- 投稿日:2025/06/16
- 更新日:2025/09/29

1.はじめに
この記事は、タイで個人所得税の確定申告をする方を主な対象としています。
具体的には、
・タイで労働許可を得て就労している人
・タイで仕事はしていないが、長期滞在(年間累計180日以上)している人
が想定されます。
タイで働いている方は、おそらく勤務先の経理の人が所得税を計算して、代わりに確定申告してくれているケースが多いのではないでしょうか。私も以前はそうでした。
ですが、所得税がどのように計算されるのかを自分で調べていくと、様々な控除があって、節税の可能性があることに気づきました。
そして、所得税の計算ができるアプリがないか探してみて、このアプリに出会いました。使ってみると、実に簡単に所得税額がわかりました。
この記事では、タイの個人所得税を計算できるアプリiTAXを紹介したいと思います。
*今回の操作画面は、2024年所得税を計算する画面をデモとして使っています。
2.iTAXのメリット・デメリット
●メリット
・所得税を簡単に計算できて、結果として追納額または還付額が分かります。
・控除枠を何%まで使ったのか分かります。
・収入が複数ある場合、それを計算に含めるかどうかシミュレーションができます。
・基本的な機能は無料で使えます。
●デメリット
・アプリはタイ語表記のみです。ですが、翻訳アプリを使えば、ある程度対応可能です。
・配偶者がいる場合の納税方法のすべてのケースには対応していません。夫婦が完全に別々で計算する場合と無収入の配偶者がいる場合にのみ計算できます。
・控除枠を増やすことができる商品(保険、寄付など)への案内リンクがありますが、節税だけを目的に不要な契約をしないよう注意が必要です。
3.iTAXの使い方(データ入力編)
●ダウンロード
iTAXの公式ウェブサイト(https://www.itax.in.th)のトップページから、アプリをダウンロードできます。AndroidでもiPhoneでも使えます。
ダウンロードが終わって、アプリを開くと、ユーザー登録の画面になるので、メールアドレスとパスワードを入力します。
登録が終わると、このような画面になります。STARTをタップします。
●収入と源泉徴収額を入れる
一か月の収入が5万バーツ、所得税の源泉額が10,000バーツ、社会保険料の源泉額が750バーツの場合をモデルケースとして、入力してみます。
「給与とボーナス」をタップして、60万を入力します。
Nextをタップすると、源泉徴収税の額を入れる画面になるので、徴収された額12,000を入力します。
給与以外の収入(預金の利息や投資収益など)がある場合は、対応する項目に入力していきます。詳細はこの記事では割愛します。
●控除額を入れる
ここまで入力すると画面は、こうなります。
現時点では、収入額がそのまま課税所得になっている状態です。課税所得が60万バーツだと所得税が27,500バーツになります。12,000バーツ源泉徴収されているので、差額の15,500バーツを追加で納めることになると表示されます。
それでは、控除額を入力していきます。
最初に、本人控除(一律6万バーツ)を入力するために、上画面の「権利を受ける」ボタンをタップします。
納税者本人の情報を入力します。氏名の入力は任意となっています。
婚姻状況のところで「既婚」を選んだら、入籍した年を入力します。そして、「死別」を選んだら、死別したのがその年なのかどうかを選びます。
なお、このアプリでは、配偶者に収入がある場合の計算には対応していません。そのため、既婚は配偶者に収入がないケースを指します。
次に、残りの控除額を入力していきます。
ここでは、社会保険料を入力してみます。社会保険料は、一か月750バーツとします。したがって、年間では9,000バーツとなるため、これを入力します。
4.iTAXの使い方(結果確認編)
一か月の収入が5万バーツ、所得税の源泉額が1,000バーツ、社会保険料の源泉額が750バーツ(つまり、一か月の手取り額は48,250バーツ)で、独身の場合、最終結果は下のように表示されます。
源泉徴収された12,000バーツでは不足していて、さらに8,600バーツ納めなければならないことがわかります。
次に、「結果」をタップすると、結果の詳細が見られます。
経費は収入の50%計上できますが、上限は10万バーツとなっています(アプリが自動で計算してくれます)。そして、控除枠の内訳は、本人控除の6万バーツと社会保険料の9千バーツ、合計69,000バーツです。年収から経費と控除額を差し引いた431,000バーツが課税所得として算出されて、税率に従って所得税が計算されました。
ちなみに、上のスクショ画面中の「税金の計画」をタップすると、控除枠を増やす方法をアドバイスしてくれます。とても有益な機能ですが、節税だけを目的に不要な契約をしないよう注意が必要です。
5.おわりに
この記事ではiTAXというタイの個人所得税を計算できるアプリの使い方を紹介しました。
説明の際、収入は給与のみで、独身の方をモデルケースとしてデータを入力しました。ですが、実際には収入源や控除枠が複数あって、データの入力はもう少し複雑になります。今回は大まかな流れをご紹介するにとどめたいと思います。
リベシティの会員の大多数の方には、全く刺さらない記事だとは思いますが、数名の方には役に立つのではないかと思い、書いてみました。
海外在住の会員におかれましては、ご自身の滞在国にこのようなアプリがあるかもしれないので、一度調べてみるといいのではないでしょうか。