- 投稿日:2025/02/28
- 更新日:2025/10/15
我が家は療育手帳を持っている次男と三男がいます。
療育手帳を持つ次男と三男は、公共交通機関やさまざまな施設で『障害者割引』を受けることがあります。
障害者割引について『ズルい』という声を耳にすることがあります。
でも、それは本当に公平ではないことなのでしょうか?
『ズルい』と言う方は、そもそも障害のある子どもにとって『お出かけすること自体が大変なこと』だという現実をご存じでしょうか?
そうした現実を考えたことがない方も多いかもしれません。
身近にいないと想像することすら難しいと思います。
障害者割引の意義
障害者割引が適用される理由には、社会的な意義がいくつかあります。
・経済的負担の軽減
障害を持つ方々は、通院や介助のための移動が多くなることがあり、交通費や施設利用料が大きな負担になり得ます。割引制度により、経済的な負担を軽減し、社会参加を促進します。
・社会参加の促進
公共施設や交通機関を利用しやすくすることで、障害者の方々が積極的に社会に参加できるようになります。文化施設、スポーツ施設、公共交通機関などの割引は、生活の質を向上させるために重要です。
・バリアフリー社会の実現
割引制度は、障害者に対する社会的な配慮の一環として導入されています。物理的なバリア(段差や設備など)だけでなく、経済的・心理的なバリアを取り除くことで、すべての人が公平に社会生活を送れる環境を目指しています。
・福祉政策の一環
日本の法律(例:障害者基本法)では、障害者の自立と社会参加を支援することが求められています。割引制度もその一環であり、公共機関や民間企業が協力して福祉を支える仕組みになっています。
・国際的な動向との整合
国連の「障害者の権利に関する条約」でも、障害者が社会のあらゆる場面で平等な機会を持つべきであるとされています。日本もこの理念に基づき、様々な支援制度を整えています。
このように、障害者割引は単なる経済的支援ではなく、社会全体の共生と公平な機会を確保するための重要な仕組みなのです。
我が家の話
我が家の場合、自閉スペクトラム症(以下ASD)&注意欠如多動症(以下ADHD)の三男とASDの次男がいます。
ASDの特性上、分からないことや先の見通しが立たないことに強い不安を感じるため、初めての場所では次男は固まって動けなくなり、ADHDのある三男は逆に落ち着かず激しく動き回ります。
幼い頃の出来事です。
「フツーの子」でも自分の世界に没頭する年頃、さらに自分の遊びに夢中になってしまい周りが見えなくなる二人です。
近所の公園で他の子が興味を持って寄ってきただけでも自分の遊びの邪魔をされたと思い相手の子を突き飛ばしてしまったり、ただ走り回っているだけですが周りが見えないのでぶつかってしまったりします。相手のお子さんが泣いたり大声を出したりすると本人たちにとっては不測の事態なのでパニックになってしまい、暴れたり奇声を上げたりして危害を与えんばかりの様子に、相手の親御さんからは非難されたり危険人物扱いされたりというのは日常茶飯事でした。幸い心理士が常駐していて多様な親子に対応してくださる児童館が近くにありますが、幼稚園に入るまでには近所の公園はほぼ出禁状態でそこ以外で遊ぶ事は難しくなっていました。
さて、こんな我が家です。
お出かけするとなると、気になったら満足するまで見ていたいので動かなくなる次男、あちこち周りが気になって動き回る三男を連れて行くのは至難の業です。三男が迷子になったことは数知れず。「犬の散歩じゃあるまいし」と言われながらも紐付きリュックはお出かけは必須アイテムでした。それでも「ちょっとそこまで」のお出かけすら億劫になります。
お出かけするハードルを下げるために
そんな時の手助けのひとつになるのが障害者割引です。
少しでも経験を積むことで新しい場面に遭遇する事や新しい場所に慣れる事ができるようになり、経験を積むことは本当に大切です。よく相談に乗って頂いていた児童館でもお出かけしてみることを勧められたり、私自身も色々なところで様々なことを経験させたいと思いました。経済的な負担が軽くなることで、お出かけのハードルがぐっと下がりました。
特に幼い頃は、動物園と水族館にとても助けられました。
親子共に無料もしくは割引で入園・入館できたり、少々走り回ったり騒いでも温かく見守って下さる雰囲気なのと、手帳を提示する事で職員の方々もそっと様子を見てくださってたのはありがたかったです。
同伴者も割引になることもある
手帳の等級にもよりますが、介助者として同伴者も割引を受けられる場合があります。実際、我が家でも次男や三男と出かける際には、介助者として私も割引を適用していただいています。しかし最近、SNSなどで障害者手帳の『介助者割引』を利用し、美術館や博物館に無料または割引で入場できる『同行者』を募集するケースが話題になりました。
確かに、障害のある方が気軽に外出できる環境を整えるためにこの制度があるのは大切なことです。ですが、本来の趣旨を逸脱した使い方が広がると、制度そのものへの不信感につながりかねません。
本当に必要な人が適切に利用できるよう、制度の意義を理解し、正しく活用することが大切ではないでしょうか。
障害者割引を活かして、楽しいお出かけを
手帳が使えるから…とお出かけのきっかけになり、子供たちの成長と経験を積むことで、少しずつ出かけることへの抵抗も減ってきました。走り回ってはいけない場所や、静かにすべき場所も理解できるようになり、たくさんの失敗を重ねながら学んできました。
一部で気になる使い方をされる方もいて問題になることもありますが、本来の目的に沿って有意義に使えたらと思います。障害者割引は、外出のハードルを少しでも下げ、たくさんの経験を積むための大切な仕組みです。本当に必要な人が適切に活用し、楽しい思い出をたくさん作れる社会であってほしいと願います。
☆★2025年5月31日USJオフ会に行った際に療育手帳を活用しました☆★
実際に手帳を使った時の参考になるかと思いますので、ぜひこちらも併せてご覧ください。
療育手帳は節約の味方!USJオフ会と学校行事で使ってみた話