- 投稿日:2025/06/17
- 更新日:2025/10/08
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はじめに|信頼される人は、言葉でそれを育てている
こんにちは。
名古屋市守山区で自宅整体サロンを個人で運営している理学療法士のきむです。
整体サロンは、不思議な空間です。
たった二人きり。扉の向こうには、他人の目も耳も届かない“特別な時間”が流れています。
その中で、お客様はふと、誰にも言えなかったような悩みや過去を打ち明けてくれることがあります。
ときには、家族にも話していないような本音が出てくることさえあります。
だからこそ、誠実に応えたくなる。
「この人を、なんとかしてあげたい」と、心から思う。
でも──
集客や信頼を得たいがゆえの言葉で、
ついこう言ってしまうことはありませんか?
「大丈夫、治りますよ」
「うちに通えば良くなります」
安心させたかった。励ましたかった。
でもその言葉が、過度な期待を生み、あとで信頼を損なう"地雷"になることもあります。
⚠️ 整体で“医行為”と誤解されやすいパターン10選
~理由と安全な言い換えつき~
①「これはヘルニアですね」と診断する
🟥 理由: 診断行為は医師のみに許されており、誤解されると医師法違反のリスク。
🔁 言い換え:「腰の動きにくさや違和感がある方に、こうした症状が出ることもありますね」
「ヘルニアと診断された方が、似た症状を感じることもあるようです」
②「このストレッチで治ります」と断言する
🟥 理由: “治る”は医学的保証と解釈され、医行為とみなされる可能性。
🔁 言い換え:「このストレッチで楽になる方もいらっしゃいます」
③「病院の診断は間違い」と否定する
🟥 理由: 医師の判断を否定すると、信頼を損ないトラブルの元に。
🔁 言い換え:「病院の診断を参考にしつつ、動きの中でも確認していきましょう」
④「〇〇改善コース」などに病名つきメニューや「対応可能な症状」に明らかな病名が記載(腰部椎間板ヘルニア/腰部脊柱管狭窄症など)
🟥 理由: “治療行為”と誤認され、医療法・景表法に抵触する可能性。
🔁 言い換え:「腰まわりの不調を整える整体コース」「腰痛」「お尻から足にかけての違和感・だるさ」
「腰が痛い」という感覚は医学的診断を伴わない「主観的な症状」であり、病名とは異なる。
厚生労働省のガイドラインや景表法でも、症状名の使用は一定の範囲で許容されている。
⑤「100%改善します」と保証する
🟥 理由: 効果を断定すると、誇大広告や景表法違反になる可能性。
🔁 言い換え:「変化を実感される方も多いですが、個人差があります」
⑥「もっと反らして」「痛い方が効く」と強要する
🟥 理由: 安全配慮義務の欠如とされ、事故やクレームの原因に。
🔁 言い換え:「無理のない範囲で呼吸を止めずに行ってくださいね」
⑦「これは誰にでも効く」と言い切る
🟥 理由: 効果の個人差を無視した表現は、信頼を損なうリスクあり。
🔁 言い換え:「合う方も多い体操ですが、様子を見ながら行いましょう」
⑧「その腰痛は骨盤のズレです」と断定する
🟥 理由: 原因の断定は診断とみなされるおそれがありグレーゾーン。
🔁 言い換え:「骨盤まわりの使い方が関係している可能性もありますね」
⑨「薬をやめて運動だけにした方がいい」と誘導する
🟥 理由: 医療の中断を促す行為は重大な法的リスクを伴う。
🔁 言い換え:「運動と併用している方も多いので、主治医と相談しながら進めましょう」
⑩「通わないと悪化します」と不安を煽る
🟥 理由: 脅しや恐怖マーケティングは、信頼を壊し依存を生む。
🔁 言い換え:「早めのケアで安心される方も多いですよ。気になるときはご相談ください」
補足情報|「リハビリ」という言葉の使用について
きむが運営している整体は「リハビリ整体」と掲げています。
「リハビリという言葉を使ってもいいのか?」というお問い合わせをいただくことがあります。
確かに、「リハビリ」という言葉を聞くと、理学療法士や作業療法士が行う医療的なリハビリテーションをイメージされる方も多いでしょう。
しかし、リハビリは必ずしも医療従事者だけが提供するものではありません。整体が「リハビリ整体」として掲げることには、正当な理由があります。
「リハビリ」という言葉の語源は、ラテン語の“re-habilis”=「再び適応できる状態にする」という意味です。
広義では「けが・病気・障害・加齢などで失った機能や生活力・社会性などを取り戻すための取り組み」を指し、 医療職に限らず、支援職・家族・一般市民などが協働して行う社会的活動としても扱われています。
整体の分野では「日常生活の不自由さを軽減し、機能的な動作のサポートを通じて、自立やQOLの向上をめざす関わり」として、 あくまで“非医療的なリハビリ”として位置づければ、誤解を避けつつ提供可能です。
そのためには、医師の診断が前提となる疾患名を避け、「困っていること」や「目指したい状態」に焦点を当てた表現が必要です。
ちなみに、きむの整体は「院」ではなくあえて「サロン」と名乗っています。
それは、医療行為と誤解されるのを避けるためです。
「◯◯院」といった名称は、どうしても治療や診療を連想させる表現と結びつきやすく、
医師法や柔道整復師法との兼ね合いでグレーな印象を持たれやすい側面があります。
そのため私は、安全性と誤解防止の観点から、よりやわらかく、安心感のある「サロン」という表現を使っています。
もちろん、症状の根本改善や再発予防を目指していることに変わりはありませんが、
あくまで「医療機関ではないこと」「民間療法であること」を明確にしながら、
お客様に寄り添ったサポートを提供する。
その姿勢を込めた名称なんです。
✅ まとめ|“治す”より、“信頼される”存在に
整体師やセラピストにとって、技術や知識はもちろん大切です。
でも、それ以上に大切なのは――
「この人なら安心して任せられる」
そう思っていただける信頼だと、僕は思っています。
「治す」という役割は、医師を信頼して、医師に任せればいい。
僕にできるのは、
「寄り添い、支え、日常に前向きな変化を届けること」。
そのために必要なのは、
“治せる言葉”より、“信頼される言葉”を選ぶ力です
施術も発信も、目の前のひと言が信頼を築く礎になります。
❌「診断・断定・脅し」はNG
✅「一般論」「個人差」「選択肢」といった“余白”のある伝え方を
✅「最終的に選ぶのはお客様自身」という姿勢を忘れずに
僕は医師ではありません。
でも、体と心にそっと寄り添い、信頼を育てることはできる。
そして、誠実な言葉選びこそが、
技術と同じくらい価値のある“力”になると、僕は信じています。