- 投稿日:2025/08/13
- 更新日:2025/10/15
延命治療については、リベの中でもすでに医師や介護職の方々が見解を示されています。
ここでは、私が父を見送った経験から学んだこと、そして「やらなくて後悔したこと」を、素人の立場で共有したいと思います。
父の最期と苦しい選択
父は数年前に倒れてから入退院を繰り返し、亡くなる数ヶ月前からは寝たきりの状態でした。
そして、誤嚥性肺炎をきっかけに食事を受け付けなくなったとき、家族は「胃ろう」を設置するかどうかの判断を迫られました。
*胃ろうとは、口から食べられなくなった人のために、お腹から直接胃に栄養を届けるための管のことです。
本人に意思を確認できれば一番良かったのですが、その頃の父は会話もままならず、本人の言葉を聞くことはできませんでした。
医師からは「ここから回復する見込みはない。胃ろうは延命治療ということになる。」と説明があり、家族で話し合った結果、「体にチューブを入れるのはかわいそうだ」という思いから胃ろうを拒否しました。
父は間もなく、水分すら受け付けなくなり、点滴を始めました。
しかし、体はみるみる浮腫み、血痰を吐くように。
医師によると、点滴を続けることで余分な水分が体内に溜まり、それが肺にまで到達してしまうのだということでした。
痰が喉に詰まると命の危険があるため、その痰を吸引するのですが、その度に父が苦しがり涙を流す姿を見て、私たちは再びつらい決断を迫られ、最終的に点滴もやめることを選びました。
水分も摂らなくなった父は、担当医の予告通りの日に息を引き取りました。
支えとなった一冊の本
何が正解だったのか、今でもわかりません。
父が亡くなった後、私たち家族は「本人は延命治療を望んでいたかもしれない」「自分たちが父の死を早めてしまったのではないか」と、自分たちを責め始めました。
そんなとき支えになったのが、いのうえまゆみさんの『さいごのおしごと』という絵本です。
人が亡くなる前に体の中で何が起きているのかを、臓器を擬人化して分かりやすく説明してくれる内容です。
▶ さいごのおしごと(作:いのうえまゆみ/絵:うちやまともみ)
(宗教的要素はありませんので、どなたにもお勧めできます。)
この本から、体が「死の準備」をしているときに、点滴などでそれを妨げないことが、本人にとって一番楽なのだと学びました。
胃ろうや点滴を拒否したとき、医師から何度も言われた「ご家族の立派な決断を尊重致します。」という言葉が忘れられません。。。医師の中には、患者ご家族に頼まれて本意ではない延命治療をしている方も少なくないと感じます。
「元気な今」だからこそできること
この経験から痛感したのは、「その時になってから話し合うのでは遅すぎる」ということです。
元気なうちに家族で延命治療について話し合い、本人の意思を共有しておくことで、いざというとき家族の苦しみを少しでも軽減できると感じます。
延命治療の選択は非常に難しく、国によっても考え方が異なりますし、正解はありません。
しかし、事前に情報を集め、価値観を話し合っておけば、当事者も家族も納得のいく決断がしやすくなります。
父の死をきっかけに、私は母にも意思を確認し、息子にも自分の意思を伝えました。・・・ちなみに、私は延命治療は一切拒否します。
もしあなたやご家族が今、元気でいられるなら、この機会に大切な人と「延命治療」について話してみませんか?
元気なときの方が、きっと落ち着いて話せると思います。
その話し合いは、いつか訪れる苦しい時に、きっと家族の心を支えてくれるはずです。
さいごに(お礼)
父の最期の時期、どこかに気持ちを吐き出したくて「介護交流チャット」にコメントを書かせていただいたところ、温かい返信をいただきました。(自分のコメントを今、読み返すと、あまりにも精神不安定で何を書いているのか分からない文章でした💦)
この場を借りて、心よりお礼を申し上げます。