- 投稿日:2024/12/12
- 更新日:2025/10/01

初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はジョナサン・ハスケルとスティアン・ウェストレイク著「無形資産が経済を支配する」2020年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:ジョナサン・ハスケル
インペリアル・カレッジ・ビジネススクール経済学教授。スティアン・ウェストレイクと2017年インディゴ賞を共同受賞した
著者:スティアン・ウェストレイク
イギリス全国イノベーション財団ネスタ・シニアフェロー。ジョナサン・ハスケルと2017年インディゴ賞を共同受賞した
何世紀にもわたり、人々が何かの価値を測ろうとするときにはー所領、農場、会社、国などー物理的なモノを数え計測した。
ジョナサン・ハスケルとスティアン・ウェストレイク著「無形資産が経済を支配する」
やがてこうした資産や投資の性質は変わった。
ジョナサン・ハスケルとスティアン・ウェストレイク著「無形資産が経済を支配する」
無形資産を知っておこう
「無形資産」:目に見えないモノの価値は大きく上がっていく。
目に見えない「情報や人材」がビジネスを一変させたと語るのがこの本書。
長い間、人にとって豊かさとは広い土地や数多くの家畜、穀物を所有することだった。
つまり、目に見える有形資産を会計帳簿に固定資産として記録、管理してきた。
トマス・J・スタンリー著「1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました」での注意点で話した点。
この本の調査時期は2000年以前。
IT産業やコンピュータ関係で身を起こした人物がほとんど出てこない点である。
2002年頃から経済学者を中心に無形資産への投資についての議論がされてきた。
当時、世界で最も時価総額が高かったのがマイクロソフト社。
参考になる本
・「ビル・ゲイツ: 巨大ソフトウェア帝国を築いた男」
ジェームズ・ウォレスとジム・エリクソン 著 1992年発行
「見えるモノが資産」という従来の会計の常識では、有形資産(工場や設備)がほとんどないマイクロソフト社が、市場価値は26兆円もあった。
同社の帳簿を調べ、「同社の資産価値は研究開発で生んだアイデア、ブランド、社内プロセス、人材などの無形資産だ」とあきらかにした。
2人の著者はこの分野の研究をしてきた英国の経済学者である。
無形資産と有形資産は、特性がまったく異なる。
あなたが扱う「商品」はどちらなのかを知っておこう🧐
無形資産とは何か?
無形資産は目に見えないが経済を支える資源である。
本書では無形資産を、次の3種類に分けている。
❶コンピュータ化情報:ソフトウェアやデータベースなど
❷イノベーション財産:研究開発や娯楽作品
❸経済能力:人材への研修や企業変革への投資
現代では、豊かさの源泉は目に見えない無形資産に変わった。
⇒ 現代の豊かさの源泉である。
これらは従来の会計基準に収まらず、新たな経済の仕組みを形作っている。
無形資産への投資は貸借対照表の資産に計上されないことが多い。
資産ではなく費用に計上されることが多いからだ。🤔
無形資産の4つの特性
特性❶ スケーラブル(拡張可能性)
無形資産は一度作れば何度でも活用できる。
例:スターバックスのマニュアルは国を超えた全店舗で共有可能。
無形資産は一度つくれば何度も同時に複数箇所で使用できる。
ノウハウ記事も北海道や沖縄にいても、すぐ複数の人間に展開できる。
ネットワーク効果(ユーザーが多いと価値が増える効果)で、さらに大きな価値を生み出せる可能性もあるのだ。
⇒ 少ない投資で大きな価値。
特性❷ サンクコスト(埋没費用)
撤退時に価値が回収しづらい。
例:倒産した企業の無形資産は他社にとってほぼ無価値。
工場や設備などの有形資産は売却できる。
しかし、無形資産は売却が難しい。
マニュアル、情報商材、ブログやサイトの売却は状況が異なっている。
従来、多くの企業は銀行からの借入で資金調達してきた。
つまり、銀行は担保をとれないので、銀行から資金調達できない。
IT企業が株式公開によって、資金調達する理由でもある。
⇒ 投資のリスクが大きい。
特性❸ スピルオーバー(波及効果)
模倣されやすく、他社に影響が及ぶ。
