- 投稿日:2025/01/25
- 更新日:2025/10/26
血糖値ダイエットとは何か?
「ダイエットを始めても続かない」「リバウンドばかりでうんざり」という経験はありませんか?そんな方におすすめなのが、食べ方を少し工夫するだけで効果が出る『血糖値ダイエット』です。
血糖値とは?
そもそも血糖値というのは血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度のことを指します。食事をすると、食物中の炭水化物が分解され、ブドウ糖として小腸から吸収され、血液中に入ります。このブドウ糖が血液中に存在する量が血糖値として測定されます。
つまり
ブドウ糖が血液内に存在する量=血糖値
となります。
このブドウ糖は素早くエネルギーに変換されたり、脳へのエネルギー源になったり、筋肉に蓄えられて運動時に利用されます。
血糖値の調整方法、なぜコントロールが必要なのか?
「じゃあ、ブドウ糖って良いことだらけだから血中に多い方が良いじゃん!」
と思われるかもしれませんが、実はそういうわけには行かないんです。
理由は、ブドウ糖が多すぎる(=高血糖状態)だと血管壁・神経への障害、臓器への負担、免疫機能の低下などを招いてしまうからです。
そのため、血液中のブドウ糖を減らす働きとしてインスリンが分泌されます。インスリンはブドウ糖を肝臓や、筋肉に脂肪などとして蓄える働きをします。
血液中のブドウ糖が多ければ多いほど分泌されるインスリンの濃度も増え、脂肪として蓄えようとします。
血糖値ダイエットはこの血糖値の上昇や下降のスピードを緩やかにし、ブドウ糖が脂肪として蓄えるのを防ぐ工夫をした食事方法です。
血糖値ダイエットの基本ルール
このダイエットは「制限」ではなく「工夫」がポイントです。以下のルールを取り入れるだけで、無理なく続けることができます。
1.食物繊維(野菜)、タンパク質(肉・魚・豆類)、炭水化物(ご飯・ぱん・麺類)の順で食事をする。
2.噛む回数を増やす。
順番に解説します。
1.食物繊維(野菜)、タンパク質(肉・魚・豆類)、炭水化物(ご飯・ぱん・麺類)の順で食事をする。
「食べる順番」を変えるだけで、血糖値の上昇を大幅に抑えられることが分かっています。
大切なのは血糖値の上昇を穏やかにしてくれる食物繊維を、最初にたっぷり摂取することです。これは食物繊維は胃での滞留時間が長いことが報告※1されているため、食物繊維を多く含む野菜サラダを先に摂取することで、後に摂取した炭水化物の吸収を遅らせると考えられます。(※1 Yu K. et al. Asia Pac J Clin Nutr. 2014, 23: 210-218.)
ここで注意なのは野菜は特に食物繊維が大切なので、野菜ジュースなどは効果が見込めにくい点があります。
2.噛む回数を増やす。
噛むことによって満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐことができ、噛む回数分食事の時間が伸びるので血糖値の上昇が緩やかになります。
また噛む回数が増えると唾液の分泌が増えて、食物繊維と唾液が混ざることでゲル化し粘度が高くなります。胃内容物の粘度が高いと糖質の吸収が遅くなることが報告※2されており、食物繊維を「噛む」ことによって引き起こされる物理的な変化が、糖質の吸収速度に影響を与えると考えられています。(※2 Seto Y. et al. J Cook Sci Jpn, 2014, 47: 90-96.)目安は1口30回ほど。
応用編:より効果を高める方法
次でご紹介するのは基本的なやり方に加えて行うとよりダイエット効果が見込めます。しかし、基本的なやり方よりも継続性の部分としてハードルがあるため、余裕のある方のみでも構わないと思います。
3.食事後軽い運動を行う。
食事後に軽めのウォーキングを行うことで血糖値の改善効果が高いとされています。
4.低GI食品を選ぶ
低GI食品とはGI値(グリセミック・インデックス)が低い食品のことを言い、血糖値を急上昇させにくい性質があります。主な例として雑穀米、全粒粉パン、オートミール等です。
血糖値ダイエットのメリット・デメリット
メリット
1.リバウンドしにくい
糖質制限やカロリー制限を行うわけではないのでリバウンドしにくいです。
2.運動の有無に関係なく効果が出やすい
このダイエット方法はカロリーを消費し、脂肪を減少するのではなく、食事を摂取した時に脂肪に変えにくくするものなので運動量は関係ありません。(勿論、運動すればより効果は出やすいです。)
3.食事内容を制限しなくても良い
糖質(ご飯、麺)を我慢したり、カロリー制限はしないため無理なく続けやすいです。
デメリット
1.実践が煩雑に感じられる場合がある
食べる順番や噛む回数に注意する必要があるため、忙しい人にとっては負担に感じることがあります。
2.即効性は期待できない
血糖値ダイエットは急激な体重減少を目的とする方法ではなく、長期的な健康改善を目指すため、短期間での成果を求める人には物足りない場合があります。
3.外食や惣菜の選択が難しい
外食やコンビニ食では、低GI食品を選ぶのが難しい場合があります。また、単品だと野菜の食物繊維を豊富に摂取しづらい状況になりやすいです。もし日常的に外食が多い方は「サラダ等を注文する」「食前の間食としてナッツ類(無塩)を食べる」のが良いと思います。
4.体質や病状による効果の違い
体質や健康状態によっては、血糖値ダイエットが効果的でない場合もあり、医師や専門家に相談する必要があります。

他のダイエットとの比較
1. カロリー制限ダイエット
基本概念: カロリー制限ダイエットは、摂取カロリーを減らすことに重点を置いた方法です。体重を減少させるためには、消費カロリーが摂取カロリーを上回る必要があります。
比較: 血糖値ダイエットは、血糖値の安定を重視するため、食事の質や栄養バランスに焦点を当てています。一方、カロリー制限は単にカロリーを減らすことに集中するため、栄養不足に陥るリスクがあります。
2. 糖質制限ダイエット
基本概念: 糖質制限ダイエットは、炭水化物の摂取を制限し、代わりにタンパク質や脂質の摂取を増やす食事療法です。これにより、血糖値の安定化や体重減少が期待されます。
比較: 血糖値ダイエットは、糖質の摂取を完全に制限するのではなく、食物繊維や低GI食品を重視します。糖質制限は、糖質を極端に減らすことが多く、長期的な栄養バランスに影響を与える可能性があります。
3. 地中海式ダイエット
基本概念: 地中海式ダイエットは、オリーブオイル、魚、果物、野菜、全粒穀物を中心とした食事法で、心血管疾患のリスクを低下させることが知られています。
比較: 血糖値ダイエットと地中海式ダイエットは、どちらも健康的な食品を重視しますが、血糖値ダイエットは特に血糖値の管理に焦点を当てています。地中海式ダイエットは、より広範な健康効果を目指しています。

まとめ
血糖値ダイエットは「食べる順番を工夫する」「噛む回数を増やす」といったシンプルなルールで無理なく続けられるダイエット法です。無理な制限や激しい運動をしなくても、身体に優しく健康的な生活を送ることができます。
まずは食事の順番を変えることから始めてみてください。今日から簡単に取り組めるこの方法、健康的な未来につながると思います。