- 投稿日:2025/03/08
- 更新日:2026/01/02
はじめに
くるくると申します!
普段は新橋オフィスを中心に個別株分析オフ会を開催しています。
オフ会では各自が好きな銘柄を1つ調べてきて発表しあうことを目的としています。
分析をしたことがない方でもご参加いただけるように、私なりに分析方法をまとめた記事を投稿しています↓↓↓
個別株分析の始め方(高配当株編)
そのなかでは以下の流れで分析を進めるように紹介しています。
Q1.投資候補として現在興味がある銘柄を一つ教えてください。
Q2.興味をもった理由は何ですか?
Q3.どんな事業をしていますか?
Q4.「配当額」と「配当利回り」はいくつですか?また、その推移はどうなっていますか?
Q5.配当額は今後どう変化すると思いますか?
Q6.分析の結果、その銘柄の株を買いたいと思いましたか?
そのうち、この記事では以下の手順の具体例として執筆しました。
Q3.どんな事業をしていますか? Q4.「配当額」と「配当利回り」はいくつですか?また、その推移はどうなっていますか? Q5.配当額は今後どう変化すると思いますか?
まだ個別株分析の始め方(高配当株編)を読んでいない方は、先に読んでからこの記事をお読みいただくことをオススメします。
注意事項
様々なやり方のうちの一つと捉えてください。
また、いかなる投資商品の購入を推奨するものではありません。
投資は自己責任でお願いします。
記事の内容は2025/3/8時点の情報に基づきます。
題材:七十七銀行【8341】
今回は宮城県を地盤とする地方銀行の七十七銀行【8341】を分析します。
私の出身地の地方銀行ということで選定しました。他の地方銀行も通ずるものがありますので、ぜひ推し地銀の分析にご活用ください。
画像:会社ホームページより
地元では「しちしち」の愛称で呼ばれます。
国立銀行の「開業免状」を受けた順番が77番目なのが銀行名の由来です。
七十七銀行は地方銀行(※)の一つです。
(※全国地方銀行協会に所属する銀行の通称)
三菱UFJ銀行などのメガバンクとは違い、地方銀行は地元経済に特化した銀行です。愛知県を除いて46都道府県に1つ以上あります。
画像:2024地方銀行パンフレットより
地方銀行はその地域で最も規模が大きい銀行であることが多く、「第一地方銀行」とも呼ばれます。
実際、七十七銀行は宮城県内で圧倒的なシェアを誇ります。
画像:2024地方銀行パンフレットより
次に地銀業界におけるポジションを確認してみましょう。
七十七銀行の貸出金残高は地方銀行(第二地銀含む)で15位です。
比較的上位に位置します。
ランキングをみると、地域の経済規模が大きいほど上位にランクインすることが分かります。
七十七銀行は東北地方で唯一の政令指定都市である仙台市がお膝元です。
経済規模が大きい地域をもつ点は周囲の銀行に比べて有利ですが、宮城県の人口減少にともない銀行の将来性も懸念されています。
Q3.どんな事業をしていますか?
以下の資料やサイトが調べやすいです。
・会社ホームページ
・YouTube
・決算説明資料(特に通期決算説明資料)
・中期経営計画
今回はホームページに掲載されている統合報告書 2024を利用します。
統合報告書とは財務情報と非財務情報をまとめて報告する年次資料です。だいたいどこの銀行も発行しています。

また、銀行の決算書は一般企業とは少し異なります。例えば、「売上高」という項目がありません。
そこで、決算書の読み方は全国銀行協会が発行するやさしい銀行の読み方~銀行の財務諸表とディスクロージャー~を引用しながら解説します。
銀行のビジネスを一言で言えば「他人から預かった資金を運用して利益を出す」ことです。
画像:10分で分かる金融業界(銀行編):3大メガバンクの特徴を徹底解説より
更に言えば資産を運用して利息を得ています。
利息を得る方法は大きく2つです。
①個人や企業に融資(貸出)を行い、利息を得る
②有価証券を購入し、利息を得る
また、銀行の役割は資金運用だけではありません。例えば、為替取引(異なる通貨同士の両替)や口座振替、投資信託の販売です。
こういったサービスから手数料を得ています。
この利息と手数料が主な銀行の収益源です。
では、実際の決算書からどの事業がどれくらい収益を上げているのか確認しましょう。
「売上高」に相当する項目は銀行業では「経常収益」と呼ばれます。直近の決算短信から経常収益の内訳を見てみましょう。
画像:2025年3月期 第3四半期決算短信より
各項目の超簡単な説明は以下です。
資金運用収益・・・利息による収益
うち貸出金利息・・・融資(貸出)による利息
うち有価証券利息配当金・・・有価証券による利息
役務取引等収益・・・手数料による収益
※他の項目はやさしい銀行の読み方~銀行の財務諸表とディスクロージャー~に説明がありますので興味があればご覧ください。
つまり、七十七銀行では収益のうち利息が7割、手数料が1.5割を占めます。
Q4.「配当額」と「配当利回り」はいくつですか?また、その推移はどうなっていますか?
