• 投稿日:2025/09/25
  • 更新日:2025/09/30
人はなぜ、欲しくないものを欲しがるのか?  書籍「予想どおりに不合理」から読み解く

人はなぜ、欲しくないものを欲しがるのか?  書籍「予想どおりに不合理」から読み解く

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ガソダム@高配当株決戦仕様

ガソダム@高配当株決戦仕様

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要約
我々は欲するものを 為すことができるが、 欲するものを 欲することはできない。 アルトゥル・ ショーペンハウアー

序章

欲しくないものを欲しがると、
 高くつく

これは単なる人生訓ではなく、
行動経済学の研究でも
裏づけられている事実です。

ダン・アリエリーの名著
予想どおりに不合理
を読むと、

人間がいかに規則正しく
“不合理な判断”を
繰り返しているかが
よく分かります。

今回は、その知見をもとに
解説していきましょう。

無料の魔力

行動経済学の名シーンといえば、
チョコの値段実験
をご存じでしょうか?

高級チョコが15セント
安物チョコが1セントのとき、

多くの人は「せっかくだから」
と、高級チョコを選びました。

ところが、
両方を1セントずつ値下げして、
高級チョコ:14セント
安物チョコ:無料

この設定に変えた途端、
ほとんどの人が
無料”の安物チョコに
飛びつきます。

人は「無料」と聞いた瞬間に、
冷静な計算を
投げ出してしまうのです。

必要かどうかではなく、
「タダなら欲しい!」
と、いう衝動に
支配されてしまいます。

そして、
この心理を巧みに利用したのが
一部無料」という仕掛けです。

例えば飲食店で、
単に価格を下げるのではなく、
あえて通常料金に
上乗せしたうえで──

トッピング2種類まで無料
と、宣伝すればどうなるか?

