- 投稿日:2025/10/11
- 更新日:2025/10/11

他の子が当たり前にできることが、うちの子にはむずかしい。そんな日々のなかで知ったのが、「加配保育」という制度でした。
同じように悩む方に、ひとつの選択肢として知ってもらえたら嬉しいです。
加配保育とは
加配保育は、発達や行動の面で配慮が必要な子どもに、補助の先生(加配保育士)がついてサポートする制度です。
私自身、この制度を知るまでは「園生活に合わせるしかない」と思っていました。
行事の参加や日常生活の進め方も、子どもの特性に合わせて調整してもらえるため、無理のない園生活を目指すことができます。
教育的な園に入れたけれど
息子が1歳になった4月。教育的な環境に触れさせたいと思い、私立の保育園を選びました。
歌や体操、行事も多く、どの子もきちんと座って先生の話を聞けるような園です。
けれど、息子はまったくついていけませんでした。
🪑 朝の会・帰りの会に参加できない
🚶♂️ 列に並べない
🍴 自分でごはんを食べられない
🥤 水筒からお茶が飲めない
🔊 大きな音がするたびに、耳をふさいで泣き出す
運動会では、私がつきそって一緒に走ることもありました。
楽器を演奏する息子の姿を楽しみにしていた音楽会。会が始まると担任の先生が客席に来て「はい、お母さんはお子さんを抱っこしていてね」と息子を託され、戸惑いました。
他の保護者の目も気になる中、抱っこしたまま会を見守り、終わりには「お母さんも舞台に上がってね」と言われて、全員がカメラを向ける中で一緒に舞台へ。
恥ずかしさと戸惑いでいっぱいでしたが、「子どものために我慢するのが親ですよ」と言われたとき、涙がこぼれそうになりました。
“みんなと同じ”を求めすぎていた
園での様子を聞くたびに、どう支えたらいいのか悩みました。私自身も、「努力すればできる」と思い込んでいたのかもしれません。
お迎えに行くと、毎日教室の隅で一人ぼっちで遊んでいる息子。この環境でいいのか、迷うようになりました。
担任の先生からすすめられた「加配保育」
2歳児クラスの秋ごろ、担任の先生から加配保育のある公立保育園への転園を提案されました。
・10月ごろ:申請
・12月ごろ:体験入園と審査(市の職員さんが複数で見守り)
・翌年4月:転園
体験は2時間×5日間の予定でしたが、
仕事の都合を伝えると2日間に短縮してもらえました。
公立保育園の園長先生がとても良い方で、のんびりした園の雰囲気。年少からの転園を決めました。
加配の先生との出会い
転園後。入園式で園長先生が異動していたと知りびっくり(笑)少しショックでしたが、自宅から園が近くなり、生活のリズムも整ってきました。
おもちゃで釣る、スローペースでも見守るなど工夫してくださり、運動会や音楽会にも参加できるように。演劇会では、舞台上を自由に歩く息子の姿を温かく見守ってくれました。先生は毎月、連絡アプリで指導計画を共有してくれます。
✅ いま頑張っていること
✅ できるようになったこと
✅ 環境整備・援助・配慮
✅ 気持ちを切り替える方法
✅ これからの目標
連絡帳がアプリになり、忙しい日でも息子の様子をあとから確認できるようになりました。
支援内容や記録が積み重なっていくので、息子の成長を客観的に振り返ることができます。
ゆっくりでも、ちゃんと育っている
息子は4歳を過ぎ、少しずつ言葉が出るようになりました。感情のコントロールが難しい日もありますが、ゆっくり向き合うようにしています。
療育手帳を取得し、特別児童手当も受けながら、
保育園・発達センター・市役所・家庭が情報を共有して支援を続けています。
外出の機会が増え、児童館で出会う親御さんから支援情報を聞いたり、同じように加配を利用している家庭と交流できるようになりました。
加配保育のよいところ・むずかしいところ
加配保育を経験して感じたのは、ありがたさと、少しのむずかしさがあるということです。
🌸 よかったこと
子どものペースで過ごせる
無理に集団に合わせず、その日の気分や特性に合わせて見守ってもらえる
先生がそばで成長を見守ってくれる
専門的な視点で、小さな変化にも気づいてくれる
子どもの自己肯定感が育ちやすい
小さな成功体験を積むことで、自信を育てる
専門機関や行政とのつながりができる
発達支援センターや療育など、ほかのサポート制度にもアクセスしやすい
家庭の安心感が増える
園と連携することで、「一人で抱え込まなくていい」と思える
経済的な負担が少ない
自治体の制度として行われるため、追加で保育料がかからないケースが多い
🍀 むずかしいこと
他の子と別行動になることがある
行事などで「みんなと同じ」が難しい場面があり、保護者として理解や割り切りが必要
先生との相性や体制の変化がある
相性が合ってないのでは?と思っても変更は難しく、基本的には年度ごとに担当が変更になる
通える園が限られる
加配保育を行っていない園もあり、私立や幼稚園は独自運用の場合がある
支援内容の見直しや面談が多い
年に数回の話し合いがあり、親の関与が欠かせない
加配が必ずつくとは限らない
申請しても人員や予算の関係で希望どおりにならないことがある
おわりに:加配という選択
加配保育は、公立保育園だけでなく私立や幼稚園でも独自に行っている園があります。自治体が把握しているのは主に公立園の情報。気になる園がある場合、保護者が直接問い合わせて確認する必要があります。
申請や体験入園の時期は秋ごろまでに決まることが多いため、早めの情報収集をおすすめします。
加配保育は、特別なことではなく「安心して育つための工夫」。制度を知るだけでも、子育てが少し優しく感じられるかもしれません。