• 投稿日:2026/01/09
  • 更新日:2026/01/09
現役地域包括支援センター職員が解説| 介護保険の話で“家族と本人がすれ違う本当の理由”

現役地域包括支援センター職員が解説| 介護保険の話で“家族と本人がすれ違う本当の理由”

ナルホド@福祉相談員→HP制作者目指す!

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要約
介護保険の話で家族と本人が揉めてしまうのは、性格や関係性の問題ではありません。 家族と本人では、不安の向きや見ている未来が違うから。 現役の地域包括支援センターが、現場で見えている本当の理由をお伝えします。

はじめに|地域包括支援センターで一番多い相談

3枚目.png地域包括支援センターで受ける相談の中で、最も多いのが「介護保険制度について」の相談です。

・介護保険を使ったほうがいいのか分からない

・家族と本人で意見が合わない

・話を切り出したものの、うまく進まなくなった

こうした相談は、決して特別なケースではありません。
私たちが日々の相談対応の中で、何度も、何度も耳にしている内容です。

介護保険の相談では、家族と本人の意見が食い違い、話が思うように進まなくなる場面を多く見かけます。

私たち地域包括支援センターの職員は、そうした場面に立ち会うたびに、**「どちらかが間違っているわけではない」**と感じています。

というのも、その背景にあるのは、性格や関係性の問題ではなく、置かれている立場や、見えている不安の違いであることがほとんどだからです。

多くの場合、同じ状況を前にしていても、家族と本人では、気になっている点や不安の向きが異なっています。

① 家族が抱えている思い

AIDrawing_260109_f23feb0c-3781-46bc-b545-e1d2f7eecbf7_0_MiriCanvas 1.png家族からの相談では、「このままで本当に大丈夫なのか」という不安の声を多く耳にします。

・転倒や体調悪化が心配

・一人での生活を続けられるのか不安

・家族だけで支えきれるのか分からない

・家族だけの力では限界を感じている

家族にとって介護保険は、「できるだけ安全に生活してほしい」という思いから出てくる、備えの一つです。

そのため、「早めに利用を考えたほうがいいのでは」という言葉になりやすくなります。

① 本人が感じていること

一方で、ご本人からは、こんな気持ちを伺うことがあります。

・今のところ困ってはいない

・まだ自分でできていることが多い

・周囲に迷惑をかけたくない

さらにお話を伺っていくと、介護保険や支援の利用そのものに、強い抵抗感を抱いている方も少なくありません。

介護保険を利用することを、「自分はもう社会の役に立たない存在になったのではないか」と受け止めてしまう方もいます。

また、支援を受けることが、「周囲に迷惑をかけてしまうのではないか」「家族の負担を増やしてしまうのではないか」という思いにつながることもあります。

これまで自分のことは自分でやってきた方ほど、支援を受けることを
プライドを傷つけることのように感じてしまう場合もあります。

そのため、「まだ大丈夫」「できるところまでは自分でやりたい」という言葉が、自然と出てくるのです。

なぜ家族と本人は“ズレ”を感じるのか?

こうした家族と本人の思いを並べてみると、どちらかが間違っているわけではないことが分かります。ただ、同じ出来事を、違う立場から見ているそのことが、すれ違いを生みやすくしています。

家族は、「もし転んだら」「もし体調を崩したら」と、少し先のリスクを思い浮かべながら話をしています。

一方で本人は、「今はできている」「今日の生活をどう続けるか」という、現在の生活を基準に考えています。

どちらも自然な視点ですが、この違いに気づかないまま話を進めてしまうと、少しずつ気持ちがかみ合わなくなっていきます。

①「話し合い」がつらくなってしまうとき

介護保険の話は、気づかないうちに**「相談」ではなく「説得」**の形になってしまうことがあります。

家族は心配だからこそ、「安全のために」「念のために」と説明を重ねます。

しかし本人にとっては、それが「信用されていない」「もう任せてもらえない」と感じるきっかけになることもあります。

そうなると、本人は自分の気持ちをうまく言葉にできなくなり、話し合いそのものを避けるようになってしまうことがあります。

②地域包括支援センターが大切にしている視点

私たち地域包括支援センターでは、介護保険を使うかどうかを
すぐに決めることを目的にしていません。

まず大切にしているのは、

・家族が何を心配しているのか

・本人が何を守りたいのか

・今の生活で困っていることは何か

そうした思いを、一つずつ整理することです。

第三者が入ることで、感情のぶつかり合いではなく、選択肢として介護保険を考えることができるようになります。

まとめ|すれ違いは、誰かのせいではありません

介護保険の話で家族と本人がすれ違ってしまうのは、関係が悪いからではありません。

・家族は、守ろうとしている

・本人は、これまでの生活や誇りを大切にしている

その両方があるからこそ、話が難しくなってしまうことがあります。

もし、介護保険の話が進まず、つらさを感じているときは、家庭の中だけで抱え込まなくて大丈夫です。

地域包括支援センターは、答えを出す場所ではなく、一緒に整理するための場所でもあります。

もし、介護保険の話が家族の中だけで苦しくなってきたときは、
結論を出す前に、一度地域包括支援センターに相談してみてください。

地域包括支援センターの相談方法についても記事にしていますので、
ぜひこちらも読んでいただけると嬉しいです。

介護保険以外の相談で多い「高齢者の自動車免許返納」悩むことの多いテーマにつても紹介記事がありますのでこちらもぜひ読んできただけると嬉しいです!

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この記事のレビュー(1
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    会員ID:uVShVX6m
    2026/01/09

    グループホームに単発で勤めています。亡くなりましたが義父の介護も経験しました。今は94歳になる独居の実母の介護を考えています。 介護職をしていますので、施設に入れることに抵抗はありませんが、一般的には、悩むことが多いのも分かります。ご家族、ご本人共に納得できれば良いですが、現実はそうは行かないもの。入居となっても、施設が合うか、介護はどのようにされるのか、悩みは尽きないと思います。 各々の生活を大事にしながら、寄り添っていけると良いな、と思いつつ仕事をしています。包括センターのお仕事、身体も心も削られることがあるのでは、と思います。必要とされている方々のためのご尽力、応援させて下さい。

    ナルホド@福祉相談員→HP制作者目指す!

    投稿者

    2026/01/09

    レビューありがとうございます! 包括の仕事についてまもなく3年が経過するのですが、正直真面目&受容することに力を入れている方は身体も心も削られます😭 応援ありがとございます!

    ナルホド@福祉相談員→HP制作者目指す!

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