- 投稿日:2025/10/18
初めまして!シロマサルです。
知ることで、人生はもっと楽しくなる!
今回はオリバー・バークマン著『ネガティブ思考こそ最高のスキル』2023年発行をつまみ食いします。まさに超、超、要約。おもしろいので興味があれば読んでみましょう。
著者:オリバー・バークマン
イギリスの全国紙ガーディアンの記者として、外国人記者クラブ(FPA)の若手ジャーナリスト賞などを受賞した気鋭のライター。著書『解毒剤 ポジティブ思考を妄信するあなたの「脳」へ』が世界各国で話題を呼んだ。(今回の本の要約の話。)ガーディアン紙で心理学に関する人気コラムを毎週執筆中。ニューヨーク・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルといったアメリカの有名紙、雑誌サイコロジーズやニュー・フィロソファーにも記事を寄せている。ニューヨーク在住。
他の書籍
オリバー・バークマン著『限りある時間の使い方』
頭に浮かぶ、『やらなければいけない』というプレッシャーのすべてに反抗し、かわりに、自分らしい人生をこつこつ築くことに集中しよう
オリバー・バークマン著『限りある時間の使い方』
✅ 不安や失敗は排除ではなく、受け入れるべきである。
✅ 目標や完璧主義に縛られるな。
✅ 死を意識すると、今がもっと生きられる。
「前向きに考えよう」と言われるほど、かえって気が滅入ることはないだろうか?
ポジティブになろうと努力するたびに、心が空回りしてしまう。
自己啓発に疲れ切った現代人にこそ必要なのが、“ネガティブ思考”という逆説的なスキルだ。
本書で興味深い話がある。
今さら述べるまでもないが、現代の社会で幸福を追求するための手本とされているさまざまな自己啓発本は、はっきり言って、われわれを幸せにすることなどめったにない。
オリバー・バークマン著『ネガティブ思考こそ最高のスキル』
自己啓発本の出版社では「18か月ルール」と呼んでいる現象がある。
ある悩みを抱えた読者が悩みを解消するために自己啓発本をを買って読むが、18か月以内に次の自己啓発本を買うという。
つまり、読者の悩みを解決してくれなかったというわけだ。
人間という悩みや問題はどう頑張っても1冊の書籍では、ありふれた常識的なことしかまとめられない。
本は、人の悩みの数だけ書かれている。
1人ひとりの人間すべてを同じ法則で語れるのなら、私たちはとっくに絶滅しているだろう。
本記事では、オリバー・バークマンが説く「ネガティブの力」を紐解き、日々の不安とどう向き合えばいいかを考察する。
原題が『The Antidote: Happiness for People Who Can't Stand Positive Thinking』(解毒剤:ポジティブ思考が苦手な人のための幸福)なので、タイトルの差異は、日本の読者層、特に自己啓発の潮流に疲弊している層へ意識したのではないかと私は考えている。
『ネガティブ思考こそ最高のスキル』
完璧主義の足かせは思っている以上に余裕を無くしてしまう。
これは極端なポジティブ思考も同じである。
われわれは、安全でありたいためにエゴの要塞を築いて自己保身を図る。
だが、この要塞そのものがわれわれを不安にする原因となるのだ。
オリバー・バークマン著『ネガティブ思考こそ最高のスキル』
幸せになろうとすると、不幸になる
⇒ 幸福は努力ではつかめない。
⇒ 失敗を避けると、人生が小さくなる。
⇒ 強いポジティブは心に強い影をつくる。
「幸せになろう」と意識するほど、その欠如が気になり心が落ち着かない。
幸福は追い求めるものではなく、自然と立ち現れるものである。
同様に、完璧主義は失敗を恐れるあまり、自分を縛る鎖となる。
極端な完璧主義は、精神的健康を脅かし、自殺と強い相関があることも示されている。
現代社会では、絶え間ない幸福の追求やポジティブ思考が自己啓発の旗印のもとに広く推奨されている。
しかし、バークマンは、このような努力がかえって不安や不確実性、そして不幸の原因となっていると指摘する。
インフルエンサーや有名人は基本的に「ポジティブ」で「正しそうな」ことしか言わない。(それが生き残っていく術だからである。)
その裏で私たちは、「ネガティブなものを排除しよう」という無意識の努力をしてはいけない。
私は思う、安全や安心は一種の死であると。
オリバー・バークマン著『ネガティブ思考こそ最高のスキル』
特に、不安や不確実性をなくそうとするほど、それに囚われてしまう。
「不確実性こそ物事が起こる場所である」という視点は、変化に強くなる鍵だ。
⇒ 未来はコントロールできない。
不確実性を排除しようとするな。
ネガティブを否定しない、それこそが最高のスキルだ。

