- 投稿日:2024/10/28
- 更新日:2025/09/30

はじめに
記事に興味をもっていただきありがとうございます。臨床検査技師のきなこと申します。
献血といえば、いつも協力の呼びかけが行われている印象がありませんか?
献血は、治療を必要とする患者さんのために、健康な人が自分の血液を無償で提供するボランティア活動です。この記事では、なぜ献血への協力が求められているのか、その重要性を解説します。
注意:血液製剤の写真を小さいですが掲載しています。血を見るのが苦手な方はご注意ください。
献血を必要とする人はどんな人?
献血で集められた血液は以下のような用途に使われます。
✅ 輸血:
病気やけがで血液が必要な患者は、健康な人の血液を補給して治療する。
✅ 血漿分画製剤:
やけどや感染症、血友病の治療などに使われる医薬品で血液から作る。
そして献血を必要とする人はたくさんいます。
・がんなどの病気の治療を受けている患者
・手術を受ける患者
・大量出血をした怪我の患者
・白血病などの血液の病気の患者
・免疫機能が低下している患者
・血液凝固因子が不足している患者
ドラマなどでよく見る輸血シーンは、大怪我による大量出血や手術の場面が多い印象ですが、実際にはがん治療が輸血の約40%を占めています。
また、輸血を必要とする人の約85%は50歳以上です。しかし、少子高齢化の影響により「輸血を必要とする人」は増加している一方で、「献血をする人」は減少傾向にあります。
献血には種類があります
献血には、大きく分けて「全血献血」と「成分献血」の2種類があります。全血献血は、血液中のすべての成分を採血する方法で、200mLと400mLの2つのタイプがあります。一方、成分献血は血液中の血小板や血漿だけを採血する方法で、血漿成分献血と血小板成分献血に分かれます。
献血で集められた血液は、さまざまな医薬品となり、患者さんのもとに届けられます。
※厚生労働省ホームページより
※全血製剤は現在あまり使用されません。
ここで注目していただきたいのが、有効期間です。血漿製剤は凍結状態で1年間保存が可能ですが、赤血球製剤は28日、そして血小板製剤はわずか4日しか保存できません。この期間を過ぎると、輸血には使用できなくなります。(一部は研究や検査試薬製造に使用されますが、それ以外は廃棄になります)
👩🎓ここで豆知識①👩🎓
血液製剤は色分けされています。
A型は黄色、O型は青色、B型は白色、AB型は赤色と全国共通で決められています。
👩🎓ここで豆知識②👩🎓
血液型には、一般的によく知られているABO式のほかにも、多くの種類があります。その中には、確保が難しい血液型も含まれています。
日本では「まれな血液型」として、20種類以上が登録されています。血液センターでまれな血液型が検出された場合には、献血者本人に連絡があり、同じ血液型の患者さんが血液を必要とする際に、献血の協力をお願いされることがあります。
もしかすると、あなたも「まれな血液型」の持ち主かもしれませんよ?
なぜ献血が必要とされるのか
✅ 大怪我や手術だけでなく、いろんな病気で血液を必要とする患者さんが大勢いる。(年間約100万人の患者さんが輸血を必要としています)
✅ 少子高齢化のため「輸血を必要とする人」は増え「献血をする人」は減っている。
✅ 血液は人工的に造ることはできず、長期保存もできない。
✅ 1人の方が1年間で献血できる量や回数は限られている。
✅ 近年、免疫グロブリン製剤の需要が増加している。
これらの理由から、安定した血液製剤の供給を保つためには、多くの方の献血が必要です。これから寒くなりますが、冬から春にかけては献血者が減少する傾向にあります。
献血は、身近にできるボランティア活動です。一歩踏み出すことで、救える命がたくさんあります。特に、10代から20代の若い世代の献血が減少している状況です。健康状態に問題がなく、基準を満たしている方は、ぜひ一度献血に協力してみませんか?
✔ 献血に興味を持たれた方はコチラ(日本赤十字社ホームページ)
献血基準、献血の手順、献血ルームの検索ができます。