- 投稿日:2025/10/18
🌸はじめに
「保育士さんって大変ですよね。あんなにたくさんの子どもを見ていて…」
保育士をしていると、よくそんな言葉をかけて頂きます。
たしかに大変なことも。
でも、子育てはもっと大変です。もちろん、そんな言葉で片付けられない素敵な時間はたくさんあります。でも、
「大変って言っちゃいけない」「もっと楽しまなきゃ」
そんな理想に押しつぶされそうになる日もありますよね。
はじめまして。
幼稚園で9年、子ども園で8年、幼児教育に携わってきた現役保育士です。
子育て期は専業主婦も経験しています。
この記事では、2〜3歳で初めて園に通うお子さんの保護者の方へ向けて、
「入園準備のチェックリスト」ではなく、
現場で実際に起こっているリアルな会話や関わり方をお届けします。
🍀入園前、よく聞くお悩み
雑誌やネットでは「入園までにしておきたいこと○選!」なんて記事をよく見ますよね。
トイレトレーニング、着替え、あいさつ…。
もちろん大事なことですが、現実はそんなにきれいごとばかりではありません。
「下の子がいて、思うように練習できない」
「一人っ子だから、他の子と比べて不安」
「毎日が精一杯で、気づいたら寝かしつけの時間」
——そうですよね。
名もなき家事や名もなき育児で、毎日があっという間に過ぎていきます
🌷「お友だちと遊べるかな?」編

👨👩「うちの子、人見知りで…大人とばかり過ごしてきたし、同世代のお友だちと仲良くなれるか心配です」
😊「大丈夫!お友だちなんてすぐに出来ません」
✏️解説
「えーー、なんてことを言うの?」
「すぐにできません!」なんて言われると、びっくりしてしまいますよね。
でも安心してください。
入園してしばらくは特に、実は大半は、それぞれの世界で過ごしています。ただ同じ場所にいるだけのことも多いです。
同じ場所にいるだけで、まだお互いの世界はつながっていない…そんな段階からスタートします。
経験したことのない集団生活で、何をしていいのか分からなくて、固まっている子もいます。1ヶ月くらい、自分で遊びを見つけるのが難しい子もいますよ。だって、「ここはどこ?何?」ですもんね。
🍀園での様子と保育士の関わり方
まず大切なのは、自分のしたい遊びを見つけられる力です。
自分から遊びを見つけられなくても、周りのお友だちの遊びを見て、まねっこするだけでも大丈夫です。
😊「・・・」
👶「・・・」(色んなオモチャを触ったり、試したり、ボーッとしたり)
保育士は、何もしていないように見えるその時間も、その子の世界観を大切に見守ります。
必要なときにはすぐに声をかけます。
😊「わぁ、〇〇ちゃんと〇〇くんの使っているゴミ収集車、同じだね!」
👦「この収集車ゴミ入るんよ」
👦「私のゴミ入ってるー」
見比べたりしながら、友だちの存在に気づけるように声をかけていきます。
😊「〇〇ちゃん、おままごとでパーティーしてるんだって。先生も一緒に行ってみる?」
保育士が間に入りながら、自然に関わるきっかけをつくります。
😊「レゴブロックで、〇〇くんはお家を作ったね。〇〇ちゃんは駐車場を作ったんだね!」
👦「うん、ここ駐車場」
👦「ここ食べるところー」
同じ遊びでも違う部分に注目し、お互いの役割や工夫に気づけるよう声をかけます。
こうした段階を経て、少しずつ自分の世界から、友だちのいる世界へ目を向けられるようになり、一緒に遊ぶ楽しさを知っていきます。
兄弟がいたり、集団で過ごす経験のある子は、すでにこの状態から入園することもあるため、
「うちの子はお友だちと遊べていないのでは…」と見えてしまうこともあります。
もちろん中には「将来の研究者かな?」と思うほど、自分のこだわりに夢中になる子もいますよ。
大切な成長の一部です🌱

さいごに
園に入ったら、この子お友だちできるかな?!と言う心配もありますが、
焦らなくて大丈夫。
ゆっくりな子なら、年少組の最後の方に(4歳になる年)友だち関係がぐっと変わってきます。
毎日の生活や、一緒に経験する行事を通して、イメージの共有がしやすくなってきて、
『あー、あの時のあれね!』という状態が自然と出来上がり、一緒に遊べるようになってきます。
毎日毎日、同じパターンで同じ会話で同じ動きで・・・
大人から見たら、「何が楽しいのかな🤭」と思う些細な遊びこそ、
人と関わる喜びを知る経験になると思います。
ちなみにうちの子は、通園バスに一番最初に乗っていたこともあり、通園バスごっこにハマり、ぬいぐるみを園児に見立てて、「〇〇くん乗りました、おはようございまーす」をひたすら繰り返して遊ぶ、地味ーな遊びをしていました。
今は時間の流れも、時代の流れも速く、タイパを重視した方が得なような気持ちになりますが、
子どもの世界は、無駄に見えることをしている時間が、その子の土台を作っていく上でとても大切だと、現場で毎日子どもたちと接していて強く思います。
たくさんの情報があふれていて、迷うことも多いかと思いますが、
まずは、子どもがどんな時に目をキラキラさせているのか見つけてみて下さいね。