- 投稿日:2025/11/04
🟩 1. はじめに
長期・積立・分散」は知っているけど、実際に値動きで資産配分が崩れたとき──
「何をすればいいのか分からない…」と不安になることはありませんか?
この記事では、インデックス投資を成功させるための
**リスク管理の2本柱──「リバランス」と「標準偏差」**を、
初心者にもわかりやすく、図解を交えて解説します。
🟦 2. ポートフォリオの健康診断:「リバランス」とは?
2-1. そもそも「リバランス」って何?
インデックス投資では、株や債券など複数の資産を組み合わせたポートフォリオを運用します。
リバランスとは、値動きによって崩れた資産比率を、当初の目標に戻す作業のことです。
📊 例:資産配分の崩れ
株式が上がりすぎて、**80%**に偏ってしまいました。
これが「比率の崩れ」です。
2-2. リバランスの目的=リスクの再調整
放置すると、想定よりリスクの高いポートフォリオになってしまいます。
リバランスの目的は、自分が許容できるリスク水準を維持すること。
さらに、リバランスを行うと次のような効果もあります👇
・値上がりした資産を売って、値下がりした資産を買う「逆張り行動」が自 動的にできる
・感情に左右されず、機械的にリスクを抑えられる
2-3. リバランスのタイミング
初心者のうちは、難しい判断は不要です。
次の2つのどちらかをルールにしましょう。
🕒 時間ベース:年に一度(例:毎年12月)など、日付を決めて実行する
📉 乖離率ベース:目標比率から5%以上ズレた資産が出たら行う
🟨 3. 投資のリスクを数値化する:「標準偏差」とは?
3-1. 「リスク=危険」ではない
投資の世界で言う「リスク」とは、リターン(収益)のブレ幅のこと。
つまり、「どのくらい上下に動くか」を示す“値動きの振れ幅”です。
値動きが大きい → リスクが高い(ブレが大きい)
値動きが小さい → リスクが低い(安定している)
3-2. 標準偏差は“ブレ幅のものさし”
投資のリターンは、毎年同じではありません。
上がる年もあれば、下がる年もある──
この**「どのくらい上下に動くか」**を数値で表したのが、標準偏差(σ)です。
たとえば、日本株のファンドを例にすると
:平均リターン:4.8%
:標準偏差:19%
この場合、年間のリターンはおおよそ
+23.8%(4.8+19)〜−14.2%(4.8−19) の範囲に収まる可能性が高いです。
📊 リターン分布のイメージ
(※図:GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)より引用)
この山型のグラフは「正規分布」と呼ばれます。中心の山が「平均リターン(4.8%)」、左右に広がる曲線が「値動きの範囲
(リスク)」を表しています。
📊 1標準偏差・2標準偏差とは?
リターン(収益)の動きは「平均」を中心に、左右に広がる形で分布します。
このとき、どのくらいの範囲に“現実の結果”が収まるかを表すのが
**標準偏差(σ:シグマ)**です。
▶ 1標準偏差(±1σ)
リターンが「平均から1標準偏差の範囲」に収まる確率は 約68%。
つまり──
年間のリターンが「平均±標準偏差」の範囲に入る年が、
10年中およそ7年。
例:平均リターン4.8%、標準偏差19%の場合
→ −14.2%〜+23.8%の範囲に入る可能性が高いとされます。
▶ 2標準偏差(±2σ)
もう少し広い範囲で見ると、**約95%**の確率でこの中に収まります。
年間のリターンが「平均±2標準偏差」の範囲に入る年が、
10年中およそ9〜10年。
例:平均リターン4.8%、標準偏差19%の場合
→ 約−33%〜+43%の範囲が想定されます。
つまり、「最大約−30%、+約40%」の振れ幅を想定しておくと、
多くのケースで現実的なリスクを把握できます。
ただし、実際はオルカンのような海外インデックスファンドは為替のリスクがあるので、リスク(振れ幅)はもっと大きくなります。
🟪 オルカン70%+個人向け国債30%のバランスをr例に考える
標準偏差の理解が深まったところで、
実際に**株と債券を組み合わせた場合の“現実的なリスクとリターン”**を見てみましょう。
📊 シミュレーション表①
(※オルカン:期待リターン7%、標準偏差15%、国債:リターン1%、標準偏差0%として算出)
※債券は個人向け国債変動10年は、価格変動がないため標準偏差は0になります。
この表を見ると分かるように──
💡 オルカン70%・国債30%の組み合わせでは、
期待リターン:5.2%
リスク(標準偏差):10%
つまり、値動きのブレ(上下動)が約3分の2に抑えられるんです。
📊 シミュレーション表②:100万円投資した場合の平均・上振れ・下振れ(±2σ)
同じ条件で、100万円を投資した場合のリターンを金額ベースで表すと以下の通りです。

💡 ポイント①:リスクを3割抑えても、リターンは7割維持
オルカン100%運用に比べると、
リターンは 7.0% → 5.2% に下がりますが、
リスク(値動きのブレ)は 15% → 10.5% に軽減されます。
つまり、値動きのストレスを約3割減らしながら、7割の成長力をキープできるわけです。
💡 ポイント②:続けやすさ=最大のリターン
暴落時にも「3割は国債が守ってくれている」という安心感があるため、
積立を止めにくくなり、長期投資を継続しやすいという心理的効果があります。
💡 補足:たかが1%、されど1%
「国債のリターン=1%」と聞くと地味に感じるかもしれません。
でも、この**“安定して1%もらえる”**というのは、
投資の世界ではものすごく価値があります。
1000万円を変動10年に預ければ、毎年10万円が確実にもらえます。
しかも──元本保証・価格変動なし・為替の変動を受けない・金利上昇時には利率も上がる。
つまりこれは、**「リスク0で得られるリターン」**なんです。
オルカンのような“攻めの資産”を支える、頼もしい“守りの柱”。
この1%の存在が、あなたの投資を長く続ける力になります。
📝 まとめ:感情に流されない投資行動を
インデックス投資で成功する最大のコツは、「市場の波に動揺せず、計画を守る」こと。
リバランスで、資産配分を整えて“リスクを取りすぎない”
標準偏差で、自分のリスク許容度を数値で把握し、“想定内の下落”を冷静に受け止める。
この2つを理解しておけば、相場が荒れても慌てずに投資を続けられます。
長期投資の最大の敵は「感情」です。
仕組みと知識で、自分の心を守りながら、着実な資産形成を進めましょう。
※本記事の内容は筆者の個人的な見解および試算に基づくものであり、
将来の運用成果を保証するものではありません。
投資判断はご自身のリスク許容度・目的に応じて行ってください。