何を基準に単価設定するかは難しいと思います。
使用価値の判断基準が実利価値しかないと単価をあげることは難しいと思います(大企業にはスケールメリットで勝てません)。
そのため、購入者にどの価値を提供するかを考えてみるのがいいでしょう。
特に自営業初心者は自分の商品に自信をもって値段をつけるのが難しいと言われています。価値と4つの使用価値を把握したうえで、適切な値段設定をしましょう。
参考文献|誰でもできるのに9割の人が気づいていない、お金の生み出し方
著:今井 孝
サラリーマンだから自分の商品なんてないよ、と思ってる人は良く考えてみましょう。自分の商品とは貴方自身の労働力も該当します。つまり就職・転職などの働き方を見つめなおす際にも価値の考え方は重要なのです。
まとめ
✅「価値」と「使用価値」がある
⇒「価値」は生産者が使った労力
「使用価値」は購入者のメリット
✅「使用価値」は「実利価値」「共感価値」「保証価値」「評判価値」
⇒「実利価値」はコスパ
「保証価値」は安心感
「評判価値」はブランド力
「共感価値」は満足度
✅価値を定義することで買うときも売るときもブレない
⇒買い時は自分の価値観を明確化して真に必要なものを買う
⇒売る時は購入者の価値を細分化して考え、単価設定する
売るものなんてないよって言う人もいるかもしれません。でも就職するとき、転職するときは自分の労働力を売っています。
実際に今回の参考図書
著:小暮太一
著:井上大輔
両書とも働き方に関する書籍です。
価値とは何か?これを定義することで軸がブレずに生活できるでしょう。
おまけ
筆者の専門は農業です。価値(原価)はともかく実利価値の点で判断するなら
「無農薬野菜」や「無添加食品」を買う合理的な理由は一切ありません。
判断軸に悩んでる方は合わせてご覧ください。