- 投稿日:2025/06/14
- 更新日:2025/11/17
3年ほど前に、核(性)白内障の手術をした体験談です。
近視の方へ、眼鏡の度数検査だけではなく、ときどきは眼科で検診を受けましょう。
特に40歳以降で、近視が進んでいる(ような気がする)方、つまり眼鏡やコンタクトの度数が合わなくなって、調整が必要なのに眼鏡屋さんの度数チェックだけで済ませている方。
大人になってからも近視が進む場合は、強度近視である可能性があります。強度近視だと、眼球が前後に伸びていて、そのために緑内障や網膜剥離や裂孔などのリスクが高いので、
ずっと眼科には行ってないなぁという場合は、一度眼科の検診を受けましょう。
その後の定期検診ペースはお医者さまと相談ですね。
白内障について、一般的なイメージは…
白内障は水晶体のたんぱく質が変質する病気です。水晶体が変質して濁ってしまうので、物が見えにくくなったり、光が乱反射して眩しさを感じたりします。
自分がそうなる以前、個人的なイメージは、水晶体全体が、年齢によってゆっくりと変質していく…。病気…というより老化現象かなと思っていました。
核(性)白内障になった
私が左目に核(性)白内障の症状を感じはじめたのは52.3歳でした。
白内障は病気といういより、老化現象だと思っていた私はそんなことは疑いもしませんでした。
強度近視と言われていたため、緑内障は疑いましたが、それも違うようだし…、左目の近視がさらに急に進んだのだと思ったのです。
眼科検診のとき、自覚症状をちゃんと伝えられなかった
症状を感じていたのに眼科で伝えたのは、
「左目の度が急に進んだみたいで、見えにくくて困ります」でした。
特にPCで文字を打つ際、今、入力している文字や、今読んでいるその文字が見えにくいのが煩わしい…くらいは言えたかもしれません。
その際、医師から「白内障が少し始まっています、大したことはないですが」と言われた記憶はありますが、
本人が、それとこれとは別の話だと思っていたので、聞き流してしまい、詳しい検査に進まず、眼鏡の度数を調整して様子を見ることになりました。
その後、コロナ罹患とか退職とか転職とかの後、次に眼科に行ったのは1年後の検診。
この1年でどんな風に見えないのか、どんな風に不快なのかようやく言語化しました。
左目の症状は
●片目だけが急に見えにくくなった。
●見たい場所の中心、本を読んでいればまさにその文字とか、PCで入力中ならまさに反転している今の文字が見にくい。
●中心近くで物が二重に見えるところがある。
●髪の毛が常に視界にかかっているようで煩わしい。
以上です。
様子見の眼鏡は、度数の左右差が大きすぎて不快感が強く(酔う感じ)、使えず、度の弱い古い眼鏡を使用していました。
そして1年後の検診では、あっさり白内障と診断されたのです。
核(性)白内障とは
診断名は核(性)白内障…
その核(性)白内障とは、水晶体の核(中心)が極端に変質する白内障です。
水晶体のイメージ図
左から健康な水晶体。一般白内障のイメージ。核性白内障。
左のクリアな水晶体と、白内障の従来イメージ(全体に濁っていくのだと思っていた)と、一番右の核性白内障。
右端のように中心が変質し、変色や濁りが強いので、視界の中心(一番見たいところ)が特に見えにくい。
変質した部分は硬くなるため、水晶体レンズが歪み部分的に2重に見えることもある。
白内障の手術を執刀医さんに、上記のような症状を伝えたら、ひとつひとつ「そうだろうねぇ」「これは不自由だよねぇ」と頷いてくれて、その理由も説明してくれて…。
自覚症状のすべてが腑に落ちたわたしは、心の底からホッとしました。
白内障手術について
視力矯正のICL手術と比較して説明します。
ICL手術では、水晶体の前に人工のレンズを挿入します。
もともとのピント調節機能を担う水晶体が残っています。
白内障手術では、変質してしまった水晶体を取り除いたところに人工のレンズを挿入します。
水晶体がないので、人工レンズの焦点距離以外にはピントが合いません。
単焦点レンズの場合、レンズの焦点と距離が違う場所を見るためには眼鏡などが必要となります。
白内障手術当日(少し怖いかもしれません、見たくない人はここは飛ばしてください)
指定された時間に眼科に到着、
★5分おきに10回の点眼。
(瞳孔をひらく薬、感染をふせぐ抗菌薬、炎症を抑える薬)
★手術直前に、麻酔の為の点眼。
★歯医者さんみたいな椅子で、さらに頭がすっぽりと固定されます。
★この日、何度目かの名前の確認後、片目だけが空いた布をかぶせられます。
・腕に血圧計が巻かれ、指先を脈拍計で挟まれます。
・目に消毒薬がかかります。
わたしはこのあと、ひたすら指示どおりに、ライトを見つめ続けました。
(音は聞こえます。最初はクリアだった視界が、眼に圧を感じるとぼやけた光だけとなり…、私はまあまあ…いやけっこう痛かった。定期的に腕の血圧計が作動してました。目印のライトがにゅるんと動くので一生懸命追いかけてました)
・ぼやけた光の世界にふわっと輪郭が出現し、「はい、お疲れさまでした」と医師の声。
★30分ほどです。
長かったような、過ぎてしまえば短かったような…。
★控室に戻ると、すでにびっくりするほど見えるんですけど…でした。
★保護メガネをかけて帰宅。
●手術後は数週間、2種類の目薬を使用します。最初は特に多く、起床時、朝、昼、夕食後、就寝前の5回くらい。
●手術後検診は、数日後、1か月後、3か月後、その半年後も検診は継続してます。
お金の事、
白内障手術は、視力矯正手術とは違って保険適用となります。
