- 投稿日:2024/10/10
- 更新日:2025/10/30
シティ民の非喫煙者は9割を超えるというアンケート結果が、10月9日の学長ライブでありました。「さすが健康資産を考える皆さんだなぁ」と思いましたが『タバコをやめて欲しい人がいるんだけど、どうしたらいいのかなあ…』と思っている方は多いのではないでしょうか。
10年以上、禁煙外来で専任の看護師として支えてきました
看護師でもあり、禁煙専門の学会で認定もいただいた私の禁煙支援士としての経験を、エビデンス(根拠)を交えてお伝えできればと思います。
(ちなみに今は禁煙支援の現場から離れましたので、学会は退会しております)
禁煙外来に来る方は、こんな方々です
普段はブログ・WEBライターとしてリベで学ばせていただいている私ですが、病院の禁煙外来で禁煙をサポートさせてもらっていました。
✅️「きれいな息で、孫を抱きたいんだよ」
✅️「肺の病気になってタバコをやめないといけないのに、どうしてもやめられないんだ」
✅️「こづかい制なので、タバコ代がキツくて…」
いろんな動機の方が居られました。年齢層も幅広く、10歳代から80歳代後半の方まで居られ、一番若い方は、町の保健師さんとともに来られた13歳の中学生を支援しました。10年累計で約75%の方が禁煙に成功されましたが、どうしてもうまく行かない方、リピーターさんが居られたのも事実です。
タバコをやめてほしい方に「禁煙して!」「タバコやめて!」と言わないであげてください
この言葉を見て「え?」と思った方も多いと思います。
タバコをやめてほしい方に「禁煙して!」「タバコやめて!」と言わないであげてほしいのです。
病院での禁煙外来の他に、町の健康セミナーなどの禁煙講座で禁煙のお話しもしたのですが、私はタバコを吸っている方で「やめる気は無いんだ」と話されている方の手を無理に引っ張って、ということは絶対にしませんでした。
病院で勤務していた頃「タバコをやめなくて困っている患者さんがいる」とサポートの連絡を受けても、すぐ禁煙外来の予約をするということもありませんでした。
なぜなら、今タバコを吸っている人たちというのは
「タバコはよくないことは、わかっている。けれど今も吸い続けている、やめられない人たち」なのです。
やめろやめろと言われると、余計意地になって吸い続けてしまうのが喫煙者の本音
これだけ世の中禁煙の流れになっているのは、喫煙者さんもみんなわかっています。
そこに「タバコやめろ」とか「臭い」とか言われると、言われる方はおもしろくないわけです。
『ちえっ、うるさいなあ。意地でも吸ってやるからな』
なんて感じで。
私自身も18歳から32歳まで、1日30本の喫煙者でしたから。よくわかります。
昔と違い喫煙場所も少なく、どこ行っても肩身も狭いですし。
※画像は羽田空港ホームページ「喫煙スペース」より
✅️「出張で空港の喫煙ルームに行くと、あの中の空気は喫煙者であっても気分が悪くなるくらい空気が悪い。それに、あの中に押し込められている姿を俯瞰して見ると、まるで見せしめみたいで何だか情けなくなってね」
という動機で禁煙外来に来られた方も居たくらいです。
みんな本当はタバコ、やめたいんですよ。やめるきっかけが見つからないだけなんです。きっかけが欲しいんです。
タバコをやめてほしい大切な人に行ってほしいのは「情報提供」です
タバコをやめてほしい人に、やってほしいこと。それは
「やめるためのきっかけを、提供してあげる」ことです。
心理学的には「行動変容を促す」なんて難しい言葉があるのですが、『よし、タバコやめるか』『禁煙外来にでも、行ってやるか』と本人の行動を変える・促すひとことをお願いしたいのです。むしろそれだけで充分です🙏
『タバコなぁ…』『禁煙なあ…』というひとことが本人から出てきたその瞬間が、まさに大チャンス到来!待ってましたの瞬間です。今です❗️
✔具体的な話としては…
・「タバコやめると1日1箱500円としても月15,000円。年間18万円のお金に火を付けて燃やして灰にして、わざわざ病気を買っているだけだよ」