例:iPhoneの登場後、多数の類似製品が登場。
有形資産の所有権はかっちりしているが、無形資産は大量展開する以上、模倣や所有権が曖昧になる。
著作権、二次創作、オマージュ、パクリの線引きは当人同士でも難しい。
似た記事が出てしまうのはよくあること。
特に流行の記事は狙っていなくても、被ってしまう場合もある😅
⇒ 独自性を守るのが課題。
特性❹ シナジー(相乗効果)
他のアイデアと組み合わせると新しい価値を生む。
例:電子レンジは軍事レーダー技術と家電知識の融合。
アイデアとアイデアは別のアイデアを作り出すキッカケになる。
⇒ イノベーションの可能性が広がる。
逆にアイデアの知的所有権を法で守ろうとするとシナジーの機会は減る。
トヨタは当初ハイブリッド技術を社外秘にしたが、ハイブリッドカーが業界に広がらなかったので、2019年にハイブリッド陣営拡大を狙って特許の無償提供に踏み切った。
外部の参考記事:トヨタが「HV特許」を無償で提供する本当の理由
無形資産に投資すると起こる特徴
①不確実性が増す
失敗と成功のブレが大きい。
失敗すると特性❷ サンクコスト(埋没費用)で投資を回収できない。
成功すると特性❶ スケーラブルの効果で規模が急拡大しできる。
特性❹ シナジー(相乗効果)で価値も増幅する。
⇒ この不確実性が次の特徴につながる
⓶勝者総取りの時代
無形資産を活用する企業が市場を独占。
例:GAFAの成功要因。
成功する企業は特性❸ スピルオーバー(波及効果)によって、無断で模倣されやすい。
iPhoneを真似たGoogleのアンドロイドもそうである。
⇒ この特徴が格差拡大と経済の停滞を招く。
③「長期停滞」と「格差拡大」を招く
従来の常識は「不景気なら金利を下げれば企業がお金を借りて投資するようになり、景気は回復する」だった。
しかし、無形資産で莫大な売上と利益をあげる企業はシナジーでさまざまな無形資産を組み合わせて価値を生み出す。
つまり、デジタルに疎い企業よりも圧倒的に投資効率が高い。
一方でデジタルに疎い企業は特性❸ スピルオーバー(波及効果)の能力がない。
これでは投資しようにもできない。
勝ち組と負け組が二極化して、投資の低調と低金利が続き、経済の長期低迷が続く結果につながった。
アップルやエヌビディアの株が10年間でどれほど成長しただろうか?
有形資産が大半の企業と比べた際、成長率をどちらが期待できるだろうか?
あなたがリターンを期待する投資家なら、どちらにお金を送るだろうか?
勝ち馬の無形資産企業は、銀行からも簡単に資金調達できる。
もうこうなると手が付けられないのはよくわかるだろう。😅
無形資産で競争優位性を生み出すには
①価値がある
②珍しい
③模倣が難しい
無形資産の特性に矛盾しているような要素だが必要になる。
シリコンバレーの生きる伝説と目されるナヴァル・ラヴィカント氏が富を得るためには「『特殊知識』『説明責任』『レバレッジ』を武器にせよ」としていた。
・『特殊知識』
他の人では代替できない暗黙知
・『説明責任』
レバレッジは必ず「誰かから提供を受ける必要がある」もの
できる限り自分の名前で信用を築かなくてはならない。
自分の名前を出すことはリスクを負う反面、得られるリターンも大きくなる
・『レバレッジ』
無形経済の勝ち組企業は最高の人材を高給で雇って、並の人材10人が敵わない仕事をさせる。
「労働」「金」「限界費用ゼロで複製できるプロダクト(本、メディア、映画、プログラミングコード)」
モノづくり企業にとっても、無形資産は重要。
製造業のサービス化という考え方が必要になる。
自社の製品だけでなく、製品を活用した解決策の提案。
トータルコーディネートも無形資産となる。
技術力があるにもかかわらず低迷してきた日本の電機業界の中でも、ソニーはエンターテインメント、日立は社会インフラを支えるソリューションにシフトして復活した。
彼らも電機製品という有形資産から、競争優位性をもつテクノロジー(ソニーは感動を生むためのさまざまな技術、日立は社会イノベーションを支える技術)を活かした上で、無形資産に移行した。
今、無形資産とどう向き合うかが、あらゆる業界で問われているのである。
まとめ
⇒ 「無形資産」への理解と対応こそが成否を分ける。
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