• 投稿日:2025/07/31
  • 更新日:2025/09/29
決算書って何?|やさしい決算書の読みかた⑧

決算書って何?|やさしい決算書の読みかた⑧

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ハト│企業経営アドバイザー/事業再生士補

ハト│企業経営アドバイザー/事業再生士補

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要約
今回は「決算書ってどれも同じなの?」という疑問にお答えする回です。 あなたが普段目にしている決算書、実は「何のために作られたか」によって、形や中身が少しずつ異なるのをご存知ですか? そこで今回は、3つの代表的な決算書の種類と、それぞれの目的や特徴をやさしく整理していきます。

🟩決算書の3分類──法律と目的で見分ける

決算書は、大きく分けて次の3種類に分類できます。スクリーンショット 2025-07-21 153041.png🟩①会社法ベースの決算書 👉 「株主や銀行」への説明用

中小企業を含め、すべての株式会社が対象となる決算書です。
取締役が株主に対して「ちゃんと経営してます」と説明するために作られます。

「貸借対照表」「損益計算書」「株主資本等変動計算書」などが基本。

利害関係者(株主・債権者)が納得できるよう、公正な会計処理が求められます。

中小企業では「中小会計要領」や「中小企業の会計に関する基本要領」などの簡便な基準も利用可能。

📌ポイント
会社としての【経営報告】という側面が強く、経営判断や融資判断の材料にされます。

🟩②金融商品取引法ベースの決算書 👉 「投資家」向けの開示用

上場企業やそれに準ずる企業が対象です。
有価証券報告書や四半期報告書など、投資家に向けて厳格な基準で開示されます。

連結ベースが基本。グループ全体の経営成績と財政状態を開示。

財務諸表は「財務諸表等規則」に基づいて作成。

注記情報がとにかく多い。(企業リスク、会計方針、セグメント情報など)

📌ポイント
市場の信頼を得るため、最も厳格なルールで作成されます。
個別企業の決算書とは内容や目的が大きく異なる点に注意。

🟩③税務申告用の決算書 👉 「税金を納める」ための資料

税務署に対して提出する決算書です。
会社法ベースとは異なり、税法のルールで数字が調整されます。

税金計算に特化。収益・費用の認識時期などが税務基準に従います。

「別表」と呼ばれる独自の様式で申告。

会計上の利益と税務上の利益が異なる(いわゆる「税効果会計」)。

📌ポイント
「正確な税額を納める」ことが目的。
「利益」ではなく「所得」。会計の世界とルールが異なります。

🟩なぜ種類があると困るの?

たとえば、

会社法ベースでは黒字だけど、税務ベースでは赤字(=法人税ゼロ)

有報では大きな投資を書いているのに、個別決算では出てこない

銀行に出した試算表と、申告書の利益が違う

というように、「どの目的で作られたか」を意識していないと、数字を誤解してしまう危険性があります。

🟩読み手としてどう向き合う?

どの種類の決算書を見ているのか、常に意識しましょう。スクリーンショット 2025-07-21 153431.png✅まとめ(要約)

決算書には「会社法」「金商法」「税務」などの目的別に種類がある。

同じ会社でも、使われている決算書によって数字や構成が違う。

目的ごとの特徴を知っておくと、誤解や判断ミスを防げる。

読むときは「これは何のために作られた決算書か?」を意識するのが大切。

🟩おわりに

「決算書」と一口に言っても、背景にある法律や目的によって中身が違います。
その違いを知らずに数字だけを比較してしまうと、判断を誤ることもあります。

今回は「種類」にフォーカスしましたが、次回はいよいよこのシリーズの締めくくりとなります。
「決算書が読めると何がいいの?」という問いにやさしく答えていきます。

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やさしい決算書の読みかたまとめ 👉 こちら

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