- 投稿日:2024/07/08
- 更新日:2025/12/18
1️⃣ホウ酸処理とは(エコボロンPROを基準)
ホウ酸系防蟻処理は、有効成分として無機のホウ酸塩を採用しています。
ホウ酸塩は揮発性がなく、作用機序としては
・シロアリが木材を食べたときに作用
・揮発せずに木材内に残る(拡散はするが「蒸発消失」はしない)
という性質があります。
そのため、一般的な“揮発性殺虫剤”のように成分が室内空気中に散ることはなく、長期の効果が期待されやすい(条件あり)という考え方が背景です。
2️⃣農薬系(従来型)の考え方
農薬系は「基礎まわりを中心に薬剤を散布・処理する方式」が標準で、
・有効成分が揮発・分解・希釈する前提
・一定年数で効果が薄れる前提
・そのため「5年ごとの再施工」が標準的な保証パターンになりやすい
という流れです。
この5年という区切りは、業界標準仕様書や保証設計でも採用されています。
3️⃣30年ランニングコスト比較(条件がわかる版)
前提モデル
・延床30坪(総2階)
・防蟻施工は「1階床面積=約15坪(約49.6㎡)」
・農薬系は5年ごとの再施工
・ホウ酸系は0回再施工運用(基本)+15年に1回だけ現実的な点検を想定
4️⃣ホウ酸はなぜ「再施工なし運用」が言えるか
① 揮発しない(蒸発して減らない)
有効成分のホウ酸塩は揮発性がなく、空気中に蒸発して消失するタイプではありません。
これは化学的性質として知られています。
※揮発性有機化合物(VOC)のように「成分が空気に出ていく」タイプではない。
② “溶脱しない限り”木材に残る
ホウ酸塩は水溶性ですが、乾いた木材内部では簡単に水と一緒に流出するわけではありません。
ですので
・漏水・雨漏りがない
・湿気が適切に管理された床下
であれば、ホウ酸成分は長期に留まりやすいのが特性です。
この性質は、ホウ酸系処理の技術資料(研究報告)でも指摘されています。
③ 再施工の本質的な意味
ホウ酸系の再施工が必要になるのは
・漏水した場所
・増湿で濃度が下がったと専門業者が判断した場合
であり、一律で「定期再施工」が必要という意味ではありません。
これは、農薬系のように「効果期間が切れるから再施工」という考え方とは性質が異なります。
5️⃣メリット・デメリット(農薬系 vs ホウ酸系)
農薬系のメリット
・標準化された施工方法で全国対応しやすい
・5年ごとの区切りで保証・点検・再施工が設計しやすい
・即効性のある成分も多い
農薬系のデメリット
・効果が“減衰する”前提で設計されている
・再施工が前提になりやすく、長期コストが積み上がる
・成分が揮発性のものでは住人の理解・安心感で不安が出ることもある
ホウ酸系(エコボロンPRO)のメリット
・揮発せず、成分が木材内部に留まりやすい
・再施工なしで長期運用しやすい(条件あり)
・住環境への成分散布が少なく、室内空気への影響が低く感じられやすい
・全構造材処理のように、侵入経路を広い範囲でカバー可能
ホウ酸系のデメリット
・水溶性であるため、漏水・雨漏りなど“水の事故”が起きたときは、該当部分の再施工が必要
・扱い方・施工品質の差が結果に影響するケースがある
・ホウ酸系の保証制度を厚くしようとすると、制度上の点検・手続きが発生することがある
6️⃣ なぜハウスメーカーは農薬系を勧めるのか
これは悪意ではなく構造的な理由が大きいです。
① 標準仕様化しやすい
全国でほぼ同じ流れで施工・保証が作れるため、説明・保証が統一しやすい。
② 保証設計が作りやすい
「5年保証 → 更新 → 次の保証」という形で設計でき、工程がルール化されている。
③ 収益モデルが回しやすい
再施工が前提の流れは、更新型のサービスモデルとして収益が見込みやすいという構造。
