• 投稿日:2025/09/13
  • 更新日:2025/10/07
家族が働けなくなったときに使える制度|体験から学んだ支援の受け方

家族が働けなくなったときに使える制度|体験から学んだ支援の受け方

K@ブログ×ストックフォト

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要約
夫が突然倒れ、入退院と在宅介護を繰り返す日々に。子育てと両立しながら暮らしを支えてくれたのは、公的制度でした。傷病手当金・障害年金・医療費助成など、実体験をもとに紹介します。

はじめに

夫がある日、突然職場で倒れました。
一命はとりとめたものの、重い後遺症が残りました。

当時はまだ幼い子どもたちを育てながら将来への不安で胸がいっぱいでした。毎月の医療費の支払いで貯蓄はみるみる減っていき、ストレスで心身ともに追い詰められていました。

もしも家族が亡くなった場合には遺族年金、病気療養なら傷病手当金、仕事中のケガであれば労災などが知られていますが、
長期で療養が必要になった場合、どんな制度が使えるのか?
──当時の私はそこがまったく見えず、真っ暗なトンネルの中にいるような気持ちでした。

私はもともと医療機関での勤務経験があり、書類や制度にはある程度なじみがある方でしたが、それでも必要な情報にたどり着くまでには多くの時間と労力がかかりました。

病院では相談員さん、在宅ではケアマネージャーさんなど、それぞれ個別に相談できる窓口はありましたが、制度が多岐にわたるため、全体像をつかむには自分で情報を集める必要がありました。

市役所や年金事務所、協会けんぽなど複数の窓口に相談し、少しずつ情報をつなぎ合わせていきました。

この記事では、私たち家族が実際に活用できた公的制度を一覧でご紹介します。
家族や大切な人が病気や障害で長期療養・要介護になったとき、「どんな制度があるのか」を知ることで、少しでも安心につながればうれしいです🌷

家族が長期療養・要介護になったときに活用できた公的制度

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突然の病気や障害で、家族が長期にわたって働けなくなる──
そんなとき、生活を立て直すための支えになってくれたのが、公的制度でした。

ここからは、私たち家族が実際に活用できた制度をご紹介します🌷
制度名を知るだけでも、「何から調べればいいのか」が見えてきて、次の一歩を踏み出す手がかりになるかもしれません。

🩺 傷病手当金

申請先:協会けんぽ/所得制限なし/初診日から起算して4日以上休業後

病気やケガで働けない間の生活を支えるため、標準報酬日額の約2/3が最長1年6ヶ月支給される制度です。

夫は転職直後で倒れ、加入期間が1年未満だったため少ない額しか受け取れませんでしたが、前職の協会けんぽの加入期間と合算できる制度を活用して、後から金額訂正してもらえました。(別添の書類提出)

申請書は主治医→会社→協会けんぽという流れで提出します。
主治医へ書類を依頼してから受け取るまで時間がかかることがあるので、申請は早めに準備するのがおすすめです。

🌸障害年金(障害基礎・障害厚生)

申請先:年金事務所/所得制限なし/初診日から1年6か月経過または症状固定後

病気やケガで生活や仕事に制限が出たときに受け取れる年金です。
一般的には初診日から1年6ヶ月経過後に申請できますが、病名により症状が固定したと医師に診断された場合は、早めに申請できることもあると年金事務所で教えていただきました。

診断書や病歴の書類を揃えるのは大変でしたが、年金事務所で丁寧にサポートしてもらえ、無事に提出できました

🧡障害年金生活者支援給付金

申請先:年金事務所/所得制限あり/障害年金決定後

障害年金に上乗せして支給される給付金です。
夫の場合、障害年金を申請する際に一緒に手続きをしました。

最初は所得制限が気になり対象外だと思っていましたが、実際には受給できたので申請しておいて本当に良かったです。

(2025年度の支給額:月額6,813円)

♿身体障害者手帳

申請先:市役所(障害福祉課)/所得制限なし/医師の診断書をもとに審査

身体に障害があると認められたときに交付される手帳で、
医療費助成や各種福祉サービスを受けるための大切な基盤になります。

主治医に専用の診断書を依頼し、審査を経て交付されました。
手帳を取得したことで、介護や医療費の自己負担が大きく軽減されました。

🌼特別障害者手当

申請先:市役所(障害福祉課)/所得制限あり/身体障害者手帳取得後

在宅で常時特別な介護を必要とする重度障害者に支給される手当です。

医師に専用の診断書を書いていただき申請しました。夫は退院後に申請し、毎月の介護費用の負担軽減にとても助けられています。

(2025年度の支給額:月額29,590円)

