- 投稿日:2024/12/13
- 更新日:2025/10/01
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はカール・シャピロとハル・ヴァリアン著『情報経済の鉄則』2018年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:カール・シャピロとハル・ヴァリアン
シャピロは、カリフォルニア大学バークレー校ハース·ビジネススクール教授兼バークレー校経済学部教授。専門はビジネス戦略。1981年MITで博士号取得。プリンストン大学を経で90年から現職。
ヴァリアンは、米国の経済学者、Googleのチーフエコノミスト。専門はミクロ経済学と情報経済学。カリフォルニア大学バークレー校経済学部教授等を経て、2002年から Google で広告オークションの構築に従事。
アマゾンの創業者ジェフ・ベゾス曰く、
「情報経済の世界で本書の鉄則に従えば成功確率が格段に高まる」
と評価したのがこの『情報経済の鉄則』である。
700ページ近くにもなる大著…。
しかも、初版は1999年。下手すれば古典である😅
だが、情報財でビジネスをする基本的な考え方は網羅している。
著者のシャピロは経済学が専門で米国司法省の幹部も務めた、理論と実務の両面に精通する研究者。
ヴァリアンも経済学の研究者で、情報経済の第一人者。
この書籍は「情報財」を扱う者であれば、知っておいて損は無いだろう。
補足:情報財 市場で取り引きされている情報のこと
音楽、本の電子出版、映画やソフトウェア等が該当する。
情報財の特性を理解せよ
再生産コストはほぼゼロ
情報財は生産コストが高いが、追加生産コストがほぼゼロ。
この特性を活かすことが成功の鍵だ。
例
映画は巨額の制作費がかかるが、ネット配信すれば作品を顧客一人ひとりに届けるコストはほぼゼロ。
しかし、クルマの場合、1台つくるたびに生産コスト(材料、製造、輸送、人件費)がかかる。
⇒ 情報財の特性を活かし、収益性を高めよう。
サンクコストに注意
映画やソフトウェアの制作費は一度失うと回収が困難。
リスクを計算し慎重に投資すべし。
例 完成した映画を公開中止すると、制作費用はすべてムダになる。
このように情報財は生産コストが埋没費用(サンクコスト)になる特性を持つ。
⇒ サンクコストを意識して計画を立てる。
このような特性があるので、本書では戦略的な視点として次の5つを挙げている。
戦略的な視点5つ
視点❶ 価格設定
顧客価値に基づく価格設定をどうするか?
価格は生産コストではなく、顧客が感じる価値で決めるべき。
ハイエンド版とローエンド版を用意し、需要を最大化する。
ポイントは、ハイエンド版は魅力を徹底的に高める一方、ローエンド版の魅力は下げること。
例
・ユーザーインターフェース……レシピサイトのクックパッドは有料で人気レシピを検索できる。
・解像度……ネットフリックスは低画質動画は低料金、高画質動画は高料金
・利便性……Zoom無料版の会議は40分までだが、有料だと時間無制限
補足:Zoom(ズーム)はクラウドベースのビデオ会議サービス
・使い勝手……全機能が使える高価格版、編集などができない無料版
・追加コンテンツ……マリオカートの新コースや新キャラクター。
・煩わしさ……YouTubeは広告が頻繁に出るが、有料登録で出なくなる。
・サポート……ネット上で自由に入手できるが、企業向けには有償で保守サポートを提供する。
チャットGPTとかも無料版と有料版で使用できるモデルに制限がある。
魅力的なローエンド版を作らない
ローエンド版がハイエンド顧客を奪わないように工夫する。
⇒ バージョン化を活用して市場(顧客層)を広げる。
⇒ 顧客層ごとに明確な差別化を行う。
視点❷ 知財管理
すぐコピーできるので知的財産の保護が難しい。
むしろ保護せずに価値を高める方法に発想を転換する必要がある。
別の本:「無形資産が経済を支配する」で説明した
スピルオーバー(波及効果)が影響する。
例:iPhoneの登場後、多数の類似製品が登場した。
模倣されやすく、他社に影響が及ぶ。
⇒ 独自性を守るのが課題。
視点❸ スイッチング・コスト
スイッチング・コストを設計
スキル、データ移行、契約の縛り、移行先を検討する手間など、顧客が他サービスに乗り換える負担を増やすことで囲い込みを実現する。
携帯電話では契約が2年単位で自動更新され、特定の月以外で解約すると違約料金が発生する「2年縛り」もスイッチング・コストの一種である。
楽天のようにポイントや利便性で囲い込みを図る。
複数のサービスを組み合わせて強固な基盤を作る。
経済圏の構築もある。
⇒ 顧客ロックインを意識したサービス設計を行う。
⇒ 経済圏を構築してリピーターを増やす。
視点❹ 正のフィードバック
正のフィードバックを起こす
商品を使うユーザーが多いほど商品価値が高まることを「正のフィードバック」という。
例
コロナ禍の在宅ワークのおかげでZoomユーザーが一気に増えた。
他社も同等サービスを出しているが、スイッチング・コストがあるため、Zoomに慣れた人は他社サービスを使いこなせない。
結果、ますますZoomが使われる。
もっと単純にいうなら、「みんなに読まれている記事はさらに読まれやすい」
逆に「これは将来性がない」という商品はさらに売れなくなる。
あなたは数年後に残っているかどうかわからないスマホ機種よりも、将来も確実にサポートがある機種を選ぶ。
⇒ 初動の成功が成長をさらに加速させる。
⇒ 商品を使うユーザーが多いほど商品価値が高まる。
視点❺ 規格化と標準化
標準化をリードする
規格化を早く行い、他社と協力することで市場の支配権を握る。
競合より一歩先んじることが必要。
早い段階で味方と競合の見極め。
つまり、協業や協力体制が勝敗を握る。
例
同じ商品を使う人が多いほどユーザーにとって魅力的になる。
電話は世界中の人が使い、世界中の人とつながるからこそ価値がある。
LINE、ペイペイといった決済サービスも利用者と使用できる店舗が多いからこそ、人気になる。
最近のメルペイがAmazonで使用できるようになったのも標準化といえる。
⇒ 規格化で市場の主導権を取る。
パソコン、スマホ市場、検索エンジン
もはやなくてはならないIT企業は情報経済の鉄則に忠実に沿って戦略を展開してきたことがよくわかる🤔
別の本:「無形資産が経済を支配する」で説明した
勝者総取りの時代の要因である。
まとめ
⇒ 情報経済の成功原則は時代を超えて通用する。
⇒ 勝者総取りの原則を理解しよう。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆
