- 投稿日:2025/03/15
- 更新日:2025/09/29

はじめに
相続時精算課税制度を使って、実家の生前贈与の贈与税を非課税にしました。実際に制度を使うまでの経緯、やったことをお話しますので、生前贈与や制度の利用を考えている人はご一読いただけると嬉しいです!
親名義の家に子がリフォームすると税金がかかる?
昨年、夫が築古の実家をリフォームしました。実家の名義は夫のお父さんになっています。これを夫のお金でリフォームすると、税務上は、お父さんが夫からリフォーム費用相当の贈与を受けたことになり、お父さんに贈与税が発生してしまいます。大規模リフォームなので、かりに1,000万円とおきます。
贈与税の計算と税率はこちら。子から親への贈与なので、一般税率です。
贈与税の額は、(1,000万円-110万円)×40%ー125万円=231万円!?
正気の沙汰ではありません。
そもそも、いずれは実家を夫が相続するため、家屋のみ名義をお父さんから夫に変えることになりました。
名義変更したからOK!…ではない
家屋の名義を変更する登記をおこないました。すると税務上は、夫がお父さんから家屋の生前贈与を受けたことになり、今度は、夫に贈与税が発生するのです。税金はババ抜きに似ていると感じるのですが、まさにそれ。
家屋の贈与の場合、固定資産税評価額に対して贈与税がかかります。固定資産税評価額は、毎月4月頃に送られてくる固定資産税通知書に明細が記載されています。築古の家屋なので、その固定資産税評価額は400万円程度でしたが、普通に贈与したのでは贈与税がかかります。
親から成人した子への贈与なので、特例税率を使います。
贈与税の額は、(400万円-110万円)×15%ー10万円=33万5千円。
現実味がある数字になったことでかえって恐怖が増してきました。
名義変更の登記の際、司法書士から勧められたのが「相続時精算課税制度」の利用でした。
ここからが本題。相続時精算課税制度とは
相続時精算課税制度とは、親から子、親から孫に対しておこなう贈与の際、本来支払うべき贈与税の支払いを先送りし、実際に相続が発生したときにまとめて精算する制度です。
この制度を使うと、2,500万円までの生前贈与に対して贈与税はかからず、相続時に相続財産と合算して相続税が計算されます。つまり、生前に財産を受け取りながら、最終的な税金の負担は相続時に決まるという仕組みです。
詳しくはこちら。
相続時精算課税制度の利用を決めた理由
相続時精算課税制度を使って生前贈与を受けた財産は、相続時に相続財産としてカウントされますが、その相続財産の総額が相続税の基礎控除の範囲内なら、今の贈与税がかからないだけでなく、将来の相続税もかかりません。つまり、贈与税も相続税も非課税で生前贈与をすることができます。
※不動産取得税はかかるので、後述します。
夫とお父さんが相続時精算課税制度の利用を決めた理由は、「相続税がかかるほど財産は持っていないし、税金を払わないでいいならそのほうがいい」と考えたためです。
注意点
相続時精算課税制度の利用有無にかかわらず、財産の総額を考えるときの注意点だと思うのですが、財産は本人や家族が思っていた以上に出てくるケースも多いと聞きます。実際に相続が発生して、調査してみないと正確な相続財産総額はわからないという点には注意が必要だと思います。
夫のお父さんの場合も、実際どうなのかわかりません。しかし私自身は夫のお父さんの相続人ではないので、2人が決めたことを手伝うのみです。
なお、相続税がかかる見込みでも、相続時精算課税制度はメリット・デメリットそれぞれありますので、興味がある方は検索してみていただければと思います。
贈与税をかからなくする具体的な手続き
相続時精算課税制度を使えば贈与税がかからないといっても、それには手続きが必要です。相続時精算課税制度を使う旨の書類を作り、期限内に贈与税の申告を行う必要があります。
贈与税申告のしかた
贈与税は、所得税と同じく3月15日まで(2024年分は2025年3月17日まで)が申告期限となっており、申告書作成と送信も、所得税と同様に、確定申告書作成コーナーからおこなうことができます。
今回、夫の贈与税申告で使ったもの
・パソコン(スマホよりパソコンからのほうが操作しやすい)
・夫のマイナンバーカード、暗証番号4桁と6~16桁の2つ(本人確認と申告書送信のため)
・マイナポータルアプリが入ったスマホ(マイナンバーカード認証のため)
・贈与契約書の写し(贈与日の確認のため)
・家屋の固定資産税通知書(固定資産税評価額の確認のため)
・家屋の登記簿謄本(家屋の所有権の確認のため)
・戸籍謄本(夫とお父さんの親子関係の証明のため)
このうち、戸籍謄本だけはPDFで申告書の添付書類として送信しました。
不動産取得税はかかる
家屋の所有権移転登記が済んで約3か月後、県から不動産取得税の納付書が届きました。不動産取得税は都道府県が課す税金で、国が課す贈与税とは別の税金です。税額が計算されて納付書が送られてきます。(ちなみにリフォームの不動産取得税はまだ届いていません。控除額があるそうですが、どうなることやら…)
おわりに
不動産の贈与は、イメージ以上の税金がかかることが多いです。生前贈与や相続時精算課税制度の利用を考えている人にとって、ケース例として参考になれば幸いです!