- 投稿日:2025/06/12
- 更新日:2025/09/30

「また見てるの!?」
「何時間見てるの!?」
こんなふうに、子どものYouTube視聴に対してついイライラしてしまうこと、ありませんか?
今や、YouTubeは子どもたちの世界で当たり前のように存在しています。 おもしろ動画を共有したり、ゲーム実況で技を学んだり、勉強にも使ったり。 私たち親世代が子どもだった頃の“テレビ感覚”とはまるで違います。
この記事では、小学校教諭歴16年、3児の父である筆者が、
「どうやってYouTubeとの付き合いを整えたのか」
「何をルールとして大切にしてきたのか」 家庭での実例を交えて紹介します。
子どもにとっても、親にとっても、ストレスの少ないYouTubeとの付き合い方のヒントになれば幸いです。
【① なぜ止まらない?YouTubeの“魔力”】
YouTubeを見始めると、いつのまにか30分、1時間、いやもっと… 「そろそろ終わりにして」と言っても、子どもは「あと1個だけ!」と続けてしまう。 なぜこんなに止まらないのでしょうか?
実は、YouTubeという仕組み自体が“無限視聴”に最適化されています。
関連動画が自動で表示される
オススメが次々と出てくる
広告が終わったらすぐ次の動画
この「次が勝手に始まる」仕組みは、意志とは無関係に視聴を継続させる強力な仕掛けです。
しかも、子どもにとっては「楽しい」「好き」「知りたい」と思うものばかりが並ぶので、 止めるのがとても難しい。
これは子どもが“だらしない”わけではなく、 「そういう構造になっているから」なのです。
だからこそ、親が感情的に「やめなさい!」と怒るのではなく、 まずは仕組みを理解したうえで「どう整えるか」を考えることが大切です。
【② まず見直すのは、“親のスタンス”】
ここで少し、親自身の視点を振り返ってみましょう。
家事や仕事で手が離せないときに、ついスマホを渡していませんか?
静かにしていてほしいからと、見せ続けていませんか?
「YouTubeで調べものしてる」と言われて、そのままにしていませんか?
私自身も、子どもが小さい頃はつい「YouTube見てていいよ」と渡してしまった経験があります。
けれど、見せっぱなし・放任は、YouTubeという強力なコンテンツを“野放し”にするのと同じ。 子どもが一人で扱うには、まだ少し“強すぎるツール”だという前提を持つ必要があります。
そこで我が家では、スマホではYouTubeを見せていません。 代わりに、リビングにあるテレビに接続してYouTubeを見るようにしています。
こうすることで、
何を見ているかが“家族に見える”
自然と「今それ見てるんだね」と会話が生まれる
テレビと同じように「時間の区切り」が意識できる
といったメリットがあります。
子どもが個室や布団にスマホを持ち込んでYouTubeを見るのとはまったく違う、 “見守れる安心感”が生まれました。
親が最初に見直すべきなのは、 「見せるか見せないか」ではなく、 「どう見せるか」「どんな状況で見るか」なのです。
【③ 整えるポイントは「3つのルール」】
YouTubeと上手に付き合うために、我が家では「3つのルール」を設けています。
1. 時間:見る時間帯を決める
「1日30分」などと時間で区切るのではなく、 「夕食前の30分」など、“時間帯”で決めるようにしています。
「何分か?」ではなく「いつか?」で決めるということです。
時間で決めてしまうと、休みの日など特にズルズルと伸びてしまいがち。しかし、時間帯で決めると、自然と次の行動に移りやすくなります。朝が来ると、ご飯食べなきゃ、歯磨きしなきゃというのと似ていますね。
これにより、子ども自身も「時間がきたら終わり」という意識がしやすく、 親子のイライラも減りました。
2. 場所:リビングで見る
前述のように、スマホでは見せず、リビングのテレビで見るスタイル。 家族が見ている場で見ることで、過激な内容や望ましくない広告を避けることができます。
要は、テレビ番組と同じですね。楽しいものは、家族で共有し、好ましくないものは、話して避けることができる。テレビで見るYouTubeが親子の団らんの時間に変えるといいですね。
3. 内容:行動にうつせるもの
「これはいいよね」と親子で話し合いながら、 ・NHK for School ・工作チャンネル ・バスケットボールの技解説 などを“視聴OKリスト”にしています。
我が家では、「折り紙」「バスケット」「作図」など、視聴して実際に動く系の動画を意識的に取り入れています。
動画で見たあとに、 「やってみようか!」「一緒に折ってみる?」と、 YouTubeが“アクションの起点”になるように関わっています。
「見るだけで終わらせない」この関わり方が、 YouTubeとの関係を“受け身”から“主体的”へと変えてくれます。
【④ 見すぎた日こそ、見直すチャンス!】
とはいえ、どんなにルールを決めても、 「つい長く見てしまった…」という日はあります。
そんな時に大切なのが、「怒らない」こと。
「また見すぎたの!?約束でしょ!」と叱ってしまうと、 子どもは「バレないように見よう」と隠すようになってしまいます。
大切なのは、 「どうして長く見ちゃったのかな?」 「今日は何の動画が面白かった?」 「次はどうしようか?」 といった“問いかけ”です。
このように、見すぎた日=チャンスと捉えることで、 「自分で整える力」を育てることができるのです。
「親が決めるルール」ではなく、 「一緒に作っていくルール」が、子どもを主体に育てます。
【⑤ まとめとメッセージ】
YouTubeとの付き合い方で大切なのは、
禁止ではなく整える
命令ではなく合意
不安ではなく信頼
「見るな」ではなく「どう見ようか」 「やめなさい」ではなく「どうしたらやめやすいか」
この視点に変えるだけで、親子関係も、YouTubeとの関係も、ぐっとラクになります。
そしてもうひとつ忘れてはいけないのが、 YouTubeは親子の“共通の話題”になりうるということ。
どんな動画が好きなのか。 誰の解説が面白かったのか。 それを一緒に観て、一緒にやってみることが、子どもにとって何より嬉しいのです。
YouTubeは、“敵”ではありません。 「どう使うか」を一緒に考える“味方”にすることができるのです。
今日からぜひ、子どもにこんなふうに聞いてみてください。
「それ、面白かった?」 「ちょっと一緒に見せてよ」
YouTubeの時間が、“親子の時間”に変わる第一歩になるはずです。