基本的には保険適用ですが、使用する眼内レンズの種類によって自費の部分も生じます。
1,全額保険適用となる場合と、
2,レンズ代と追加費用だけが自費となる選定療養や
3,全額自己負担となるケースもあります。
単焦点レンズは全額保険適用です
全額保険適用の単焦点レンズの場合、片目で5万円弱です。
(わたしはこれで、結果的に両眼手術したので10万弱かかりました)
単焦点レンズと多焦点レンズ
あらためて、
単焦点レンズは全額保険適用となり、価格は片目の場合で5万円弱。
多焦点レンズは、ほとんどは選定療法となり保険適用となる部分と、レンズ代などの自費部分を組み合わせた支払いとなります。
価格は単焦点レンズよりも、片目で追加分が、15万円くらいから高額なものだと60万円ほどになることもあるようです。
★高額療養費制度については保険適用と同様です。
・単焦点レンズは全額対象。
・多焦点レンズは選定療養の場合も含めて、自費部分は対象外。
★確定申告する所得の医療費控除は、自費分も対象になります。
単焦点レンズと多焦点レンズ、お金以外で
★単焦点レンズは、焦点距離が一つだけのレンズです。
レンズの焦点距離は選べます。
例えば●読書用の40cmくらいに合わせたいとか、●遠くを見るために3m以上先をクリアに見たいなど、です。
運転することが多いかたは、遠くの焦点を進められるようです。→手元を見るときに眼鏡が必要です。
わたしは手元約40cmを選択したので、→遠くを見る場合は眼鏡が必要です。
単焦点レンズのメリット
・見え方がクリアで、暗い場所でも安定して見える。
・長年使われてきた実績があり、安全性が高い。
デメリット
・単焦点のため、手術後も眼鏡は必要。
★多焦点レンズは、文字通り、焦点位置がひとつ(単)ではなく、複数あります。
3焦点レンズ、5焦点レンズなどがあります。
3焦点レンズの場合の例:
焦点は、目からの距離35cm 70cm、3m以上先。
多焦点レンズのメリット
ピントが合いやすいので、裸眼での生活がしやすい。
(=眼鏡不要となりやすい)
多焦点レンズのデメリット
・レンズの構造上、光が分散するので、単焦点レンズに比較するとシャープさに劣る。
・夜間の照明がぎらついたり、光の輪が見えたりすることがある(グレアやハロー)
強度近視だと、結局、両眼手術の可能性が高いので、最初からそのつもりでスケジューリングすべし、です。
もう一方の眼の白内障が軽度でも、左右のバランスをとるために手術が必要だと医師が判断すれば保険適用になる。
これは事前に聞いていたのですが、手術後のアンバランスを実感するまで、本人、意味が分かっていなかったんです。
だから、症状がひどい左目だけの手術で済まそうと思っていました。
でも無理でした。
片目手術後、左右アンバランスとは具体的に
★視力が違いすぎる!
・手術後の左目の視力は、手元40cmあたりは眼鏡なしでクリア。くっきりはっきり見えるのはこの距離だけですが、家のなかなら文字を読む以外では困らないレベル。
・手術していない右目の視力は0.1以下。
裸眼で本やスマホを見るには20cmまで近づける必要あり。
(手術後の左目は40cmなので、左右どちらか一方でしか焦点が合わない。かなり煩わしいです)
★色も違う。
濁りのなくなった左目の世界は明るい昼光色で、
未手術の右目は暗めの電球色…。
ということで、左目の手術後、不自由を実感してから右目の手術を決断したため、月をまたいでしまったのです。
こ、高額…高額療養費の制度を使うには同月内に!
最初からきちんと両眼の手術予定を同月内におさめておけばかなりリッチな食事ができたのになぁと思ったのでした。
おまけ、その後
手術後、数か月で後発白内障を発症しました。
後発白内障とは、取り除ききれずに残ってしまった水晶体の細胞が増殖して濁り、視界が白っぽくかすんだり、まぶしかったりするものです。
これはレーザーで治療しました。
それからは何事もなく、3年以上経過しています。
定期検診には通っており、今のところ白内障の手術痕は問題なし、リスク高めの緑内障や網膜裂孔などもなく、快適です。
とはいえ、
実はPC画面までの距離を見誤り、40cmでは焦点が合わないので作業中は眼鏡を使用しています。(自宅環境はモニターまでの眼から距離は約60cm。外出時のノートpcも約50cmで微妙…)
その他、生活面では、知らない場所に行くとき(駅の案内板を遠くから見る必要がある場所など)は、遠くを見るための眼鏡も使用しています。
え、どっちにしても眼鏡を使っているの?
と思われるかもしれませんが、遠くの案内板を確認するために眼鏡が必要なのと、
温泉で足元が見えずに命の危険を感じるから眼鏡を手放せないのとは意味が違います。
眼鏡がなくても生活できるんです。いつものスーパーへの買い物も裸眼なんですよぉ♪
終わりに
眼が見えるってすばらしい!
白内障手術のお陰で眼鏡がなくても生活できるようになりました。
それでうっかり、強度近視による緑内障や網膜裂孔などのリスクが高いことを忘れそうになります、が、
強度近視のリスクは、眼球の変形による物理的なストレスが原因なので、見え方がよくなってもリスクは残っているんですよ。
だから、面倒でも眼科検診には行きます。
何か気になることがあれば、手術前も、手術後も、しっかりお医者様に相談していきましょうね。
おかげさまで、今は問題なくやっております。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。