確認する観点は2つです。
①.配当は増配傾向にあるか?
②.過去も高配当だったのか?
①.配当は増配傾向にあるか?
上の図を見ると、減配なく推移しています。また直近は5年で3倍にまで増加しています。
②.過去も高配当だったのか?
一般には配当利回りが4%以上あれば高配当株と呼ばれます。
2022年をピークに利回りが下がっています。これは株価が上昇したためです。
画像:Google検索より
一方で配当性向は年々上昇していますから、株主還元は年々強くなっています。株主還元の改善以上に株価が上がっているということですね。
執筆時点での予想配当利回りは3.4%です。高配当株としてはやや物足りないものの、一時的な株価下落タイミングを狙えば購入を検討できる水準にあると思います。
Q5.配当額は今後どう変化すると思いますか?
株主還元方針は以下の会社発表に記載があります。
銀行業としての公共的性格と経営の健全性維持等を考慮し、財務基盤の強化を前提として、累進的配当により、親会社株主に帰属する当期純利益に対する配当性向を 2025 年度までに 35%以上に引き上げるとともに、機動的な自己株式取得により、株主利益と資本収益性の向上を目指していく。
累進的配当をとることが述べられています。
2024年度の配当性向が30.4%であるため、まだまだ増配余力があるといえるでしょう。
まとめ
あくまでも自己流の分析方法になります。このやり方をベースに皆さま流の投資スタイルを確立していただければと思います。
最初は難しいかもしれません。
そのため出来るだけ興味をもって分析できる銘柄から始めてみましょう。
まずはやり切ることが大事です!
せっかくやってみたけど正しいの分からない、、、他の人の意見も聞いてみたい、、、という方!!
ぜひオフ会にお越しください!一緒にスキルアップしていきましょう!!
おまけ:【発展】金利と銀行の業績
2024年に日本銀行は金利の利上げに踏み切りました。実に17年ぶりのことです。
その結果、銀行の業績は上昇傾向にあります。その理由はなぜでしょう?
各国には政策金利という中央銀行が金融政策として定める金利があります。この金利を操作することでその国の景気回復や引き締めを誘導します。
政策金利をもとに各銀行は貸出金利を決めます。また、細かい説明は省きますが、有価証券の利回りにも影響します。
要は
政策金利が上がる⇒金利が上がるので利息収益が増える
政策金利が下がる⇒金利が下がるので利息収益が減る
と思ってください。
一般消費者にとって金利上昇は嬉しいことが少ないですが、銀行にとっては喜ばしいことです。
しかし金利が上がり過ぎると、そもそも銀行からお金を借りる人が減るので収益が下がります。やり過ぎは逆効果ということですね。
以下が七十七銀行の利息と手数料(役務取引)の収益推移です。
日本は2016年にマイナス金利政策が導入され、低金利下で貸出金利息が伸び悩んでいました。
それが新型コロナで流れが変わります。
コロナ禍からの回復で景気が上向き、貸出金残高がこれまで以上に伸びた結果、貸出金利息も伸びています。
さらに加えて2024年から断続的に利上げが始まりました。
金利が上がるのでさらに利息が上乗せされます。
このように景気回復の局面では銀行にとって追い風が続きます。
しかし、金融市場の流れや金融政策が変われば急に向かい風にもなり得ます。
この点が銀行業が景気敏感株と言われる理由です。
いまの調子がいつまで続かないということを理解したうえで投資するかを考えるべきでしょう。
なお、低金利時代の銀行は利息で稼げなかったので、手数料(役務取引)での稼ぎにシフトしていきました。
七十七銀行でも役務取引等収益が継続して増加していることが分かります。
利息に比べて手数料の方が景気に左右されにくいです。
収益の構成比率も銀行ごとの特色が出る点ですので、注目してみると面白いと思います。