・「仕事中1日10本、喫煙所の往復を含めて1本5.6分としてもタバコの時間損だけで約1時間。早く仕事終わらせて帰ってきて、趣味なり寝るなり出来るよ」
✔そこに個人的趣味を付け加えて
・「長いあいだ、健康的に趣味の登山ができるといいね」
・「タバコやめたら、好きな旅行の宿泊先を探すときも喫煙部屋の空きを探さなくてもよくなるね」
・「ごはんを食べに行っても、タバコが吸える店かどうか考えなくてもよくなるね」
などのワンポイントがあれば、もう最高です😆
そこで最後に
・「あ、そうそう。○○の病院が、○曜日に禁煙外来やっているんだって」
・「週末、町で禁煙イベントがあるらしいよ」
などの情報提供をしてあげてください。要は…
『俺も、私も、タバコやめてみようっかなぁ』の意識付けの種まき。禁煙に向かえるよう背中を押す。ここをぜひお願いします。
言葉は掛けられなくても、禁煙効果の書かれた新聞記事やチラシなどを、そうっと置いておくなど「あなたのこと、気にしてます」サインを送ることもいいですね👍
1回で行動が変わることのほうが少ないと思います。2〜3週間位時間をあけて、タイミングを見ながら。何度かチャレンジしてみてください。
「気にしてくれてるんだなぁ」と思ってもらえる、そんな感覚をもってもらえたら最高です😃
「行動が変わった」なら、あとは応援者にまわってあげてください
そしていよいよ、禁煙外来に来ていただけたなら…
✅️「私はタバコやめようかどうか迷っているけど、どんなものか来てみた」
✅️「やめられるとはおもってないのだけど、とりあえず来てみた」
✅️「禁煙外来に行けと言われたから来た」
という方もウェルカムです。むしろ大歓迎です。わざわざ平日に時間を作って、何をされるか言われるかも分からない禁煙外来に来てくれただけで、その方はモチベーションが高いわけです。
そもそもやめる気が本当にないなら、絶対に禁煙外来になんて足を運ばないですからね。
そこまでやっていただければ、あとは禁煙外来の腕の見せ所です💪
いろんなエビデンスのもと、禁煙治療に効果のある薬剤や認知行動療法の概念を駆使して、禁煙治療を進めていきます。
自己流の禁煙法であっても…
禁煙外来だけが唯一の禁煙方法ではなく「薬局で禁煙補助薬を買っての禁煙」「ネットでいろいろ検索」「ひとりとにかくガマン法」など、禁煙には色んな方法があります。
時間や費用など、禁煙される方にもいろいろ事情はあると思いますので、その人にあった方法でまずはスタートする。これがとにかく第一歩です。
とにかく応援!「応援団になってあげてください」
禁煙って、とても孤独な戦いなんです。
チームで頑張るわけではなく「ひとりでそうっとスタートする」のが禁煙です。そしてなかなかうまくいきません。
禁煙失敗は「その人のガマンが足りないから」ではなく「タバコの成分・ニコチンの中毒性が強すぎるので、吸いたい誘惑に耐えきれなくて」というメカニズムなのです。
外国の調査データですが、6ヶ月間の禁煙成功率は1割にも満たないというデータもあるくらいです(ファイザー製薬「すぐ禁煙。jp」ホームページより)
本人は「今日一日」次の日も「今日一日」を数ヶ月単位でがんばりますので、「頑張ったね」「明日も頑張れるよ」「応援してるよ」と、その日その日を褒めてあげてください。
たとえタバコに火を付けてしまっても「また頑張ろう!」と応援してあげてください。
サポーターの居る居ないで、頑張れるパワーってまったく違ってきます👍
コロナ禍の無観客スポーツや東京オリンピックを思い出してください。応援の力って、すごいですよ。
まとめ:大切な人にタバコをやめてほしいと思ったら、応援団になってあげてください
・タバコは「やめたくてもやめられずに、本人も困っている」
・『タバコやめて!』は逆効果。
・することは「情報提供」禁煙への背中を押すきっかけづくりを。
・禁煙って、孤独でとにかく難しい。
・応援団になってあげる。
どうぞ皆さんの大切な方とともに、健康資産もキャッシュの資産も築いてください💪
最後まで長文を失礼いたしました。ありがとうございました🙏