一方、ホウ酸系は「長く残るから再施工しない」前提なので、こうした標準的な保証モデルには組み込みづらい側面があります。
7️⃣「ホウ酸は効かない?」への結論
結論:ホウ酸は“予防”としては強い。ただし条件つき
ホウ酸(ホウ酸塩)処理は、**新築の予防(=家の構造が弱るレベルの食害を起こさせない)**として採用される理由があります。
✅ 施主がまず知っておくべき2つ
①「半永久」って言っていいの?年数で効果が切れる薬ではない(揮発して消えるタイプじゃない)
だから「乾いた構造材の中なら、効果が続く=半永久のイメージ」は理にかなってる
ただし条件はこれ👇
雨漏り・水漏れ・結露で“長く濡れる”と流れ出て効きが落ちる可能性あり
➡️ つまり「半永久」は正確には
“濡れない状態で維持できれば半永久” ってこと。
はい、ホウ酸は基本 食べて効く(食毒性)
なので理屈としては、侵入時に“試し食い(ちょいかじり)”がゼロとは言い切れない
でも大事なのはここ👇
目的は「0mmもかじらせない」じゃなく「食べ続けられて家が弱る」状態を作らないこと
➡️ ホウ酸は
「食べ続けられない木」に寄せて、構造被害レベルの食害を成立させにくくする
という“予防の考え方”やね。
✅ 「ホウ酸は効かない」と言われる理由(よくある誤解)
ホウ酸を 土壌処理(家の外周バリア)みたいに万能だと思ってる
実際はホウ酸は
「濡れから守られる構造材を長期に守る」ための薬剤
=使いどころが違う
✅ 施主がチェックするポイント(ここだけ見ればOK)
・□ 構造材までしっかり処理する設計か(基礎1mだけで終わってないか)
・□ 雨漏り・漏水リスクの説明と、発生時の補修方針があるか
・□ 床下の湿気対策(換気・防湿)がセットで設計されてるか
8️⃣ホウ酸系が使われている神社仏閣・文化財の例

(※断定ではなく、確認できる採用例として)
**熊本城の重要文化財(櫓群)**でエコボロンPROが使われた事例
→ https://ecopowder.com/works/post_7/
文化財保全施工例(例:三角西港和蘭館)
→ https://ecopowder.com/works/bunkazai/
神社の社務所でのホウ酸防腐防蟻
→ https://sugisetsu.jp/news/detail/20220823000034/
神社本殿木部でのホウ酸処理
→ https://limco.jp/works/440/
※上記は採用例が確認できる資料であり、すべての神社仏閣でホウ酸が使われているという意味ではありません。
立地条件・気候・設計基準・文化財の管理方針によって薬剤選択は変わります。
9️⃣ 最後に:ホウ酸(エコボロンPRO等)でやりたい人は、こう動くと早い
ホウ酸系(エコボロンPROなど)を選ぶ意味は、もう十分わかったと思います。
最後はシンプルに、「どうやって工務店を探すか」だけ書きます。
✅ まず結論:探し方は2ルート
① 取扱い(施工)できる工務店から探す
→ 一番早い。ホウ酸は“慣れ”が大事なので、経験のあるところが安心。
② 今検討中の工務店に「指定施工できるか」聞く
→ 値段や設計が気に入っているなら、ここから交渉する価値あり。
① 取扱い工務店から探す(おすすめ)
検索ワードはこれでOK:
・「エコボロンPRO 工務店 (地域名)」
・「ホウ酸 防蟻 全構造材 (地域名)」
・「ホウ酸 防腐防蟻 新築 (地域名)」
全構造材” “全棟施工” “躯体全体”**みたいな言葉を出している会社ほど、ホウ酸の思想を理解してることが多いです。
② 今の工務店に確認する(失敗しない質問テンプレ)
この3つだけ聞けば判断できます。
質問①「どこまで処理しますか?」
・基礎から1mだけ?
・それとも 外周部の柱・梁・土台など構造材まで?
