- 投稿日:2024/08/12
- 更新日:2025/09/29

はじめに
弁護士が詐欺被害者に対し、被害金回収を謳い着手金をせしめるという事件がニュースになっています。
参照先|読売新聞オンライン
弁護士だから大丈夫、あの人は○○だから大丈夫、となりがちですが、
その○○の部分、本当に根拠がありますか?
人格と意見は本来別物
冒頭のニュースのように弁護士だから信頼できそう、安心であると言ってお金を失ってしまうことは残念ながらあります。
職業は人格を保証するものではありませんし、人格や能力が意見の正当性を保証するものでもありません。
当然、言葉の重みに違いはありますが、正確であるか否かについては独立しているのです。
これから、人格と意見を同一視しないための方法について記載していきます。
今回は
✅なぜ人は盲信してしまうのか
⇒盲信してしまうのは”本能”。本能に抗え!
を記事にしていきます。
続編として
✅良い反論の仕方
⇒人格ではなく意見を否定する
✅反論力の鍛え方
⇒人格と意見を切り離すための練習
を予定しており、全部で3つの構成予定ですのでよろしくお願いします。
分からない状態は気持ち悪い
ヒトは結論を出したがる
まず、前提としてヒトは不確実な状況に耐えるのが難しいということを知ってください。そのため結論を出そうとします。
結論を出すこと自体が目的となってしまうと間違った結論をだしてしまうことがしばしばあります。
本来は根拠のないことも、根拠として用いてしまい、断定してしまうことが多々あります。
次の章では代表的なバイアスを紹介します。
結論と紐づけしてしまうもの
権威性
社会的に承認を受けていること(人)を指します。資格を持っている人、賞を受賞した人、有名な機関に所属している人etcが発信する内容は信憑性や説得力に大きな影響を与えます。
冒頭のニュースなどはまさしく、この効果であり、弁護士だから依頼すれば大丈夫という被害者の思い込みによって事件化してしまいました。もちろん弁護士は資格を取るのが大変であり、誠実に活動している方が大多数ですので信頼性の高い職業です。
しかし、必ずしも弁護士=絶対にいい人という図式は成り立たないということです。
ハロー効果
ハロー効果は日本語で言うと後光効果です。後光が差すという単語の後光のことです。
※下記のようなイメージ
この効果は一部の目立つ評価を他の評価にも当てはめてしまうという効果です。
例えば有名なお金持ちが政治について意見を述べたとします。
お金持ち=お金を稼ぐ能力がある
⇒お金を稼ぐ能力がある
⇒頭がイイ
⇒政治にも詳しい
⇒政治の意見も正しいに違いない
とこのように本来は関係ないことも認知が歪んでしまうことがあります。
この効果は結構強烈で、”何を言ったかよりも、誰が言ったか”ということになりがちです。
ポジショントーク
ある立場(ポジション)からの物事の見え方を話すことです。立場上、建前で話さないといけないことや自分の利益に誘導する見せ方をすることもあります。
例として
”保険営業員”
⇒顧客に保険商品を買ってもらうことで、給料が発生している
⇒顧客に商品を買ってもらいたい
”転職エージェント”
⇒求職者を会社に転職させることで、採用会社から報酬
⇒求職者には転職をしてもらいたい
上記は報酬が絡むのでわかりやすいですが、報酬が絡まなくても各人にはそれぞれのポジションがあります。人は自分の体験をもとに話をしています。つまり、大なり小なり話し手の感想や思いが発現に影響を与えます。
自身の判断力を鍛える
総合力で判断する
すべて疑うわけではなく、そういう背景もあると知ったうえで判断してください。先の章で話した内容は「こういう背景が見えたらあなたを騙そうとしている」、ではなく「総合的に判断するための材料の一つ」として考えてください。
✅権威性
専門的に携わっている人は一般の人より多くの情報を持っています。権威性があるからといって信用するのはよくないですが、専門家の方が多くの情報から正しい結論を導き出せる可能性は高いです。
✅ハロー効果
一部に秀でている人は関連して他のことについても秀でていることは多いです。関連があるのか、全くの門外漢ではないか、発言に整合性はあるか、など多角的に判断する癖をつけましょう。
✅ポジショントーク
立場上の発言であっても、必ずしも発言者の利益に誘導しようとしたり、本音を隠して建前でしゃべっているとは限りません。
前述したように、そもそもポジションのない人間などいません。
相手の立場を理解したうえで、自分が取り入れられる部分は積極的に取り入れましょう。
盲信しないためには?
安易に結論を出さないことが重要です。前述したように結論を出したがるのはヒトの本能です。本能に逆らう練習をしましょう。
不確実な状態に耐える力をネガティブ・ケイパビリティと言います。
情報過多な現代を生きるのに必要な能力であると言えます。
感情や本能で結論に飛びつかずに、データや客観性をもってゆっくり検証すると良いでしょう。
以下の記事で科学的に情報を精査する方法を書いています。ちょっと理論が長くなるので大変ですが、可能性を一つ一つ検証するのが科学です。
まとめ
人間は群れの中で生きてきた生物です。強そうな他者に依存し、素早く結論を出すことで生き残ってきた面もあります。
盲信することは実は低コストでスッキリする方法なんですよね。
(結果として金銭的な被害などに会う可能性などもありますが。)
「あの人がこう言っているから」と他人に判断を丸投げするのではなく、自身で総合的に判断するクセをつけていきましょう。
次回は人格と意見を切り離すことで上手に反論する方法を掲載予定です。炎上対策にもなるかも?