ナシーム・ニコラス・タレブ 著『ブラック・スワン』
「ありえない」なんて事はありえない
〝悪い〟影響を最小限化し、〝良い〟ブラック・スワンの出会いを増やせ。
黒い白鳥は微笑む相手を選ばない。
外れ値を予測できないということは、歴史の変わる道を予測できないということだ。外れ値がさまざまな事件に占める割合を考えると、そういうことになる。
ナシーム・ニコラス・タレブ 著『ブラック・スワン』
「悪事の熟考」が不安を和らげる

真の安心は、不安をありのままに受け入れることにある
オリバー・バークマン著『ネガティブ思考こそ最高のスキル』
⇒ 最悪を想定すると、心が軽くなる。
⇒ 「今」に集中する生き方もある。
⇒ 目標設定は慎重に。
ストア哲学では、最悪の事態を想像する「悪事の熟考」がすすめられている。
物事が直接人々の心を動かすことはない。
人々が動揺するのはそれぞれの内なる考えによるものである。
つまり、「最悪のケース」とは人によってぜんぜん違うと言い切る。
これにより、現実の困難に備え、心に余裕が生まれる。
また、目標があると、それが達成されないことへの不安がつきまとう。
「ゴールのない生き方」も、柔軟に状況に対応する力が育つ手段である。
ある思考や行動を抑制しようとする努力は、皮肉なことにそれらをより普及させる結果に終わる。
死と向き合うことで、生が深まる

自分が死ぬことを思い出すことは、失うものがあるという罠を避けるための最良の方法である。あなたはすでに裸なのだ。
オリバー・バークマン著『ネガティブ思考こそ最高のスキル』
⇒ 死を意識することで、今が充実する。
⇒ 感情はコントロールできないが、行動はコントロールできる。
死を遠ざけるのではなく、日々意識することで「今日をどう生きるか」が明確になる。
死の受容の概念は、『葉隠』の「武士道と云うは死ぬ事と見付けたり」にも近い。
この言葉は勘違いされやすいので補足しておくと…。
「死」を積極的に求めるのではなく、常に死を覚悟することで、限られた「生」を最大限に生きるという「生の哲学」である。
書籍では、日本の森田正馬による「森田療法」にも言及している。
森田療法:日本の精神科医である森田正馬によって創始された神経症に対する精神療法。
不安や恐怖を排除するのではなく、「あるがまま」に受け入れることで、症状への「とらわれ」から脱却し、より良く生きることを目指す。
自分の行うことを何でも好きになれる人は、心配のない人生を送ることができる。
ところが、不愉快なことや退屈なことを避けようとする人は、そもそも不可能な試みに精神的エネルギーを費やす結果となる
森田正馬
感情を「通り過ぎる天気」とみなし、モチベーションや刺激(インスピレーション)がなくても行動を開始しよう。
今回の本は、なんとなく仏教の悟りのような…メタ認知に近い。
(メタ認知:もう一人の自分が、自分自身の思考や行動を観察し、評価し、必要に応じて調整する)
ストア哲学や仏教、そして現代心理学をもとに、「不安を避けずに向き合う」「制御できない現実を受け入れる」生き方が、結果として豊かな人生につながる。
まとめ
✅ 不安や失敗は排除ではなく、受け入れるべきである。
✅ 目標や完璧主義に縛られるな。
✅ 死を意識すると、今がもっと生きられる。
自分の心の外側で起こることは何であれ、「ネガティブ」とか「ポジティブ」とか断定できるものではない。
オリバー・バークマン著『ネガティブ思考こそ最高のスキル』
⇒ 逃げずに向き合えば、不安は味方になる
プラスとマイナス、善と悪、陰と陽があってこそ、人間である。
どちらかに偏ることはあっても、必ず存在し、共存している。
目を背けてはいけない。
つかみどころがなく、そこにあるものがすべてだ。
結局は、当人の見方や信念、考え方で世の中は無限に変化する。
つまり、この本も読者の悩みを解決してくれるものではない(笑)
知識や見聞は、いずれ力になってくれると教えてくれます。
是非、皆様のより良い人生の選択肢が増えますように!
見ていただきありがとうございました!😆
