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- 投稿日:2024/09/25

近年の地域防災の取り組み
近年,東日本大震災や西日本豪雨など深刻な災害が頻発していることから,住民が地域の災害の危険性を認識し,災害時の安全確保や避難行動に繋げることを目的に,地域防災に関わる共助の取り組み(防災訓練,災害学習会,防災リーダー育成など)が各地で盛んに行われるようになってきた.
その取り組みの一環として,地域に残る災害の記憶を風化させないために,災害の記録や伝承を編纂して後世に伝える仕組みを作っていくことは,地域特有の災害を具体的に把握して将来の災害に備える意味で極めて重要である.最近では,何世代も前に起こった災害と関連する石碑,神社,水神などの地域遺産に着目し,それらの防災上の役割を調査して,今後の防災に有効活用することを目指した研究や取り組みが注目されている.
石碑について
歴史的に土石流が頻発する広島県では,当時の土石流災害や水害の記録を伝える石碑が過去の災害の被災地内(河川沿いなど)に建立されている1).その中で,2018年の西日本豪雨の被災地である広島県坂町小屋浦地区にも石碑が存在している.その地区では,明治時代の1907年に土石流を伴った河川の氾濫で46名の犠牲者を出す災害が発生し,その様子を伝える石碑が1910年に建立されている2).それから約100年経過した2018年に15名の犠牲者を出す深刻な災害が再び発生した.

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