実際には
値段が上がっているのに、
お客様の脳内では「お得だ!」
と、勘違いが発生し、

むしろ、
積極的に選ばれてしまいます。
まさに
無料の魔力”の恐ろしさ。

高級の魔力

次に紹介するのは、
「無料」とは正反対の心理、
高級の魔力です。

私たちは、
なぜか値段が高いほど
価値があると
信じ込みやすい傾向があります。

その象徴的なエピソードが、
黒真珠」です。

1970年代に登場した黒真珠は、
最初まったく売れませんでした。
そこで、
販売戦略を大胆に変更します。

銀座の一等地にあるような
店のショーウィンドウに並べ、
法外ともいえる値札を付ける。

そして、
ダイヤモンドやルビーと
肩を並べるように、

豪華なグラビア雑誌で、
全面広告を打ち出したのです。

すると人々の認識は一変し、
黒真珠=高級宝石
というイメージが定着し、
飛ぶように売れ始めました。

この心理は
現代にも通じています。

同じ怪しげな情報商材でも、
「5千円」より「50万円」
の方が売れやすい。

なぜなら、人は
「高い=価値がある」
と、思い込みやすいからです。

「情報社会」「情報戦」
そういった言葉が
日常に浸透した昨今では、

情報の価値が認められており、
「情報にお金を払う」
ことに抵抗感がありません。

さらに、
芸能人やインフルエンサー
と、いった
権威が加わればどうなるか。

信頼度のバフがかかり、
価格が跳ね上がっても

「高級=高価値」
と、いう思い込みから、
財布のひもが
緩んでしまうのです。

高い値札は
単なる数字ではなく、
私たちの心を操る魔法の札。

それこそが
“高級の魔力”なのです。

相対性の魔力

人は物事を絶対的な価値で
判断することが苦手です。

単体で「これは良いか悪いか」
を、冷静に測るよりも、
常に“比較対象”を
基準にして選んでしまいます。

典型的な例が
飲食店のメニュー。

上:2,000円
並:1,000円

このメニューなら、
間違いなく【並】が最も売れる。
なら、これに一手間加えて、

松:3,000円
竹:2,000円
梅:1,000円

これだと【竹】が最も売れる。
高価な【松】が現れたことで、
竹のお得感が引き立つ仕組み。

この仕組みは
デコイ効果(おとり効果)
と、呼ばれます。

わざと
割高な選択肢を置くことで、
店側が本当に売りたい商品を
より魅力的に見せる戦略です。

本当は最初から
欲しかったわけでもない商品を、
「おとりの選択」によって、
自分を納得させて選んでしまう。

これが“相対性の魔力”です。
同じ現象は
買い物だけに限りません。

家を買うときも、
保険を選ぶときも、
サブスクを契約するときも、

私たちは絶対値ではなく
相対的な比較で
判断を下してしまいます。

だからこそ、
気づかないうちに
お得そうに見える罠
にはまってしまうのです。

アンカリングの魔力

人の意思決定は、
最初に見た数字や条件に、
大きく左右され、

これは「アンカー(錨)
と、呼ばれます。

船が錨を下ろすと、
そこから動きにくくなるように。

一度心に
アンカーが打ち込まれると、
その後の判断は、
その場から外れにくくなります。

テレビショッピングで
よく見かける、
定価5万円、今なら2万円!
と、いう宣伝が典型的。

多くの人は
「5万円」を基準にしてしまい、
「2万円は激安だ」
と、錯覚します。

しかし冷静に考えれば、
その商品が自分に必要かどうか、

あるいは他の商品と比べて
本当に価値があるのかは、
ほとんど検討されていません。

脳は「5万円→2万円
と、いう差額の大きさに
酔わされているのです。

この効果は買い物に限らず、
給与交渉や
不動産価格にも影響します。

最初に
「この家は5,000万円です」
と、提示されると、

その数字が基準になり、
「4,500万円に値引きします」
と、言われると
お得に感じてしまう。

本来は市場全体の相場や、
自分の予算で判断すべきなのに、
最初の数字が
判断軸を支配してしまうのです。

行動経済学の研究でも、
このアンカリング効果の強さが
実証されています。

ある実験では、
参加者に社会保障番号の
下2桁を書かせ、

その後ワインやチョコレートの
価格を推測させました。

すると、
番号が高い人ほど
高値になる傾向があったのです。

全く関係のない数字でさえ、
判断に影響してしまう。
それが
アンカリングの魔力。

つまりアンカリング効果とは、
「必要かどうか」よりも、
お得に感じるかどうか
で、人を操る心理トリック。

私たちが
セールや値引きに弱いのは、
まさにこの
“心の錨”が原因なのです。

おわりに

「オレオレ詐欺」を
撃退した人が、
別の「オレオレ詐欺」に
引っかかる。

そんなニュースを
耳にしたことはないでしょうか。

「自分は大丈夫」
と、思い込んでいる人ほど、
アプローチが変わると
コロッと騙されてしまうのです。

学歴やスキル、知識や経験、
社会的地位や資産額など、
そんなものは一切関係なく、

人は誰でも、状況次第で
不合理な選択をしてしまいます。
なぜ、
人はそんなに不合理なのか?

予想どおりに不合理』には、
オスには耳が痛い、
ある実験が紹介されています。

それは──
性的に興奮すると、
 冷静な判断ができなくなる

と、いう単純かつ
残酷な事実を示す実験です。

少女漫画に出てきそうな、
文武両道、品行方正な
学園の王子様であっても、

性的に興奮した状態では、
不道徳な選択をしてしまう。

もちろんこれは、
男性だけでなく女性も同じ。

要は、人間は感情が高まると、
理性よりも衝動に従ってしまう
生き物だというわけです。

両学長の動画で
マイホームや
自動車の話題が出ると、

視聴者が、
ヒートアップするように、

普段は温厚な人でも、
その人の選択を否定すると、
鬼の形相で追いかけて来ます。

たとえその選択が、
広告や世間体に
操られたものであっても、

「自分の判断で選んだ」
と、いうプライドがあるから、
なおさら手強いのです。

ちなみに僕自身も
『予想どおりに不合理』
を読んで、
十分に悟ったつもりですが、

Macに買い替えたら凄く快適♪
 Windows動作重すぎー
なんて耳にすると、

最新のMacと、
 古い文鎮Windowsを比べんな。
 比較すんなら、
 最新Windows持って来い!

と、顔真っ赤にして、
早口で反論する、
Windowsおじさんです。

結局、人それぞれに
“地雷”は埋まっているもの。

他人から見れば
ささいなことでも、
本人にとっては理屈抜きで
反応してしまう領域があります。

だからこそ、
自分も他人も「不合理な存在」
であることを前提に、

日々の選択や対話に臨むのが
大切なのかもしれません。


ありがとうございました。

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