• 投稿日:2025/10/18
老齢年金・遺族年金・障害年金は同時にもらえる?併給できるパターンと注意点

老齢年金・遺族年金・障害年金は同時にもらえる?併給できるパターンと注意点

ととさん@ブログ×youtube

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この記事は約4分で読めます
要約
1人1年金が原則の公的年金。 でも、65歳以上になると、一緒に受け取れる年金があります。 一緒に受け取れる(併給)年金の組み合わせ方法等について解説しています。

はじめに

年金のご相談でよくある質問。

選択2.png答えはこうです。

選択3.png公的年金では、原則、支給事由(老齢・障害・遺族)が異なる2つ以上の年金を同時に受け取ることはできません。

つまり、どちらかを選ぶ必要があるのです。

ただし――
65歳以降は、いくつかの組み合わせで複数の年金を併給(同時受給)できるケースがあります。

この記事では、

・なぜ「1人1年金」なのか
・どんな組み合わせなら併給できるのか
・選択の際の注意点

を、わかりやすく図解しながら解説します。

日本の公的年金の仕組み

日本の公的年金制度は「2階建て構造」になっています。

01-1.png

日本年金機構HPより)

そのため、
「老齢基礎年金+老齢厚生年金」や
「障害基礎年金+障害厚生年金」など、
同じ支給事由(老齢・障害・遺族)の年金であれば基本“セット”として受取ります。

01-2.png日本年金機構HPより)


年金の受取るルール

✅ 65歳までは必ず「1人1年金」
  =1種類の年金を受取る

✅ 65歳以上は組合わせて受取れる場合がある(併給)


原則、異なる支給事由(たとえば「老齢」と「遺族」)の年金を同時に受けることはできません。

このように2つ以上の年金を受ける権利が発生した場合は、本人がいずれかを選択して受け取ります。
(「年金受給権者 選択申出書」の提出が必要です)

ただし、65歳前と65歳以上では受け取り方が違います。


65歳まで 1人1年金

65歳までは、複数の年金の受給権があっても、必ず「一種類の年金」のみを選択して受取ることになります。


① 遺族年金を受け取っている人が老齢年金を受けとる場合(65歳まで)

選択1.png👦 このほか、障害年金を受け取っていた人が、遺族年金をもらえるようになった場合も、65歳まではいずれか一つを選択して受け取ります。

⚠️ 障害年金・遺族年金は非課税
⚠️ 老齢年金は課税対象
となるので、それも考慮して選択する必要があります。


②同じ支給事由で複数の年金が発生した場合

併給2.png03-1.png日本年金機構HPより)



65歳以降 併給できるケースあり

65歳を過ぎると、複数の年金を同時に受取れる場合があります。

基本的には、基礎年金同士、厚生年金同士は一緒に受け取れません。


① 老齢給付 × 遺族給付

老齢基礎年金 + 遺族厚生年金
 → 両方受け取れます。
老齢厚生年金 + 遺族厚生年金
 → 老齢厚生年金が高ければ遺族厚生年金は全額停止。
  老齢厚生年金より遺族厚生年金が高ければ「差額分」だけ支給。

05.png日本年金機構H Pより)


② 老齢給付 × 障害給付(2級以上)

65歳以降は、次のいずれかを選択できます。

・障害基礎年金 + 老齢厚生年金
・老齢基礎年金 + 老齢厚生年金
・障害基礎年金+障害厚生年金


👦 障害基礎年金と老齢基礎年金の2つの基礎年金は併給できません。
  また、老齢基礎年金+障害厚生年金の組み合わせはできません。

06.png日本年金機構HPより)


③障害給付 (2級以上)× 遺族給付

65歳以降は、次のいずれかを選択します。

・障害基礎年金+障害厚生年金
・障害厚生年金+遺族厚生年金

07.png日本年金機構HPより)

👦 遺族基礎年金+障害厚生年金はもらえません。
 また、障害基礎年金➕遺族厚生年金を受け取るとき、
 遺族厚生年金に中高齢寡婦加算が加算されている場合、
 中高齢寡婦加算はもらえなくなります。


④老齢年金×遺族年金×障害年金

3種類全て受け取れる受取り方が一つあります。それは

障害基礎年金+老齢厚生年金+遺族厚生年金

です。

選択4.png⚠️ 障害基礎年金と遺族厚生年金を一緒に受取る場合、遺族厚生年金に加算される経過的寡婦加算は減額されます。


⚠️ 見落としがちな障害厚生年金3級

障害厚生年金3級の場合は、何かの年金と一緒に受け取ることはできず、必ず選択することになります。

例) 65歳以上の老齢基礎年金と老齢厚生年金、障害厚生年金3級を受け取れる権利があるとき

→ 「老齢基礎年金+老齢厚生年金」 
 または 「障害厚生年金3級」のいずれかを選択して受け取ります。



おわりに

年金は「長く納めた人が多くもらえる」と思われがちですが、

権利があるもの全て受け取れるわけではありません。

実際は「どの年金を、どのタイミングで選ぶか」で受取額が変わります。

特に、ポイントは「65歳を境に、受け取れる年金が変わる」ということです。

特に、遺族年金を受けている方・障害年金を受けている方は、老齢年金の受給開始年齢を迎える前に、年金事務所で何を受取るのが有利か、受け取り方法と金額の確認をしておくことをお勧めします。

「知らなかった」では済まされないのが年金。
知ることで、損を防ぎ、未来を守ることができます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。


関連リンク

・ 2つ以上の年金が受けられるとき(日本年金機構公式)
・ 日本年金機構の選択に関するページはこちら→日本年金機構HPより


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この記事のレビュー(1
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    会員ID:cdBRIC01
    2025/10/18

    とても参考になました。ありがとうございます。

    ととさん@ブログ×youtube

    投稿者

    2025/10/18

    メイさん コメントありがとうございます。 少しでも参考になってもらえて、とても嬉しいです😊

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