- 投稿日:2025/05/16
- 更新日:2025/11/09
ご相談がありました👩
リベシティの方(40代女性)から、このようなご相談がありました。
👩「20代で会社員をしている息子の借金について相談させてください。
(以下、息子=「本人」とします)
・以前、消費者金融から督促のハガキが届き、本人を問い詰めたところ、約200万の借金があることを打ち明けられました。
・そこで、私はそれを立て替えて、本人が私に少しずつ返済するという約束をしました。
・しかし、数ヶ月後、別の銀行からも督促のお知らせが届きました。
・私は、借金が一体いくらあるのか不安で、本人にJICCの開示請求(※)をするように言っていますが、本人は言い訳ばかりで先延ばしにされてしまいます。
(※:借入や返済などの信用情報を取り寄せること)
・若いとはいえ、成人している本人に真っ当な道を歩んでもらいたいのに、どうしたら良いのか悩んでいます。」
自己紹介🙋♂️
はじめまして。えんどりゅーと申します。
私は、某自治体にて多重債務の相談窓口の相談員をしております。年間約300件のご相談の中には、ご家族の借金についてのご相談も多くございます。
今回、個別チャットで上記のご相談に回答していたところですが、相談者様にもご了解いただき、回答内容を記事化することにいたしました。
本記事が、似たようなお悩みを持つ方の助けになれば幸いです。
回答の前提👀
まずは、本人の借金の状況が見えない中で、家族・親としての不安や心配なお気持ちがあることと思います。
私から「これをやれば大丈夫!」とシンプルにお伝えできるものがあれば良いのですが、
本人の価値観、家族の関係性も様々であることから、何が効果的な対処となるかはケースバイケースであり、試行錯誤しながら解決を目指していくものになります。
その前提の上で、これまで同様のご相談を受けた中での経験から、参考になりうる話をいくつかお伝えいたします。
1−1 借金の話をごまかされるのはなぜ?㊙️
家族としては、本人の借金の現状をきちんと確認したいというお気持ちになるのは自然のことと思います。
しかし、以下の理由から、本人は借金について言い訳をしたり隠したりしてしまい、家族に相談することには大きなハードルがあります。
🌀 借金をするとIQが下がる(学長がよく仰っている話ですね)
🌀 そもそも借金があるということ自体、他人に知られたくない話である
🌀 家族(特に親)に対して、「伝えると説教されそう」、「余計な心配を掛けたくない」などの気持ちがある
🌀 家族が本人の借金を立て替えていた場合、本人から見て、家族は「お金を借りている債権者」でもあり、余計に非難されると感じてしまう
🌀 借金を負ってしまった事情を伏せたいと思っている(浪費、ギャンブル、情報商材、詐欺被害など)
1−2 「危機感」を感じないと始まらない🚨
では、本人が解決に動いてくれるのかというと、それも簡単な話ではありません。
借金に限らない話ですが、本人が「このままじゃダメだ」「何とかしないと」と真に思えないうちは、問題解決の優先順位は上がらず、ずるずると引き延ばすことになります。
どの段階で危機感を感じるかは様々で、
⚠️ 滞納した時点で感じる人もいれば、
💣 裁判を起こされた時点で感じる人もいますし、
🌀 逆に滞納のままで何年でも放置できてしまう人もいます。
危機感を感じるきっかけも、
💸 収入が減少して返せなくなる
💔 家族や交際相手にばれる
📞 職場に督促の電話がかかる
🆘 借金が膨らみ到底返せない金額になる
など様々あります。
1−3 援助が逆効果になることも💦
そして、本人が危機感を感じていないうちは、家族が援助しても、結果的に問題の先送りとなってしまうことが多いです。
例えば、以下のような状況が起こり得ます。
🌀 家族があれこれと助言したが、本人は説教のように捉えてしまい、解決に取り組むことをますます嫌がってしまう(北風と太陽のようなイメージ)
🌀 金利負担がなくなるように、本人の借金を家族が肩代わりした結果、本人の危機感が和らいでしまい、再び借金を重ねてしまう
🌀 本人が生活苦にならないように、金銭的な援助を長く続けた結果、本人にとって家族から金銭的援助を受けるのが「当たり前」と思ってしまう
2−1 問題にきちんと向き合えるように🌱
ここまでの話を踏まえ、家族が最初に取り組むべきことは、
本人が問題にきちんと向き合えるよう、日々関わり方を試行錯誤していくことだと思います。
例えば、以下のような実践をされた方がいらっしゃいました。
🌱 本人の望むライフスタイルや働き方、交際相手との今後(結婚や子どもを持ちたいかなど)など、未来志向の話題を増やすことで、将来のことを少しずつ考えられるようにする
🌱 あえて借金の話題でなく、本人の趣味や関心事、最近の悩みなどを積極的に聴くようにすることで、本人が安心して話せる関係性を築いていき、借金の問題についても自ら相談できるようにする
🌱 「これ以上金銭的な援助はしない」とハッキリと伝えた上で、相談先があることを伝える(以下3ー1を参照)
2−2 見守りつつ、致命傷を避ける🙅♂️
関わり方を工夫するとしても、問題が悪化していくのをただ見守るだけ…というのは、不安でもどかしく感じるものだと思います。
それでも、本人が危機感を感じて自ら動き出すことが大切ですので、多少時間が掛かっても本人を信じて待ちましょう。
一方で、以下のような「致命傷」を負ってしまうと、解決が非常に難しくなってしまいます。