💊 重度心身障がい者医療費助成制度

申請先:市役所(障害福祉課)/所得制限あり/身体障害者手帳取得後

医療機関で支払った自己負担額(保険適用分)に対する助成が受けられます。
夫が身体障害者手帳を取得したあとに申請しました。
最初は所得制限で対象外でしたが、翌年度から該当となり、毎月の医療費が大きく軽減されました。

🛏️ 介護保険(要介護認定)

申請先:市役所(介護保険課)/所得制限なし/要介護認定後

介護が必要と認められたときに、介護サービスを利用できる制度です。
夫は特定疾病(脳血管疾患など)として申請できました。
初回は訪問調査があり、翌年以降も更新時に調査がありました。

💳高額介護サービス費

申請先:市役所(介護保険課)/所得制限なし/要介護認定後

1か月に支払った介護サービスの自己負担が一定額を超えた場合に払い戻される制度です。
最初の1回だけ申請が必要で、2回目以降は自動で振り込まれました。
介護費用の負担がぐっと軽くなり、とても助けられています。

🧾高額介護合算療養費制度

申請先:加入している医療保険(協会けんぽ等)/所得制限なし/毎年8月〜翌年7月で集計

医療保険と介護保険の自己負担を合算して、上限を超えた分が払い戻される制度です。
我が家では、在宅介護になってから利用しました。
訪問看護・訪問診療・薬局など複数の領収書を控えてから提出したことで、申請漏れを防げました。

⚠️注意

制度は、世帯の所得や前年(前々年)の状況によっては対象外になることがあります。
実際に我が家でも、ある年度は該当せずに利用できなかった制度がありましたが、翌年度から使えるようになったものもありました。

ここで紹介している内容は、あくまで私自身の体験をもとにまとめたものです。
制度の詳細や要件は個別の状況によって異なるため、最新の情報は必ず各窓口(市役所・協会けんぽ・年金事務所など)にご確認ください。

配偶者が病気や障害で働けないとき「ひとり親」として申請できる制度

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夫が病気で倒れ、重い後遺症が残ったとき、子どもたちと暮らしを支えるために何か制度はないかと必死で探しました。

当初、相談したケアマネージャーさんや地域包括支援センターでは「離婚しなければ難しいのでは?」と言われましたが、自分で調べるうちに、配偶者が病気や障害で働けない場合でも「ひとり親」として認定される制度があることを知りました。

この制度は、父または母が政令で定める程度の障害状態にあるときに、子どもを養育する親が「ひとり親」として扱われ、児童扶養手当や医療費助成などを受けられるというものです。

申請先は市区町村の子育て支援課などです。

申請時には、配偶者の障害の状態がわかる書類(障害者手帳や医師の診断書など)の提出を求められることがあります。

必要な書類や要件は自治体によって異なるため、事前に窓口で確認するのが安心です。

📌 申請までの流れと準備した書類

夫が身体障害者手帳を取得したその足で、市役所の子育て支援課へ向かいました。
「お母さん、どこでその情報を知られたのですか?」と窓口の方に驚かれながらも、相談の結果、配偶者が重い障害の状態にあることを理由に、ひとり親として認定を受けられることがわかり、大きな安心につながりました

申請には、夫の身体障害者手帳・私と子どもの戸籍謄本・所得証明書などが必要でした。自治体によって必要書類が異なる場合があるので、事前に子育て支援課へ確認しておくと安心です。

📌 所得制限と認定のタイミング

申請時は前々年度の所得が基準だったため、初年度は対象外となりました。
その後、前年度の所得が基準になった年度に再申請し、ひとり親認定を受けることができました。

このように、同じ状況でも所得基準などによって利用できない場合があります。
翌年度以降に対象になることもあるため、制度の案内や窓口で最新情報を確認してみると安心です。

📌 ひとり親認定で利用できるようになった制度

ひとり親と認定されたことで、児童扶養手当子育てに関する支援制度重度心身障害者およびひとり親家庭等の医療費助成等を利用できるようになりました。
どちらも自治体ごとに内容や条件が異なりますが、申請して本当によかったと感じています。