→ ここが曖昧なら、ホウ酸のメリットが薄くなりがち。
質問②「施工方法は?(噴霧・刷毛・回数・タイミング)」
・上棟前(刻み・建て方時)に施工?
・ボードを張る前の“見える状態”で施工?
・現場での **塗りムラ対策(2回塗り、写真管理)**はある?
→ 施工品質が出るポイント。
質問③「水の事故があった時はどうする?」
・雨漏り・漏水があった場合、どこまで点検する?
・必要なら 部分再施工できる?
・その費用感は?
→ ホウ酸はここを言語化できる会社ほど信頼しやすい。
✅ “ホウ酸OK”と言いながら要注意なパターン
・「ホウ酸もできますよ」だけで、範囲・方法が出てこない
・「床下だけで十分です」と言い切る(※設計次第だが、思想がズレやすい)
・水の事故の話をすると、話を濁す(=弱点を理解してない可能性)
✅ 施主として一番ラクな進め方(おすすめ手順)
1.候補工務店を2〜3社に絞る
2.上の質問テンプレをそのまま投げる(メールでもOK)
3.回答が具体的な会社だけ残す
4.見積書に「施工範囲」と「製品名(エコボロンPRO等)」を明記する
これだけで、かなり失敗率が下がります。
まとめの一言
ホウ酸は「選ぶ」より「施工できる会社を選ぶ」が9割。
だから“ホウ酸を標準で語れる工務店”から探すのが一番早いです。
🔳参考リンク
1)業界標準(農薬系が「5年区切り」になりやすい根拠)
日本しろあり対策協会:防除施工標準仕様書(PDF)
https://www.hakutaikyo.or.jp/boujo/files/shiyousho.pdf
2)ホウ酸(ホウ酸塩)の弱点=水で流れやすい(溶脱)の根拠
木材保存分野の論文(ホウ酸塩の溶脱に関する内容/PDF)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jwpa1975/32/3/32_3_90/_pdf/-char/en
USDA Wood Handbook:borateは溶脱しやすく、濡れから守られる用途向き(PDF)
https://www.fpl.fs.usda.gov/documnts/fplgtr/fplgtr190/chapter_15.pdf
3)ホウ酸が「食べて効く(食毒性)」+食害抑制の考え方(技術資料)
Freeman ほか(AWPA):borateの防蟻効果・食害抑制など整理(PDF)
https://www.specialtytimbers.nz/system/assets/9460/Freeman_et_al_2008_AWPA_Boron-Paper-08.pdf
Canadian Wood Council:borate-treated woodの性能データ(日本・ハワイ等の試験整理に言及)(PDF)
https://cwc.ca/wp-content/uploads/performancedata-PerformanceBorateTreatedWood.pdf
4)エコボロンPRO(製品・保証の資料)
エコボロンPRO:新築保証書類一式(5年・10年・30年システム)(PDF)
https://www.arura-j.com/app/download/10202509691/2_%E6%96%B0%E7%AF%89%E4%BF%9D%E8%A8%BC%E6%9B%B8%E9%A1%9E%E4%B8%80%E5%BC%8F%EF%BC%885%E5%B9%B4%E3%80%8110%E5%B9%B4%E3%80%8130%E5%B9%B4%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A0%EF%BC%89.pdf?t=1731892280
5)文化財・神社仏閣などでの採用例(断定ではなく“確認できる事例”)
熊本城(重要文化財の櫓群)エコボロンPRO施工例
https://ecopowder.com/works/post_7/
文化財の施工事例まとめ(熊本城/三角西港和蘭館など)
https://ecopowder.com/works/bunkazai/
神社の社務所:ホウ酸による防腐防蟻(施工例)
https://sugisetsu.jp/news/detail/20220823000034/
神社本殿木部:ホウ酸処理(施工例)
https://limco.jp/works/440/
6)反対意見(この記事内で科学的に補足・反論した対象)
雨宮さんの解説(ホウ酸は駆除に不向き等の主張)
https://www.amemiya.co.jp/columns/1127/