🆘 うつ病や依存症などの精神疾患を発症する→長期間にわたって稼ぐ力、貯める力を大きく損なってしまいます。
🆘 闇バイトなど犯罪に手を出してしまう→大きな罪を背負ってしまうとともに、自己破産での立て直しも難航します。
🆘 ヤミ金に手を出してしまう→法律を無視した督促により、予測不能な悪影響が生じてしまいます。
これらの致命傷を避けるため、本人の性格を踏まえつつ、最低限必要なサポート、情報提供は必要です。
2−3 立て直すための具体的な行動を助ける👍
本人が借金の問題に向き合い始め、生活を立て直すための具体的な行動を起こす段階になれば、家族の援助も効果的なものになります。
例えば、以下のようなサポートにより、本人の行動がより促され、解決に近づけると思います。
・債務整理をするための弁護士費用(法テラスが使えない場合)や裁判所への予納金を援助する
・リベシティの宿題リストを進められるようにPCを援助する
・家賃負担を減らすために実家暮らしを認める
3−1 一人で抱え込まず、専門家への相談を🦁
「専門家に相談しないことが、借金の問題を大きくしてしまう」と学長は仰っていました。
*借金が返せなくなったら?債務整理のキホン@学長マガジン
https://libecity.com/room_list?room_id=President-Tweet&comment_id=KPc6nG2fspL52aNToB7p
弁護士、司法書士、行政の専門窓口など、相談する先が多くありますので、困ったときは以下の機関に相談するよう、本人に伝えておくことが有効です。
*JCCO 公益財団法人日本クレジットカウンセリング協会
⇒電話相談から可能、任意整理を無料で依頼できます。
*法テラス・弁護士会・司法書士会
⇒弁護士、司法書士への相談からスタートできるため、既に何らかの法的トラブルに発展している場合は有効です。
*全国自治体の多重債務相談窓口@金融庁
⇒行政の窓口であるため、税金滞納もある場合や、医療福祉サービスの対象となる方はスムーズに連携してもらえます。
https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/index.html#madoguchi
*全国自治体の自立相談支援機関@厚生労働省
⇒行政の窓口であり、家計改善支援や就労支援も並行して受けやすいです。
https://minna-tunagaru.jp/ichiran/
3−2 SNSや広告で見かける借金相談はやめておいた方が良い☠️
最近はSNS、ラジオ、電車のつり革など至る所で「借金が減額できます」「借金減額診断」などの広告を見かけるようになりました。
実在する弁護士法人、司法書士法人が運営していることもあり、一見、信頼できるようにも思われますが、私の経験則から言えば、これらは立派な「毒キノコ」です。
(中にはしっかりとされている方もいらっしゃるとは思いますが、被害例があまりにも多いのが実情です)
その理由は様々ありますが、私が相談を受けた中には、以下のような方がいらっしゃいました。
⚠️ 任意整理の相場を知らなかったため、相場の5倍〜10倍ほどの手数料を支払ってしまった(そもそも手数料について十分な説明がなかった)
⚠️ 借金に至った背景や事情を踏まえた解決策を考えてもらえず、計画に無理のある任意整理を勧められてしまい、その後結局返済できなくなった
⚠️ 弁護士や司法書士とはオンラインで顔合わせ程度しかしておらず、ほぼ事務員が対応するだけで済まされてしまった
20〜30代を中心に、この毒キノコを食べてしまうことで問題を悪化させてしまう方が多くいらっしゃいますので、上記3−1のような公的な相談窓口につながることを強くお勧めします。
Q.専門家への相談は本人のみのほうがいいのでしょうか。家族が同席した方が良いのでしょうか。
本人が主体となって解決に取り組む方が効果的ですので、
①本人のみ>②家族同席(本人の希望で)>③家族同席(本人希望なし)>④家族のみ
の順番で、①に近づく方が理想的ですが、本人の動機づけや能力を踏まえ、可能な段階で相談されると良いと思います。
また、④家族のみで相談した場合、借金の全容や原因がつかみきれていない間は、相談員も具体的な対処策を示しにくく、債務整理の一般的な説明、本人の動機づけの話などが主になるとは思います。
しかし、第三者に相談することで、状況が整理でき、本人への関わり方を考えることができるため、家族のみでの相談でも十分意味はあると思います。家族のみの相談であれば、前述の「多重債務相談窓口」か「自立相談支援機関」が良いと思われます。
スキルマーケットにて個別相談もできます💡
上記のような相談窓口はあるものの、
*リベシティの人に気軽に相談したい
*公的な窓口では〜〜と言われたんだけど、別の方の意見も聞きたい
*本人にどう関われば良いかを相談したい
というお声もいただくため、スキルマーケットの個別相談もできます。
ぜひ、お気軽にお問い合わせください^^
【身近な人に借金が…!?】借金のお悩み総合相談
https://skill.libecity.com/services/28444
おわりに
長々と書いてしまいましたが、この記事がご参考になれば幸いです。
借金の問題は大きな心労を伴います。ご家族にとっても、本人にとっても、心穏やかに生活できる日々を迎えられることを願っております。