👦 児童扶養手当

申請先:市役所(子育て支援課)/所得制限あり/ひとり親認定後

父または母が政令で定める程度の障害の状態にあるときなどに、子どもを養育する者に支給される手当です。

申請時は手続きが煩雑で大変でしたが、一部支給を受けられるようになりました。

🧒 学童保育の利用料減免(放課後児童クラブ)

ひとり親家庭や非課税世帯などを対象に、学童保育の利用料が減免・免除される制度が多くの自治体にあります。

認定後に申請したところ、利用料が大幅に軽減され、家計の負担がとても楽になりました。

🏠 ショートステイ(一時預かり事業)

ひとり親が病気や入院などで一時的に子どもを養育できないときに、児童養護施設などで数日間子どもを預かってもらえる制度です。

原則有料ですが、ひとり親や非課税世帯は無料または減免になることもあるようです。詳しい条件はお住まいの自治体に確認してみると安心です。

入院や通院が重なったときに一時的に子どもを預かってもらえる制度があると知り、「いざという時は頼れる場所がある」と感じられたことで、気持ちがとても楽になりました。
まだ利用したことはありませんが、制度の存在そのものが心強く、とてもありがたく感じています。

💡申請を考えている方へのアドバイス

ひとり親認定は、配偶者が重い障害の状態にある場合でも対象となる制度ですが、あまり知られておらず、相談窓口でも説明されないことがあると感じました。

私自身も、ケアマネージャーさんや地域包括支援センターに相談したときは「離婚しか方法はないのでは」と言われ、途方に暮れました。
けれども、自分で調べて申請したことで、実際に制度を利用できるようになりました

制度を利用する際に大切だと思ったことは次の3つです。

📝 まずは市役所(子育て支援課)に相談して、必要書類や条件を確認する

📅 毎年の所得状況によって対象かどうかが変わるため、該当しなかった場合も翌年度に再相談する

📂 身体障害者手帳や所得証明など、手元にある書類をできるだけ持参していくと相談がスムーズ

最初の一歩を踏み出すまでは勇気がいりましたが、制度を知ることが暮らしを支える大きな力になると実感しました。

おわりに

ChatGPT Image 2025年7月7日 16_46_17 1 1.png夫は長期療養の末、職場復帰は叶わず退職しました。
これから続く介護生活と子育ての両立を思うと、不安で胸がいっぱいでした。障害年金の受給がはじまったものの、それは夫1人がやっと暮らしていけるだけの金額でした。

介護離職で私のパート収入が途絶えるのではないか、病気の夫と子どもたちとの生活を続けていけるのか、私自身が倒れてしまったらどうしよう・・・という不安で胸がいっぱいでした。

そんな中で支えとなったのが、公的制度を知り、ひとつずつ申請していったことです。

日本の公的保険制度はとてもよく整っていて、
制度の内容や条件を確認し、必要な書類をそろえて手続きすれば、暮らしを立て直す大きな力になってくれると実感しました。

制度を知ったことで、不要だった医療保険を見直し、過度に心配しすぎなくてもいいと気づけたのも大きな収穫でした。
今は制度のお世話にならざるを得ない状況ですが、将来的には制度を利用しなくても暮らしていけるよう、収入の柱を増やしてがんばっています。

私がこの記事で伝えたかったことは、公的制度は知らなければ使うことができないということです。

でも、制度の存在を知ることができれば、家族を支え、自分自身を守るための大きな助けになると思います。

この記事が、家族が病気や障害で働けなくなったことで悩んでいる方にとって、「制度を知ることから始めてみよう」と思える一歩につながればうれしいです🌷

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この記事のレビュー(1
  • 会員ID:D6vh3kiw
    会員ID:D6vh3kiw
    2025/09/22

    Kさん、とても大変な状況の中、貴重なノウハウを投稿いただきありがとうございます。 私自身、母子家庭で育ちましたが、ひとり親制度について、知りませんでした。(当時はまだなかったのかも?)でも、今後まわりに何かあった時にとても助かる情報だと思います。 Kさんもお身体を大切に、ご家族と笑顔でお過ごし下さいね。

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    2025/09/22

    ふっちんさん、温かいお言葉を本当にありがとうございます😊 ご自身のご経験を分かち合っていただき、とても励みになりました。 少しでも周りの方のお役に立てれば嬉しいです🌷

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