• 投稿日:2025/06/07
  • 更新日:2025/10/01
ローレンス・レッシグ著「CODE インターネットの合法・違法・プライバシー」自由を守るための「規制」

ローレンス・レッシグ著「CODE インターネットの合法・違法・プライバシー」自由を守るための「規制」

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シロマサル@本の要約:ほぼ土曜日週1投稿

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要約
私たちが信じていた「自由なインターネット」は、実は見えない構造に縛られている。サイバー法の第一人者レッシグが提言する「自由のための規制」とは何か。ネット社会をより良く生きるヒントを紹介。

初めまして!シロマサルです。

知ることで、人生はもっと楽しくなる!

今回はローレンス・レッシグ著「CODE インターネットの合法・違法・プライバシー」2001年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。


著者:ローレンス・レッシグ

Lawrence_Lessig,_February_2008.jpg出典:Wikipedia

イェール大学のロースクール卒業。最高裁判所の裁判官の書記を務めた後、シカゴ大学、ハーバード大学を経て、現在、スタンフォード大学にて憲法、契約、サイバースペースの法律の教鞭をとる。Microsoft社の独占禁止法裁判において連邦裁判所に“スペシャルマスター”に任命されたサイバー法の第一人者として注目される。


00000.png✅ インターネットの自由は自然に守られない
✅ 自由のためには、意識的な規制が必要
✅ 最重要キーワードは「アーキテクチャー」


00.pngアーキテクチャー(architecture)は、英語で「建築術」「建築学」「構造」「構成」などを意味する言葉。

建築業界やIT分野、自動車業界など幅広い分野で用いられている。

本書では、「システムの基本的な設計」の意味合いが強い。


実は著者であるローレンス・レッシグは2015年。

民主党からアメリカ大統領選挙に立候補することを表明していたが、次の年には撤退した。

このときの大統領選で、トランプではなく、レッシグが選ばれていたら、アメリカの歴史も大きく変わっていたかもしれない。


われわれはいま、規制構造をあれこれいじくる力がかつてないほど高まった時代に突入しようとしている。

ローレンス・レッシグ著「CODE インターネットの合法・違法・プライバシー」

もはや、インターネットはインフラである。


誹謗中傷やフェイクニュース、作為的な切り抜きによる偏向報道。

闇バイト、不適切な広告や過激な表現。

我々は簡単に家にいても触れられるようになった。

個人のインターネットリテラシー(活用する力)の重要性はより高まっている。

今こそ、あらためて読み直したい一冊である。


CODE インターネットの合法・違法・プライバシー

61349b32-bcfb-4e4d-92e4-9af79efefc7b.pngインターネットに自由は残るのか?

特に、インターネットが民衆に開かれたばかりの時期は匿名性ゆえに無法地帯にもなりうるが、自由な活動も保障する空間だと考えられていた。

サイバー空間がたどりつつある道をながめるとサイバー空間の創設時に存在していた「自由」のほとんどが、将来は消え失せるということがわかる。

ローレンス・レッシグ著「CODE インターネットの合法・違法・プライバシー」

レッシグによると、「サイバー空間に存在していた『自由』のほとんどは、将来は取り除かれることがわかる」という。


0.png⇒ 放置すれば、自由は奪われる。

当初「自由な空間」とされたインターネットも、国家による制御が進んでいる。

参考外部サイト総務省 政府によるルール整備等の動き

各国の事例

・EU:共同規制(コ・レギュレーション)の推進
2016年、欧州委員会が大手プラットフォーマー4社と「行動規範」に合意し、自主的取り組みを促進。
民間の自主規制と政府の枠組みを組み合わせた共同規制が導入されている。

・日本:自主的取り組み重視の方向性
利用者認証・リモート署名による人の正当性確認組織やウェブサイト認証による組織の正当性確認IoT機器等のモノの正当性確認タイムスタンプによるデータの非改ざん保証eデリバリーによるデータ送達の保証

総務省 政府によるルール整備等の動き


「ネット上の自由を守るための規制」をレッシグは既に1999年には予測していたのだ。

(邦題の基になった『CODE(コード)』は1999年発行)


自由 VS 規制という思考の限界

言論の自由の権利は、コストなしで話す権利じゃない。

ローレンス・レッシグ著「CODE インターネットの合法・違法・プライバシー」

⇒ 両立は可能。レッシグはその方法を提示。


「規制=悪」「自由=善」という単純な構図はもう古い。

自由を守るためにこそ、戦略的な規制が必要だと説く。

レッシグは「規制」のあり方を考え直した結果。

人間の行動を規制するには、4つの方法があると語る。


行動を縛る4つの力とは

0.png心の病と脳の理解 - visual selection (17).png⇒ 法律・社会的規範・市場・アーキテクチャーの4つ。


人間の行動はこの4つで制限されている。

中でもアーキテクチャーは、デジタル世界における最も見えにくく強力な力である。

アーキテクチャー(architecture)は簡単に言えば、「システムの基本的な設計」

例えば、自分の家に入る時は鍵をつかう。
カードや指紋認証もアーキテクチャーによる規制である。

最近の2段階認証、デバイス認証はまさにこれである。

勝手に証券口座から知らない中国株を大量注文されてしまう不正アクセスは人々の自由を脅かしている。

資産を安心して預けられるからこそ自由な活動(投資)が行えるのだ。


アーキテクチャーがすべてを決める

サイバー空間のアーキテクチャは、1つだけではない。

ローレンス・レッシグ著「CODE インターネットの合法・違法・プライバシー」

⇒ 設計次第で、自由も不自由も生まれる。


ログイン制限や閲覧フィルターのように、ネット空間の「設計」が我々の行動をあらかじめ決めている。

彼は、「自由を守るために規制する」ことを主張した。

何も規制せず、自由に任せていれば、権力をもった企業や組織によって規制が行われ、人々の自由は縮小されていくと予想していた。

ChatGPTといった現在のインターネットサービスはGoogleのアカウント連携が簡単にできる。

仮にGoogleが現在のサービスを改悪することもあり得ない話ではない。

そうなれば、多くの企業や個人を簡単に制限することができるだろう。

いまは現実逃避の時代だ。われわれは分からないものに興奮させられている。
見えざる手に物事をまかせて堂々としている。
その手が「見えざる」のは、単にわれわれが別の方を向いているからだ。

ローレンス・レッシグ著「CODE インターネットの合法・違法・プライバシー」


0000000.png321.pngカイフー・リー/チェン・チウファン著『AI 2041』

✅ AIはもはや「魔法」ではなく「現実」である。
✅ 便利と危険は、紙一重で進行する。
✅ 未来は、人間の選択にかかっている。

AIは多くの業界で主役を張る準備を終え、社会インフラへと溶け込んでいる。

AIの制限も法律・社会的規範・市場・アーキテクチャーの4つである。

AI自身が不適切な表現や出力を制限することもアーキテクチャーである。


まとめ

322.png✅ インターネットの自由は自然に守られない
✅ 自由のためには、意識的な規制が必要
✅ 最重要キーワードは「アーキテクチャー」


⇒ 「自由を守るには、自由を設計せよ」


知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。

是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!

見ていただきありがとうございました!😆_.png

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