- 投稿日:2025/06/16
- 更新日:2025/10/08

はじめに
ユーザーは“自分で選んでいる”と思って商品を買っている。――でも本当にそうでしょうか?🤔
私たちが日々何気なく行っている選択。その多くは、実は“無意識の習慣”や“仕組まれた設計”に影響されているという事実をご存知ですか?
マーケティングや企画、クリエイティブの現場において、「なぜ人はその行動を取るのか?」を深く理解することは、企画の精度や説得力に大きく影響します。
かくいう僕も、学長からのご紹介がこの本との出会いのきっかけでした☺️
【支出を削らなくてOK】「同じ生活費」のまま生活の満足度を上げる「3ステップ」を紹介【リベ大公式切り抜き
https://www.youtube.com/watch?v=6GNewUOZVGU
今回は、以前社内で開催された「行動科学に関する勉強会(前篇)」の内容をベースに、行動科学の基本的な考え方と、それがどのように購買行動に影響するのかを、実例とともにわかりやすくご紹介します。
“新しい商品やサービスを取り入れてもらうのが難しい時代”だからこそ、行動科学という視点は、あらゆる場面で有効に機能するはずです☺️
今回の参考書📖
自分で選んでいるつもり: 行動科学に学ぶ驚異の心理バイアス
行動心理・脳科学に基づいた購買行動の理論集。自分で「選んで」買っているつもりが、実はうまく誘導されて「選ばされて」買っているということがわかる本。
人が一日に過ごしている時間の約43%は習慣的な行動と言われており、並大抵のことでは、新しい習慣(サービスや商品)を取り入れてもらうことは難しい。
本書より
だから企業は苦労している
↓
だからあなたに依頼する(あなたの社会への貢献領域)
古い習慣を捨てるのは、場合によっては歯を抜くよりもつらく、圧倒的に難しい。
―イギリス・サミュエル スマイルズ『自助論』より
この内容を通して身につくこと
✅️ 科学的な根拠をもとに、納得感のある意見交換ができるようになる
✅️ 企画や文章を考えるときに、自分とは違う視点で物事を捉えられるようになる
✅️ 事例を集めたり読み解いたりする力が高まる
✅️ 人とのコミュニケーションが、より深く・伝わりやすくなる
#001| 不確実な報酬を利用すべし
行動を習慣化してもらうためには、何かしら報酬を与えなくてはいけない。(心理的報酬、身体的・物理的報酬、金銭的報酬etc.)
本書より
🎓️ シカゴ大学の研究は、報酬によるタスク達成率の調査を実施。
💡この行動心理を応用すると、「〇〇が必ず当たる!」というプレゼントキャンペーンを実施するよりも、「〇〇が89%の確率で当たる!」という座組で実施したほうがフックになるかもしれない。
#002|簡単にする―選択肢の数はなるべく減らす
#002|簡単にする―選択肢の数はなるべく減らす
ユーザーに何かの行動をしてほしいなら、どんなに些細な摩擦もできるだけ取り除く必要がある。(成功事例→NetflixやYouTubeの『一本見終わった後の自動再生機能』、Amazonの1-Click注文機能)
本書より
🎓️ コロンビア大学の研究では、スーパーでジャムの試食に関する調査を実施。
💡多様化するユーザーニーズに応じた『多機能性』は諸刃の剣。「好みがわからない」「選べない」多くのユーザー(顧客)にとっては選択肢を極力少なくするのが吉。
#003|複雑にする―イケア効果/摩擦効果
望ましい行動をしにくくする(面倒にする)ことで価値が生まれる場合もある。
本書より
🎓️ アメリカの3名の経済学者が発表した論文『イケア効果─手間が愛着に変わるとき』では次の事例が紹介されている。
💡ひと手間加えたり、じらすことは商品に対する価値を高めるための手法。時短が求められがちの潮流の中に、あえて『複雑にする』ことで、記憶に残りやすいのかも。
#004|ブランド側の「労力の見える化」
ユーザーに手間をかけさせる代わりに、ブランド側がそこに費やした労力や苦労を、消費者にわかってもらうという手法も有効。
本書より
🎓️ ハーバード・ビジネススクールの研究では、旅行予約サイトのUI/UXデザインに関する実験を行った。
💡情報過多な現代において、自社商品の自信の裏付けとして『労力の見える化・透明化』の情報開示の手段は有効(無論、品質が高いことは前提)
#005|「問いかけ」による産出効果
産出効果とは、読み手にちょっとだけ考えさせること。記憶バイアスの一種。
本書より
🎓️ ミネソタ大学とオハイオ州立大学の研究では、広告のコピー表現に関する調査を実施。
💡小難しい/センシティブな話題に触れる時は、ストレートではなく変化球を加えるのも手。
#006|韻踏み効果(キーツ思考法)
#006|韻踏み効果(キーツ思考法)
人は頭にすっと入る情報ほど信憑性が増して感じられる。
本書より
韻踏み効果(キーツ・ヒューリスティック)とは、韻を踏んだ文章の真実味が増して感じられる現象のこと。韻を巧みに駆使したイギリスの詩人ジョン・キーツの名をとって「キーツ思考法(キーツ・ヒューリスティック)」と呼ぶ。
🎓️ オスロ大学とノルウェー科学技術大学は、ブランド広告のスローガンに関する調査を実施。
💡韻踏み効果は読みやすく、信憑性も高まるという効果はあるものの、ベタすぎて軽視される懸念もあるため、効果的にうまく使うことが求められる(例:アカデミックな内容をわかりやすく伝えたい場合に活用する etc.)
#006-1/2|緻密さ、細かさ
なぜこの章が『#006』でも『#007』でもなく、『#006-1/2』なのか?
本書より
🎓️ ラトガース大学とワシントン大学の研究では、表示した数字の影響力についての調査を実施。
#007|ベースバリュー・ネグレクト効果
マーケティングでは増量よりも割引を提示することのほうが多いが…
本書より
ベースバリュー・ネグレクト効果とは、前面に出てくるパーセンテージ (35%や50%など)に気を取られ、元々いくらに対するどんな割引なのかという重要な点を無視してしまうこと
🎓️ ミネソタ大学とテキサスA&M大学の研究で、地元店舗におけるハンドクリームの売れ行きについての調査を実施。
💡ベースバリュー・ネグレクト効果(値引きの曖昧さ)によって体系的な影響を受けることで、ボーナス効果はより一層際立って見えるのかもしれない。
さいごに
最後までご覧いただき、ありがとうございました🙏少しでも役立った!と思った方のいいねやコメントなど、ハチャメチャ喜びます☺️
後編も改めて投稿します☺️